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スケールを支える起業家の野心と泥臭さ:Galapagos Supporters Book④(後編)

シリーズAで累計13億円の資金を調達したAIR Designのガラパゴス。
そこには株主や顧問、社外取締役という形でガラパゴスを支える、たくさんの支援者の存在があります。
ガラパゴス・サポーターズブックでは、そのような外部の支援者と、ガラパゴス代表・中平の対談を通して、ガラパゴスとAIR Designの魅力をお伝えしていきます。

本記事は、シリーズ第四弾・STRIVEの堤達生さんとの対談記事の後編です。前編については、以下よりご笑覧ください。

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守るべき、強いチームとカルチャーとしての透明性

中平:今回リードインベスターとして入っていただき、社外取締役も引き受けていただきました。改めてガラパゴスという会社、ボードメンバーに対する期待をお伺いしたいです。

堤:期待というか、ボードの仲間に入りたかったんです(笑)

中平:そうなんですか(笑)

堤:めちゃくちゃおもしろい会社だし、すごく良いメンバーだから、その一員になりたいという素直な気持ちはありましたね。その上で、僕の方が経験値としては大きいから、それを経営メンバーにインストールして、より進化を加速させられるかどうか。そのためのパーツの一部としてお役に立てるんじゃないかと思っています。

中平:僕らよりちょっとお兄さんですもんね。

堤:まあまあお兄さんです(笑)

中平:でも本当に堤さんって偉そうじゃないというか、すごくフラットですよね。

堤:全然偉くないっすよ(笑)

中平:それが本当にすごいなと思ってます。うちのチームには今どんな印象を持っていますか?

堤:今の段階でこれだけ優秀な人が集まっていることはすごいと思います。よくあるのは「トップはめちゃくちゃ優秀。でもチームはまだできていない」みたいなケースですよね。チーム作りは当然すごく時間がかかるんだけど、ガラパゴスの場合は優秀な人たちがすでに揃っている。しかも創業の頃から中平さん以外にもそういう人がプラス2人(創業メンバー3人)いたということが、結構奇跡的だと思うんですよ。中平さん個人の力とか魅力に加えて、ミッションや旗印を掲げることによってさらに優秀な人たちが入ってきてますし、今後増えていくことがすでにわかります。そういうチーム作りが本当に、ものすごく大事なんですね。それで半分以上決まっちゃうんじゃないかな。

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中平:本当に恵まれてると思います。倍々の組織にしていく予定なんですけど、今の優秀な人たちの倍を集める難しさは感じますよね。皆さんに言ってもらえるんですよ。「すごい優秀なメンバーが揃ってる」って。周りを見渡してみると、本当にありがたいし、仲間を大事にしたいと心の底から思います。

堤:あともう1つすごくいいなと思っているのは透明性ですね。例えば投資前も、中平さんが深刻そうな顔して「実はご報告が...」とか言ってくるからドキドキしてたら、「ちょっと計画上の数字が外れそうで」って。僕らにとっては織り込み済で全く気にならない内容だったんだけど、そんな小さなことでもしっかり共有する。slackのやりとりを見ていても、トラブルだけじゃなくて、良いこともちゃんと情報共有するカルチャーがありますよね。意図的かとは思うんだけど、それができていることが企業の成長にも直結するんですよ。チームの強さと会社のカルチャーとしての透明さ、やっぱりこの2つですね。

中平:細かいことを報告したり共有するのも、仲間だと思ってるからなんですよね。仲間が弱ってたら助けるじゃないですか。株主に報告するのも、「助けてほしい」って甘えてるんです(笑)

堤:なるほど。

中平:僕が率先して開示をすれば、みんなもそうしてくれるんじゃないかと。バリューに加えてもいいかとも思ってますね。例えば「BAD NEWS FIRST」みたいな。悪いニュースほど一番初めに出そうぜって。それが守りたい文化なんだろうなあ、とも思ってたりします。

堤:組織が大きくなっても、その文化を本当に大事にして欲しいです。

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BS思考の組織運営と独自のマネジメントスタイル

中平:一方で、現状まだまだな、改善が必要な部分もありますよね。

堤:もちろんありますね(笑)主には2つ。1つが守りですね。組織でいうところのバックオフィス、財務とか経理とか人事とか。それらをいかに強化できるかが、組織のスケールには必要不可欠。そこは改善の余地があるかな。あともう1つは、マネジメント人材の不足。これはガラパゴスに限った話ではないけど、マネジメントってすごく難しいし、人が増えてきた時にマネージャーの数が慢性的に欠乏するのは必ず起こることだから。リーダーをどう育成していくか、新たに採用することも含めて、早め早めに手を打っていく必要があると思いますね。

中平:マネジメントに関しては、「Galapagos Management Style」を創ろうと思ってるんです。僕は最近やっとマネジメントを学び始めまして(笑)

堤:(笑)

中平:3年サラリーマンをやって、その後ずっと会社経営しているので、マネジメントを学ぶ期間が全くなかったんです。やっぱりリクルート出身の人とかを見てるとマネジメントについてちゃんと勉強しているし、理解をしてますよね。自分たちのマネジメントスタイルを作って、それをちゃんと教育する。これはスキルがあればできる、ということはなんとなくわかっているんです。あとは地道に拡大再生産、再現性があるものにする。いつものパターンに持ち込もうと思ってるんですよね。

一方で守りに関して、やっぱり頭のどこかで「間接コスト」はかけない方がいいと思ってしまう部分もあって。この呪縛をどう解くのかが僕のアンラーニングテーマで、スタートアップあるあるな気もするんですよ。

堤:それは、間接コストと考えることをアンラーニングした方がいいかもしれませんね。

中平:なるほど。

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堤:管理系部門はコストじゃないと思うんですよ。例えば、経理、財務、IR、それらの部門が機能することで会社の中身が明確に数字で示せるようになる。結果として次のラウンドで投資家にはウケが良くなりますよね。会社の実態を正しく把握して良さを示すために必要不可欠な存在です。HRはいうまでもなく、良い人を採用してどうマネージしていくか、まさに利益の源泉を生む材料を作る人たちなわけで。「プロフィットを生むための基盤」と発想を変えれば、「全然足りない」という判断になると思うんですよ。

中平:確かに。例えばマーケティングコストは、かけた分だけリターンがあるからわかりやすいけど、コーポレートでかけたお金を資産化するイメージが持ち切れていないからそういう発想になりやすいのかもしれない。

堤:マーケティングで伸びるのはPLで、コーポレートの考え方はBSの強化ですよね。リクルートも一時期は、PLが全てって感じの会社だったんですけど、だんだん体制が変わってBS思考になっていきました。そのあたりは同じくファンドで入られているシニフィアン朝倉さんが著書でも書かれてますよね。「コーポレートはBSを作っていくために必要」と考えると、非常に思考が変わりますよ。

中平:シニフィアンさんのお話が出ましたが、堤さんとしては同じ株主としてどういう付き合いをしていきたいと思われていますか?

堤:あれだけ優秀なお三方が運営しているファームだし、得意不得意が明確に違うので、私自身も学べるところがあると思ってます。上場を見据えた時に市場との対話をどういう風にすべきかとか、ロングの機関投資家が喜ぶストーリーについてとか。色々なケースを経験しておられると思うのですごくサポートしてくれるんじゃないかな、と思いますね。

中平:PreAからの株主、アーキタイプさんやみずほさんとも繋がりがありますよね。

堤:そうですね。みずほさんは、僕がベンチャーキャピタリストの駆け出しの頃からだから、だいぶ長いお付き合いです。

中平:そのあたりの繋がりのおかげで、スムーズに投資判断いただけている部分もあるのかなと思っています。株主の皆さん同士の一体感という意味でも、すごく良いチームになってきた実感があります。

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ダイバーシティ強化という挑戦、実現したい未来

堤:株主って、ダイバーシティがすごく大事だと思うんです。経営チームもそうですけど、他の株主の皆さんにも多様なアドバイスをもらえることが、非常にレバレッジが効いていいんじゃないかな。

中平:まさにダイバーシティですよね。僕らがこれから本当に考えなくてはいけない大事なテーマ。現状は、偏りのある多様さ、みたいな感じで。特にボードメンバーとか。

堤:創業メンバー全員が同じ会社出身であることが、強みでもあるけど、そこに入りにくい空気感みたいなものがあると、スケールするときにひょっとするとボトルネックになるかもしれない。別に今すぐにって話ではなく、段階的に幅を広げていくといいんじゃないかな。インクス出身だからこそのフィロソフィーは大事にしつつ、ここはガラパゴスなので、新しいガラパゴス的な血を、特に今のコアな3人には無い血をどう入れていくのかが非常に大事ですよね。

中平:僕自身がちゃんと経営者になっていく過程で考えるべきことですよね。起業家から経営者になる瞬間があると僕は思っているんですけど、何がそのような変化を起こすと思いますか?

堤:自分と異なる価値観やパワーを持つ人を受け入れられるかどうかですよね。怖いとか扱いにくいとか思っちゃうと、イエスマンばっかりになっちゃう。それを超えて、自分より経験のある人とか、多様な人をきちんとした処遇で迎え入れられるかどうか。自分がやってた分をある程度その人たちに任せることができて、さらに違うステージのことに挑戦して、経営者として一回り大きくなっていく。その繰り返しでしかないと思います。

中平:確かにそうですね。前職のグリーさんなども、そういう変化は感じましたか?

堤:グリーは結構特殊で、創業間もない頃からトップに強烈なメンバーがいて成長のスピードが尋常じゃなく早かったから。4年でIPOしているんだけど、もう時価総額1,000億近い値段で上場しているんですよ。そんな会社なかなか無いんだけど、その後色々な問題を乗り越えていく中で、新しい血を少しずつ入れ替えていった印象はありますね。

中平:ここから1、2年で挑戦しなきゃいけないと感じてます。VC の皆さん、扱いにくい人がいっぱい入ってきたので、予行演習になると思っているんですけど(笑)

堤:(笑)

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中平:それはそれとして、やっぱり社員や役員として、すごい人が入ってくることは全く別ですよね。僕にとって、受け入れるための度量をグッと広げていくというのが、今年来年のテーマです。ひとまわり上の方の採用とか、挑戦したいんですよね。きっと(ソフトバンクの)孫さんも(ファーストリテイリングの)柳井さんも絶対やってきてると思うので。40超えたし、できるんじゃないかと思ってます。

堤:他社の例でいくと、ビザスクやKaizen Platformなども、経営ボードを強化して、CEOが自分の足りない部分を補ったのは大きいと思うんですよ。得意じゃない部分を別の人が担うことで、組織としての安定感がグッと増すから。ビッグネームを採用するって話じゃなくて、チームに欠けている部分を、中から抜擢でも、外から採用でも良いので、しっかり補えるかですよね。

中平:会社って「国」だと思うんですよ。右大臣・左大臣がいて、意思決定が完全にはトップダウンではなく、侃侃諤諤とした議論が行われるはず。そこには経験豊富な方も絶対必要で。キングダムとか読んでても大体いるじゃないですか、おじいちゃんみたいな人(笑)あともう一つは、やっぱり若さ。新卒や第二新卒をどんどん採用して、新陳代謝を起こすのが健全なんだろうと思ってます。

堤:ピンポイントで力のある方は入れつつ、長い目で見たら若い世代にうまくバトンタッチしていく。10年すると、中平さん達創業メンバーは50才になるんですね。

中平:うわー、確かにそうですね。

堤:10年後のガラパゴスのエースをどう作っていくかが、すごく大事な観点だと思います。

中平:そうですね。今回頼もしい皆さんに株主として入っていただいて、そういった長い目線での成長の道筋も見えてきたところです。ぜひ引き続き、フラットにディスカッションさせてください。

それでは最後に、ガラパゴスに興味を持ってくださっている方に一言メッセージをお願いできますか?

堤:ガラパゴスがやろうとしているチャレンジは、世界的に見てもユニークだと思います。ユニークなこと、大きいことにチャレンジしたい人にとってはすごく面白い環境です。大きな資金調達もしているし、いいチームができているし、その中に入ると会社の成長に乗っかって、ご自身の成長速度がすごく上がります。成長意欲が高い方、若い方が今のタイミングでガラパゴスに入れば、とても良い経験になるんじゃないかなと思っています。ぜひ、ご応募お待ちしています!

中平:堤さん、本日はありがとうございました!

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▲終始、熱を込めて語ってくださった堤さん。投資先の企業の一員として伴走する、その信条が伝わってきました。

ガラパゴスでは、デザイン産業革命に取り組むメンバーを募集中です!

(文責:武石綾子・髙橋勲)