👟11/16 「だれも置き去りにしない」3か国のアクションとこれから(後編)

こんにちは！前編に引き続き、プロボノののりおです。
今回は、学生リーダーのヤスくんと、5大陸16カ国から約70名が参加したPOWER TO CHANGE FORUM🌐後編のレポートをお届けします✨

トヨタ財団国際プログラム2021年の採択プログラムの一環で「気候変動と貧困問題の同時解決システム構築のため、台湾の‘‘－＋モデル’‘をタイと日本でノウハウ移転を行い各国での展開を図る」を目的とし1年前にスタート！今回3か国の学生・社会人メンバーからの活動報告・ディスカッションが行われました。

アダルトチームへバトンが！

FORUMの前半では、Corey氏から自身のターニングポイントや活動の原点が語られ3か国の学生チームからの発表がありました(📝前編はコチラ)

後半は大人組、アダルトチームです！まずは、タイ代表NISE CORPのCEO Sakuさんが登場✨

Sakuさん自身、手堅い証券取引所→未知の社会起業家へ大きなキャリアのシフトを遂げたきっかけについて語られました。

SAKU | BEAU 💙BEAUTIFUL

「2011年に社会起業家としての活動を始めてから10年が経ちました。タイの証券取引場で出会ったあるCSRプロモーターから"社会起業家"という概念を初めて教えてもらった時に、深い共感を覚え、そして同時に”私はなぜ生まれてきたのか”という問いが生まれたのが今の私の活動の原点になっています。」

「当時証券取引所という手堅く、競争の激しい職場にいて、社会のための仕事であるかどうかは関係無く、会社にとって優秀な従業員であるかどうかが大事だった私は、その時に勇気を持って大きな決断をし、不安定ででも間違いなく社会にとって意味のある仕事をスタートさせたことで、新たな人生の素晴らしいストーリーが始まりました。NISEという会社を立ち上げ、”社会起業家”の存在や活動、そしてその活動を世の中に広めていく中で、ソーシャルインパクトの重要性に人々が気づき始めました。そしてソーシャルインパクトの概念の普及活動を通じてB corp ASIAで活躍していたCoreyと出会い、彼が私を更に次のステージへと連れてきてくれました。本当に感謝しています。その新たな挑戦の１つがこのPTCプロジェクトです。1人1人の存在は小さくても、その１人1人が協力をすれば世界は変わると信じています。このプロジェクトも今は3カ国だけでスタートしましたが、これから更に多くの国々が仲間入りをしてくれることを楽しみにしています。」という力強いメッセージがありました。

「社会起業家」を知ったことで「自分の生まれた意味」への問いかけへと繋がり、そして自身の安定を捨てて社会のために尽くす仕事へと大転換をしここまで活動をされているその潔さとアクションの揺るぎなさに、ただただ感銘を受けました。

つぎに、日本代表行元さんからは、
「2019年からブラジルでBcorpについて学びアジアのムーブメントを起こした人物であるCorey氏に会うために台湾に飛んでいき、この出会いが今の原点になっています。」というストーリーが語られました。

「大切なものは好奇心を持ち続けることであり、経験はその好奇心による行動についてくるもの。行動するだけでなく、相手の立場に立って想像力を働かせること、全ては日常の小さな問いからはじまり、小さな問いを考え続けることをやめてはいけないと思っている。」という投げかけをされていました。

好奇心や小さな問いは簡単に見えますが、日常の中でつい飛ばしてしまいそうな事ばかりで、改めて自分の行動を見直すきっかけにもなりました。何かを変えるためにはたとえ個人でも意思と行動力があれば世界も変えられるかもしれないという可能性を感じました。

3人のきかっけになった問いです

そして、ここからはパネルディスカッション！DJ Hilaによるモデレートで、3か国から気候変動を巡る状況やアクションがシェアされました。

パネルディスカッション：3か国のClimate Actionの今。

■台湾 Coreyより：
「ーNET ZEROに韓国(2020,4月)、中国（2020,9月 *2060まで）日本(2020,10月)、を3か国のTOPが表明。アジアは世界最大かつ最も成長の早いエネルギー消費者であると同時に、56-7%を輸出に依存しているためこのままでは国際社会で立ち行かなくなる。」

「そこで、台湾では4つのカテゴリ：エネルギー、産業、ライフスタイル、そして社会(ソーシャル)でのトランジションを試みた。」

「４つ目のSocial Transitionではソーシャルサポートシステムが必要。一番大切なのは誰も置き去りにしないこと。そして国レベルの目標VISIONの次に、企業のロードマップとアクションプランに。」

Coreyの奥さんが蔡総統からダイレクトに入手したという資料

「企業側には、下記の通りいつまでになにをしないといけないか詳細なロードマップが示されている。」

「けれど、1つ足りないものがある。ソーシャルパートが抜け落ちている。企業が誰の声を聴くかというと、顧客である。企業が1人の顧客の声を聴き、あらゆるINJUSTICE（権利の侵害）に立ち向かい協働する道の可能性を信じている。」

とお話がありました。Sakuさんにバトンが渡ります。

■タイ Sakuより：
「Coreyの話から台湾の先進的な取り組みには、いつも開眼させられている。みんな気候変動の問題に気付いている。私自身も、1人の消費者として常に考え行動しようとしている。」 

「実は、タイの深刻な状況としては首都バンコクで年間25mm海面が上昇している。人口の約30%の6000万人が主要産業の農業に携わっている。農家が気候変動の影響を受けている。世界で2番目に米を輸出している国でもあり大きな影響を受けている。そしてその農家全体の40%が貧困に苦しんでいる。」

「厳しい状況に直面しつつも、希望としてはどうやって中小企業の方やステイクホルダー、農家の方々と共に政府レベルの政策やロードマップを一緒に眺め、進めるかどうか。ということを考えアクションすること。」

タイは世界で8番目に極めて高いリスクがあると言われている

「消費者として、そしてチェンジメーカーとして農家やお米が日常に欠かせないことでありそれらを思い起こさせるinterconnected（相互接続）とinterdependency(相互依存)を鍵に、今置き去りになりつつある人を内包して進んでいきたい。」
という、サクさんのメッセージが印象的でした。

■日本 Sayaより：
「Sakuの話から、本当の意味のインクルージョンを考えさせられました。日本の現状としては、化石賞を受賞し日本政府が何にお金を使っているのかどんなインパクトを世界に届けているのかを考えさせられた。SDGsでは世界的には19位というランキングではあるが、数字や表面的な変化に若者は置き去りにされている。日本の状況においては、気候変動の課題を語る以前に、あらゆる課題がシニア男性が大多数を占める場で様々な課題の意思決定を行う構造的な問題、多様性の欠如により引き起こされていると感じている。」と話がありました。

「そして、だれ1人取り残さないを掲げるSDGs19位の日本の若者がグレタさんも以前受賞したという国際子ども平和賞で初受賞したとのニュースが。"若者にこんな恥ずかしいこと言われ、世界で注目を集めて、これから日本の政治家は変われるのでしょうか？"とインターン生からこのニュースを教えてくれた時、この国の若者が希望を持てる社会を創りたい。今の、日本の状況は深刻だなと改めて痛感しました。」
と話がありました。

参考）経産省のロードマップ

多様性（に基づく意思決定）が鍵というメッセージでした。奇しくも3人の話から、Leave No One Behind（だれ一人取り残さない）がそれぞれの国の状況と文脈で語られました。ここからQ&Aのあと、参加者とともにネットワーキングタイムへ✨

レポートは、学生リーダーのヤス君にバトンタッチします！

ネットワーキングタイム

　今回、ラストのセッションでは、4～5名の部屋に分かれ参加者同士で今日の感想の共有や日本の貧困の見えづらさや実際のアクションの事例についてお話しました。僕の部屋では特に、公営住宅を利用した貧困問題の解決が話題に上がり、自身の研究分野と近い話も出てきました。

各ルームでの話が参加者より共有されました

　このセッションを通して、興味のある分野が異なる人が集まる場であっても、社会課題を通して、深い対話をすることができるんだなと感じました。今回であれば、都市計画・デザインや貿易関係、コンサルティングなど多様な活動分野の人が集まった時間でした。

しかし、「貧困」という言葉に対してメンバーの持つ共通課題から、都市計画的な分野からは「公営住宅」「都市内格差・ゲットー」、貿易分野からは、「廃棄物とそれを処理する国の経済的状況」「先進国と途上国の格差」などとそれぞれの活動の話がたくさん出てきました。これから、この活動を拡大させていくためにも、自分たちの活動を「共通言語」にできる部分を増やしていくことの必要性を学ぶことができました！！

📷①Thank you

📷②for

📷③joining us

Call for ACTION

台湾からはトークシリーズへの参加が呼びかけられました♪

タイもfacebook pageにて活動を発信しています✨

日本からは学生メンバーと協働企業の募集が★

今回の感想（学生代表ヤス）

今回の活動が始まって1年。今回、TOYOTAプロジェクトが一年経ち、活動の振り返りとして、日本チームの軌跡を発表しました。また、イベント参加者とのセッションにも参加し、自分の活動分野を通して貧困問題をどのように捉えているかをお話ししました。今回のイベント開催に向けての準備・開催・対話を通して、「内在的理論の理解」をすることや「共通言語化（自分事化できる言語に直す）」ことをこれから取り組んでいきます。

　まず、「内在的理論の理解」というのは、異なる意見であってもそのように考える理論や文脈があることを理解することです。

　イベントを作り上げることやTOYOTAプロジェクトを進め、活動の規模が大きくなるにつれ、自分の意見と異なる意見が出てくることが増えました。

そして、今までは、自分が構築した論理を崩すのが怖く、メンバ－や周りの考えをいかに自分の意見に納得してもらえるかを考えていました。しかし、今回イベントを成功させるためにも、メンバーの意見の裏側（なぜそのように思うのか、どのような背景からそのように感じているのか）を振り返る機会がありました。すると、意見が異なる中でも、共通の目的や考えの背景は一致していて、その手段や発する意見だけが異なっていることが多いと気づきました。そして、そこから僕自身の意見とメンバーの間で、意見を出し合ったうえで全員が納得する形に昇華し、まとめることができました。そのため、これからは活動を進める中で、自分と共通する部分を探求し、そこから新たなアイデアを出せるようにしていきたいです。

　また、セッションを通し、貧困状態の改善という「共通言語」「共通の目的」によって異なる活動を行う人々でも、深い話をすることができました。そして、これからはこの活動を拡大することや−＋モデルにより現実味を持たせるために、異なる活動分野の人々にとっても、この活動が「自分も取り組みたい・取り組むべき」と思ってもらえるような工夫が必要があると思いました。そのためにも、数字・統計・日本語・英語またそれ以外のさまざまな言語を利用し、活動の「共通言語化」を意識して活動していきます。

　村上春樹さんの小説の中で、

　"インタヴュアーはそのインタヴューする相手の中に人並みはずれて崇高な何か、鋭敏な何か、温かい何かを探り当てる努力をするべきなのだ。どんなに細かい点であってもかまわない。人間一人ひとりの中には必ずその人となりの中心をなす点があるはずなのだ。そしてそれを探りあてることに成功すれば、質問はおのずから出てくるものだし、したがっていきいきとした記事が書けるものだ。それがどれほど陳腐に響こうとも、いちばん重要なポイントは愛情と理解なのだ。"

「回転木馬のデッドヒート」タクシーに乗った男　より

　という文章があります。これは、インタビューのコツについて書かれていますが、人との対話やチーム活動において「内在的理論の理解」を有効活用することができると思いました。一見、自分とは異なる意見であったとしても、その裏側の執念や意思を愛情を持ち、読み取っていきたいです。

また、自分が内在的理解をしていくだけではなく、「内在的理論の理解を相互にしやすいチームの環境作り」や「一般的にも内在的理解をしてもらるように活動の共通言語化」をしていきたいです！

そして、これから。アダルトチーム大募集🌐

　そして、これからは学生と企業の方にアプローチをするために、これまでの活動や今日発表したリサーチパートの詳細をビデオに残そうと思っています！また、－＋モデルをより現実的なものにするために、ロスの問題やロスをどのようにすれば資源として使うことができるのかを一緒に考えてくれる企業様を大募集しています！

これから、このモデルは学生（ヤングチーム）だけではなく、企業様や大人（アダルトチーム）の考えや行動が必要だと考えています。

ぜひ、少しでもこの活動に興味を持っていただけるのであれば、お問い合わせください！！！
　
前編はコチラ