🌐11/16 POWER TO CHANGE FORUM「大人は若者のお手本となるような行動しているのだろうか？」(前編)

2022年11月30日 08:45

はじめまして！今回初めて参加させていただきました。GLOCAL CENTERプロボノのりおです。

5大陸16カ国から約70名が参加という国際色豊かな集まりで、英語で話し始められ（当然か、、、笑）ぎょっとしましたがちゃんと通訳があり一安心。

それでは、当日の様子をレポートします。
後編はコチラ

この会は公益財団法人トヨタ財団国際プログラム2021年の採択プログラムの一環で「気候変動と貧困問題の同時解決システム構築のため、台湾の‘‘－＋モデル’‘をタイと日本でノウハウ移転を行い各国での展開を図る」を目的とし1年前にスタート。今回3か国の学生・社会人メンバーからの活動報告・参加者とのディスカッションが行われました。

📝のりおコラム：「気候変動や貧困の問題を巡る今」

世界経済フォーラムの「第17回グローバルリスク報告書(2022版)」で、今後10年で深刻度の高いリスクの1位～3位を【気候変動への適応の失敗や異常気象といった環境に関する課題】が占めています。次いで【貧困】に関連する事項も。このように世界的に喫緊の課題として認識され、これらの課題を放置する事は、社会の未来に暗い影を落とすことに疑う余地はありません。

本FORUMでは、このような暗い未来を払拭するための‘‘希望’’（環境や社会の移行）となりえる、それぞれのスピーカーの経験談の旅路（journey）のお話、未来の主役である学生のアクション、これからの展望が語られ、共感と学び合いから、聞き手自身の行動変容を促すことを目的とされているような心象を受けました。

活動の原点：Corey Lien氏によるオープニング

**All work and all work, all work.**（働いて、働いて、働きまくっていたという）

まずは、台湾のCorey Lienさんのインパクト大のオープニング！若いころ、貿易、ファッション、金融の業界で働き、起業した会社を上場させ、複数の国で様々な会社を立ち上げ、、ワーカーホリックだったという。Coreyさん自身お子さんが生まれた時に、大気汚染が気になり始め気候変動の課題がジブンゴトになり"なんでもできる、確かな力を感じていた自分"から一気に"自分の存在価値や意義に自信がなくなった"と衝撃のターニングポイントについて語られました。

子ども達に明るい未来を遺すためには、様々な国に足元で起きている気候変動を原因とした災害（森林火災や水害など）と、それをみんなで協力して乗り越える必要があるということ。このような大きな災害を乗り越えるためには、みんなで協力することが必要不可欠だというお話を頂きました。

「諸外国で起きている問題の構造から、目を背けることなく解決されるよう取り組んでいくことが私の決意です」というメッセージも。

そのためにDOMIを設立。アジア全体でサステナビリティのムーブメントを起こし、持続可能なエコシステムを作り出すことを目指しておられます。

次に、Coreyさんのjourneyの鍵となるSakulthipさんと行元さんとの出会いに触れられます。お互いが協力しチームとしてチカラを発揮することができればエコシステムを作り出すことに繋がり、そのためには多様な背景をもつ異なる世代のメンバーたちとの本当の意味の"相互理解"を深めながら進めていくことが最重要であるというお話がなされました。

境界（Boundary）を突破するためのチーム

ここで行元さんにバトンが渡され、経験により境界（Boundary）を設けてしまう大人はそれを突破するためにピュアで制約がない自由な発想ができる学生の力が必要であること。"経験がないからチャンスがない"という先入観によって境界（Boundary）を設けてしまう学生には、決してそうではないということを背中で見せる大人がここにはいて両者をHilaさんが、想いや背景などを翻訳し協働におけるつなぎ役（相互理解の実現）をしているとお話しがありました。Hilaさんが言うことは絶対で、コミッションをとらない天使のようなマフィア的存在だそうです。

個々の能力を買われて作られたスーパーチームでも相互理解がなければ力が発揮されないですし、さらには言語・文化など多様な違いのある世界の課題解決など到底不可能と思います。

さて、お話をCoreyさんに戻します。

Coreyのチームではビジョンを実現するためにメンバー全員で限界を作ることなく、常に可能性を摸索し、力を合わせて進めていくという力強い宣言をされていました。

このチームで社会の持続性を追求していくためには、これまで世界で当たり前のようにあった変えたいものを破壊し、新たなものを作り直すということをするのではなく、守り・グランドルールを見直し再生していくという発想に変えていかないといけないと力強い口調で特に強調されていました。

ソーシャルの重要性に光を

一つ目はカーボンニュートラルについて、アジア44か国の内7か国が約束をしています。

二つ目は世界最大の資産運用会社が会社のCEOにBcorpのように気候変動やESGへの責任を果たすことを要求し、EU政府からも、多くの場合、企業はESGにおいてガバナンスと環境に重点を置いているため、ESGを遂行する際Sを真ん中に据えるように行動とプロセス開示を促しているといいます。

For blackrock is requesting the CEO of the company to have responsibility of taking on climate, ESG and be like a B Corp For EU, is reminding that Conpany remember to have S in their ESG plan, because often time company focus more on governance and environment

気候変動を改善するための行動により、人権・社会・平等性がより良い方向に向かう社会づくりに挑戦しています。そのためには、市民の行動だけではなく、企業も巻き込み行動を変容していく必要があります。

マイナスプラスモデルとは？

そこで、この変容のためには社会構造、サプライチェーン全体を見渡す必要があります。それを実践する方法として若者・企業のネットワークを作り出すような社会的な連携と、ネットワーク内の対話を促すことで、大規模に拘ることなく小規模でもインパクトを作り出す仕組みが大切です。このインパクトをリソースとして社会課題の解決というニーズを満たす取り組みを実践しているということです。

本プログラムのモデルともなっている台湾の事例として、下記の図が紹介されました。企業が、紙の領収書や請求書の使用を減らすことで経費を削減し、同時に森林の伐採量を減らすことによってCO2排出量を削減します。削減した余剰分の経費を利活用します。行政と連携し、収入の6分の1が電気代を占めるエネルギー貧困家庭にLED電球を支給し、電力消費の削減(即ちCO2の削減）と貧困家庭の支援をするという循環、未来へのインパクトを創出しています。

正にこれが「マイナスプラスモデル」（本プログラムで3か国で目指すモデル）であり、－と＋をそれぞれが数値であれば相殺して０になるだけなのに、この取り組みでは、－した企業にとっても＋になり、サポートを受けた家庭や地域はもちろん＋になるという取組。その＋も単純な数値で図ることの出来ないウェルビーイングにも繋がるものになっています。

この3か国では台湾の知見に学びタイ・日本それぞれで学生が主導しリサーチと立案を行い、企業の協力を得ていくという教育・人材育成の側面でのインパクトもはかりしれません。

メインの3か国学生セッションへ

台湾チーム代表、Christinaさんからは「子どものころから日常生活でゴミ問題がとても課題だと感じていました。とはいえ私たち人間は生活する以上ゴミが出てしまう、でもこのままの廃棄を続けていけば大変なことになってしまう。自身のアクションだけでは小さな力であることは分かっているので、少しでも多くの人と取り組むために仲間を作るよう発信しています。そうした動きの中で、特に日常生活における一人ひとりのもたらすインパクトの力や、ゼロウェイストの考え方やが重要だと発信していきたい。」とお話しされました。

日本チーム代表、ヤスさんからは「モデル作成にあたり、まず貧困に関しては、自分自身もし親が働けなくなったらと考えると自分も他人ごとではない。大学に通っている人でも実は、見えない貧困に苦しんでいる人がいるということを目の当たりにした。日本における貧困とは？助けが必要な人とは？という問いをみつめ、この間支援活動をされている方々へのインタビューや国を超えたチームにフィードバックをもらいました。日本の中では貧困に対する固定観念があり、またプライバシーの壁でアンケートの際にも本当に話を聞きたい人にはリーチできない事情がありました。様々な視点での対話を通じ、感情的な事、財政的な事だけでなく様々な目に見えない原因に目を開いていき、これからチームや地域の企業の皆さんの力も借りてで見えにくい若者の貧困問題にアプローチしたいと考えています。」とお話がありました。

タイチーム代表Moowanさんからは
「母からの影響もあり、デザイナーとして持続可能な社会づくりを目指しています。自然界の仕組みから学び、それを模倣して技術やシステムの開発に活かすバイオミミクリーを学びながら、その実践として国家間の格差是正にも繋がるような産業の活性化のため、持続可能な自然なデザインの思考を応用、活用していくことに挑戦しています。以前までは産業の活性化のみに力をいれていましたが、それだけでは国際的な温暖化や燃料消費などの視点が欠けてしまい、持続可能な社会を作りたいという大きな目的と手段が一致していなかったことに気づきました。そこで、包括的にアプローチする仕組みをデザインし実践できるこのプログラムに参加しました。」とお話があり、現在のタイでゲストを招聘してこうしたトピックについて語らうトークシリーズの活動にも話が及びました。

📝のりおコラム：「学生発のテーマに、大人が全力で関わる可能性」

3人の発表をお聞きして、私自身が学生の頃にこういった事を考えたことがないということに恥ずかしさを覚えつつも、彼らが考えるきっかけになったことやそのモチベーションを維持するために何をされているのかを聞いてみたいと思いました。

特にヤスさんからは日本の学生の貧困問題において、何らかの課題を持ち行政の支援を受けられなくなっている貧困があるという話があり、私自身が貧困に対する固定観念に縛られていたと気づかせてもらうことが出来ました。
私の所属する一般社団法人ソーシャル企業認証機構やソーシャル認証企業のみなさまと共にお手伝いできることも考えたいです。

前半Sessionの感想 (byプロボノのりお)

環境を改善する取組が貧困問題を改善することに繋がる、、、めちゃすごい
市民と企業がチームとなって課題解決に取り組む。そしてそこには皆が短期的長期的にも＋になるということと、このような考え方が広がれば持続的な社会づくりに繋がるという発想は素晴らしいと想いました。

POWER TO CHANGEについてとても重要な思考方法を知ることが出来たことに感謝すると同時に、
「いま大人が若者の手本となるような事を考え、行動しているのだろうか？
いや、そもそも若者は大人を手本として見ていないのではいか？」
ということがアタマから離れません。

それが大人に対する諦めからくるものであれば、反省しつつも一方では、いくつになっても柔軟さをもって学び続けることとで今後は若者も大人も年齢を問わず未来を見つめて議論し挑戦していくことが出来るのではないかと思いました。

そういったことが出来る「人づくり・場づくり」こそが今求められているのかもしれない。そうすれば世代だけでなく多様な違いを超えた相互理解も生まれてよりよい未来を作り出すことが出来ると強く感じた会でした。

重ねて、私自身が京都で関わらせていただいている「ソーシャル企業認証 S認証」での認証企業様への新たなる視座の提供ということにもなるのではないか、いっそのこと認証企業様で仲間を募ってこういうことを考えるイベントなども考えてみたい！と思ったお話でした。

また、Coreyさんの仰る‘‘チーム’‘というのは、相互理解による適切なコミュニケーションが作り出す強固さとしなやかさ（resilience）を兼ね備えたものではないかと感じ、自身に置き換えてどのような努力が必要なのかとアタマをぐるぐるさせていましたが、やっぱりまずは自分の事を話して共感してくれる仲間を見つけることだなと1人納得していました。

続いて、後半ではアダルトチーム（大人）のセッション、ブレイクアウトセッションの様子と学生を代表してヤスくんからの感想レポートです！

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