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【台湾視察記④】いざ、学生交流!

再び瑞希です。
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この日はNational Taiwan University of Science & Technology(台湾 台北市にある理系・科学技術系の国立大学)を訪問し、翁 晶晶 准教授という、企業を中心とした組織開発や、ソーシャルイノベーション/ソーシャルインパクトの起こり方について研究している方とその生徒さんとの意見交換を行いました。その中で私の独断と偏見によって面白いと感じた点を紹介します。

左が翁准教授

①組織の変革をどう起こす方法
組織のドラスティックな変革にはトップから信号を発して、それによって従業員の行動が変わり、そして最後には従業員からのボトムアップの提案が行われ双方からアプローチが合わさることで組織が変わるということをお話しされました。
『都市の鍼治療』という本の中で、著者のレルネル氏が建築は提案であること、それによって良いサイクルを生み出していくというような考え方を示しています。トップの発する信号に従業員が必ずしも賛成するわけではないだろうということ、またアイデアは必ずしもトップが自ら考えた物でなくていいだろうという推測しますが、これを含めて、組織や社会を変える段階についてのイメージがより明確になったように思います。

②「How can we share what achieve by corroboration ?」
「どのようにして我々は協働することによって達成するものを共有できるのか」という意味でお話しをされていたかと思うのですが、これは『対話と議論で〈つなぎ・ひきだす〉ファシリテート能力育成ハンドブック』の一章における説明と重なるように思います。
私たちは幸か不幸か自分一人で社会どころか組織を変えることすらままなりませんから、協力する必要があるわけです。そこで、あなたと私で一緒に出来る事は何かを考えることが大切なのです。またそもそも立場の違う別の生き物と一緒に話をする、一緒に出来ることを考えるということは非常に難しいことですから、怠らず、避けず、技術を磨いてそれに臨まなければならないでしょう。
このような考えは、私が龍谷大学政策学部で学んだことと通じるところがあり(私が解釈しているのでは当然ではありますが)、別の国で別の言葉を通してそれを聞くことが出来たのはとても楽しい体験でした。

活発な質疑応答が飛び交う

さてその後いよいよ学生との交流タイム。自主的にこのセッションに参加してくれた学生は9割が女性で、中には日本語が達者な学生も複数おられました。また多くはテクノロジーやインダストリアルデザインなど理解専門の分野を学ぶ学生で、彼らがソーシャル・イノベーションの仕組みを積極的に学んでいる姿に驚きました。
皆さん修士課程の学生さんで、各々が色んなテーマに取り組んでいる中で、背景としての問題が共通している人などもありました。

ある学生さんは地方の家業が継がれないことを問題意識として持っていて、地方創生的な文脈でとても楽しくおしゃべりしました。この学生さんは伝統的な手法で紙を製作する企業の3代目で、そこで作られる紙は故宮博物館等で文化資産の修復にも使われているとのことでした。ただ今後家業を持続させていくためにも伝統的な技法を残しつつ、原材料を灰やバナナの葉などに変えてより環境負荷の少ない紙作りを試みているそうです。
そんな彼女からは「日本では地方の家業承継にどのような取り組みをしているのか」という質問を貰い、これに対して私は、日本も似たような状況であること、地域や世代が違いながらも一緒にやっていく方法が必要であるという趣旨を伝えました(拙い英語での話しなので伝わっていることを願いますが...)。
逆にその学生さんが実家の紙づくり業で取り組んでいる、伝統的な技術を守りつつ新しい発想を採り入れてイノベーションを試みるという事業は、挑戦的に伝統を繋いでいくという点で非常に学ぶところが多いものでした。

話が尽きない!

日本チームメンバーのYasuは、千葉と福島に来たことある学生と日本語学部から国際経済学について学んでいる学生と意見交換。
千葉と福島の学生は、日本に留学に来ていた際に、地域再生の活動に参加しており、現在は日本語学、商業学、テクノロジーについて学んでいるそう。また、もう1人は学部時代に日本語について学び、大学院に入り、サステイナブルな経営や経済について学んでいるとのこと。
2人に共通していたのは、「台湾の現状を変えるために学んでいる」ということでした。特に後者の学生は、台湾のサステイナブル経営の進展していない現状を受け止めて、その現状をいかに変えるかを目標に現在大学院で学び、夏にはインターンとして実践的にサステイナブルとは何かを某大企業で探究していくとおっしゃっていました。
2人と話をする中で、自分の国の課題を真剣に受け止め、それをいかに自分が解決できるか、また解決するためにはどのようにアクションをすればよいかなど、「学びの対象がある探究」をしている姿勢にYasuは尊敬の念でいっぱいになったそうです。
その上で「学びの対象(誰のどのようなことにプラスなインパクトを与えることができるのか)」を設定しながら、大学院・本プロジェクトで探究をし続けていきたいと話してくれました。

この日のセッションでもとにかくパワフルな女性たちの力を実感

問題にしろその背景にしろ、日本独特だと思っていたものでも意外と共通点があることがわかったり、と思えば日本と全く異なる課題へのアプローチに取り組んでいたり、そういうことが分かってとてもわくわくしました。
どこか同じでどこか違う台湾で得た刺激と知識と経験を今後のプロジェクトと学びに生かしていきたいと思います。

続く・・・


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