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【台湾視察記⑤】And now, what do we change?

台湾滞在最終日にマッサージを受けて太ももが凹んだHilaです。
前回の瑞希のレポートにあるNational Taiwan University of Science & Technologyでの学生交流のあと、チームで取り組んだ4日間の振り返りの様子をお届けします。

⭐過去のレポートはこちらから⭐
【台湾視察記①】国を超え、意見を共有し合えるチームとの再会
【台湾視察記②】デジタルバンクから、どこへ?
【台湾視察記③】Act localな大稻埕を歩く。
【台湾視察記④】いざ、学生交流!

まずは4日間で訪問した銀行2行と元IKEAのPeterとの対話でそれぞれが感じたことを共有からスタート。

特に印象深かったのは、全員がTaishin Bankに違和感を感じていたということでした。
O Bankでは彼らがビジネスを通して取り組んでいるソーシャルの理念とその体現方法についてを明確に伝えてくれていたことに対して、Taishin Bankで紹介レクチャーの根底にあったのは「業績の素晴らしさのアピール」であったと全員が感じていたのです。
DOMIが協働を初めて実現した銀行はTaishin Bankであると同時に、自社のテクノロジーの発達と応用の目的は利益の最大化であるというのが企業の経営方針。

これはCoreyが教えてくれた裏話によって更に明らかなものになりました。
それはレポート①にある「Shape of hope」を訪問先で関わった方々全員に描いてもらっていた際のことでした。Taishin Bankで私達を迎えてくれた若手チームを取りまとめるマネージャー職にある女性(恐らくまだ30代半ば)は、何を描こうかと迷っている時に自社のロゴ(可愛いワンちゃん)を提案されたのですが、とても「鋭利」な比喩を使って拒否したのです。

そんな彼女は5年間DOMIの研修に参加しており、CoreyやTammyに「DOMIは自分の仕事に意味をもたらしてくれた」といつも話しているそうです。
自分が一所懸命働いてる会社の利益最優先主義とそれに基づいた人事評価基準、そしてDOMIがもたらした事業を通じて社会に還元する意義への気づきとの間で苦しんでいることが、私達の受けた違和感の理由の全てを表しているなと複雑な気持ちになりました。

大企業で働きながら、真面目にDOMIの研修を受けると必ず皆矛盾に突き当たるとCoreyも言います。そして自分の行動と善心のギャップに「Miserable=惨めさ」を感じるのだと。
それって誰しもにとって物凄く苦しいことであるからこそ、その苦しさを「行動=仕事」を通じて減らす方法があることを、しかもその方法はこの世界の99%の人々の人生をより良いものにすることができるものなんだということをDOMIは根気強く受講生に寄り添いながら伝え続けてきたのだと話してくれました。

How do we change?

「Power to change」を合言葉に社会に、組織に、人に変化を起こそうとしている私達ですが、他を変えようとする前に、自分がより良く変化できることは何かをまず見つめようとCoreyから提案が。ここまで振り返ったこの4日間の学びから自分が変化したいと思ったことをそれぞれが共有しました。
 
その全てを紹介することは難しいので、私自身が自分の中で起こしたいと思ったchangeをここでは書かせてください。

それは「言葉をシンプルにすること」です。

皆さんも恐らく頷かれるかと思うのですが、グローカルセンターがやっていることってシンプルとは真逆のところにあると思います。それは何故なら複雑なことに取り組んでいるから。シングルイシューの課題を扱っていないから。その分事業の数も種類も多様だから。「単純でないこと」に誇りをもって、それが価値なんだと活動してきました。
(この図でいう「Zone of Complexity」に取り組んでいます)

グラフ:「Zebras Unite」2019 Conmunity Survey:Final Report」を参照

その考え方が変わったわけではありません。ただ、今回の旅でCorey達がいかにして企業や学生、行政その他ステークホルダーを巻き込んで-+モデルを実装することができたのかが、彼のプレゼンテーションや発話を通してこれまでよりもより明確に理解ができたのです。

それは「わかりやすさ」でした。

これまでも何度も彼のDOMIの活動に関するプレゼンテーションは聞いてきたのですが、その内容がこの旅の中で更にアップデートされて、よりわかりやすく、腹落ちしやすく、そして最後には感動を感じるものになっていることに衝撃を受けたのです。
巻き込みたい相手の考え方、彼らが得たいと思うメリット、そして否定できない確実に存在する課題を把握した上でそのポイントを抑えて、彼らに通じる言葉を使って伝える。

いや、それってビジネスの基礎でしょう?と言われるかもしれません。
それが自分はとっても下手だったのだなと痛感しました。

巻き込みたいけれど心を開いていない相手を口説くメソッドを、実際に今回タイチームに帯同してきたBAAC(Bank for Agriculture and Agricultural Co-operatives)の上層部メンバーに活用した例を交えてCoreyが説明してくれました。
(BAACはタイの財務省が99%所有する農家専門の銀行で、従業員数が2万人を超える大企業です。)

① Make them respect first 
 まずは自分たちの実績に対しての尊敬を得る
② Show them that you want to help them 相手の力になりたいのだということを理解してもらう
③ Ask questions 彼らの悩みを聞き出す
④ Show them empathy 共感する
⑤ Pulling them into your area 自分たちのフィールドに彼らを引き込んで話を進める

この方法で始めは形式的なレベルでしかコミュニケーションしなかったBAACのメンバー。
何故なら、Saku曰く、国の総人口のうち農村人口が約47%を占めるタイにおいてBAACは農家に取ってはライフラインのような存在にも関わらず、メンバーは自分たちの仕事に誇りを感じておらず、だから何かを良くしようというパッションもあまりないと。
そんな彼らに上記のような流れでコミュニケーションを進めることでDOMIの活動に本気で興味を抱かせ、対話ができる状態まで変化させたそうです。

グローカル(私を含め)のこれまでのコミュニケーション力を考えると③④は私達の得意とするところだなと思うのですが、そこに至る前の①の部分で躓くことが多いなと思っています。実際、友人や家族にグローカルの活動を説明する時に私は言葉選びに苦労することが多いのです。
なぜなら事業の説明をしようとしてもその全貌を説明しようとすると長くなる。コンセプトや理念だけを伝えようとすると抽象度が上がり過ぎる。結果として活動の内容が不明瞭で理解してもらえない。ということが屡々起こっているなと。

先に書いたように実際私達の事業は多岐にわたっており、これをわかりやすく説明できるようにするにはきちんとその様々な内容を整理し、フレームワークに落とし込んで図式化する必要があるなと考えました

そしてそれらは「風通しの良い社会をつくる」という理念のもと、「教育の社会化」をミッションを達成するために取り組んでいるわけですが、この抽象的な言葉がどういったことを意味するのかをまずスタッフ間で言語化し共有知とすることも必用かと思っています。
 
そうした上で伝える相手によって、彼らに通じる言葉を使い分ける。まずは相手の土俵に上がってコミュニケーションをするということをもっと自信をもってやっていく。
 
ということ全てが私の意味する「言葉をシンプルにすること」ということです。その変化をこれから起こしていきたいと思えたことが台湾で私が得た最大の学びとなりました。

Love letters

そして振り返りの最後には、チームメンバーの1人1人に対して、4日間で良いなと思ったその人の言葉や行動をメッセージにして渡す時間に。

9人分のメッセージを書くには結構な時間がかかったのですが、パツパツの行程の中でチームメンバー1人1人のことを思いながらフィードバックをすることの大切さをじんわりと感じることができました。
自分が1人の個として認識され、受け止められ、感謝されていることをお互いが実感することは自他肯定に最高の方法だと思います。

忙しい毎日の中でこの時間が取れていないことを反省しつつ、近いうちにグローカルでやろうとを
勝手に心の中で決めました。
 
気がつけば時間は20:30。皆ヘトヘトながら、満足を顔に漂わせて振り返りセッションが終了。
仲良く1台の車に詰め込まれて帰路につきました。

最後に。

この長文にお付き合いいただきありがとうございます。
気がつけばこの台湾視察からもう1ヶ月以上が過ぎました。
そして10月にはいよいよ台湾&タイのチームを京都に迎え、このTOYOTA国際助成プロジェクト2年間の活動の締めくくりとしてフォーラムを開催します!

日時▶10月12日(木) 14:00スタート
場所▶QUESTION 4F

当日は同時通訳も用意して、アジア発のソーシャルムーブメントについて活発なディスカッションをお届けしますので皆様の参加を是非お待ちしております!

以上山田からお届けしました





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