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グローバルヘルス業界でのキャリアの話

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なんだかんだキャリア形成に関する記事が増えてしまったので、まとめることにしました。
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#公衆衛生

「向こう5~10年で獲得したいスキル」を振り返る

WHOに入職する前に、こんな将来こんなスキルを獲得したい的なことをブレストして記事にまとめたことがある。 久しぶりに思い出したので、当時の考えが妥当だったのか否か、5年越しに振り返ってみたい。また当時見落としていたが重要なスキルについても検討してみた。 取り上げたスキル語学(特に英語以外の国連公用語) 過去5年間ほとんど勉強しなかった。JPO2年目にWPRO管内に異動してしまったので、英語以外の国連公用語を学ぶインセンティブが失われてしまったのだ。また専門知識を増やすこ

WHOの採用プロセスを理解する

最近ふと気づいたのだが、WHOの採用プロセスについて、このnoteで一度もまとめたことがなかった。まぁ自分が生き残るのに必死だったのと(これは今でもだが)、人様に能書きを垂れる程の記事を書ける自信がなかった、という理由はあるかもしれない。でも何度もWHOの採用プロセスを経験して、結果が良い時も悪い時もあったが、自分の中でノウハウが血肉化され、語れることが増えてきたと感じている。本稿では、その辺を中心にまとめた。 確かにWHOの採用プロセスは大枠では他国際機関と大差ない。じゃ

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国際機関就活において、なぜ専門性が大事なのか?

国際機関で生き残っていくためには専門性が大事だ!!とよく言われる。私も耳にタコができるくらい様々な人から聞いてきたし、理解したつもりになっていた。でも自らの直近数年間のキャリアを振り返えると、専門性に対する認識が甘かったと反省することがむしろ多かった。 専門性を高めることに対する認識の甘さは、日本人がグローバルに活躍することを妨げる1つの要因になっている。多くの日本企業では未だにメンバーシップ型雇用を主としており、(特に文系は)新卒採用等で専門性が問われることは少なそうだ。

グローバルヘルス業界でサバイブするためにPhDを取得するべきか?

私もまだ若手であるつもりなのだが、グローバルヘルスを志す、特にWHO等の国際機関で働きたい若者からアドバイスを請われる機会がある。頂戴する質問の中で頻出なものの1つが「PhDは必要なのか?もし必要であるなら、いつ、どこで、何を取得するべきか」である。僕も悩んでいたので気持ちはよく分かる。そして僕が選択した道が正しい保証は全くない。ただ昔よりは語れることがそれなりに増えてきたので、現時点でも自分の考えをまとめておこうと思う。 もちろん大前提として、PhDがないよりある方が良い

ポストを作って国際機関で生き残る

幸いなことにJPOを卒業した後にtemporary appointmentという任期付き正規職員(仮)のような立場でWHOに残留することができた。率直に言って嬉しい反面、任期は1年間でその後延長できるか不透明なので、首の皮一枚で繋がっているようなものなのだ。就活は続けなければならない。 このポストは上司と交渉して、現職場に増設してもらったポストである。他の国際機関の事情はよく知らないが、JPOから空席公募を通じてWHOの正規職員に選ばれるハードルは高い。空席公募のボリューム

WHO「本部」で活躍できる人材とは?

諸事情がありWHO本部から某国の国事務所に異動することになった。その詳細についてはおいおい触れるとして、今回の一件はWHO本部に向いているのはどんな人材か?について深く考えさせられた。あくまでも私の経験に基づいた話で一般化できないかもしれないが、これから国際機関を目指す日本の若者の参考になるかもしれないので以下にまとめたい。 WHOの役割・機能を理解するFrenkとMoonは、WHOを含むグローバル・ヘルス・システムの機能を4つに分類している。 私もこの分類は正しいと思う

グローバルヘルスで専門分野ってどう決めるの?

3月は日本が春休みだからなのか、グローバルヘルスに関心がありジュネーブを訪問しに来た大学生・若者と話をする機会が多かった。現役WHO職員との懇談の場がセッティングされ、彼らのキャリア形成に関する悩み相談を聞くことになる。そこで気づいたのだが、彼らの、特に大学生の悩みの8割は「専門分野として何を選んだらよいか分からない」なのだ。まぁ確かに難しい。私自身も30半ばで、ようやく専門としたい分野がクリアになった。私が大学生の頃を振り返ると、キャリア構築に対する考えがいかに浅かったか(

UHCの専門家にはどうすればなれるの?

本稿で繰り返すまでもなく、ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(universal health coverage; UHC)の達成は数あるグローバルヘルス・アジェンダの中でも最も重要な物の1つである。例えば、持続可能な開発目標(SDGs)の目標3.8はUHC達成である。また世界保健機関(WHO)の第13次中期計画(GPW13)では、UHC達成は3本柱の1つである。 日本は低中所得国がUHC達成を支援するために多大な資金援助をしている。例えば、2018年に日本政府は世界保健機関

世界保健機関(WHO)の保健システム分野における求人情報の記述統計的分析

私自身がJPOとして国際機関で生き残らなければならない立場であることを踏まえ、WHOの、特に私の関心領域である保健システム分野の求人情報を分析してみた。残念ながら商業誌に投稿する程のものではないのだが、将来はWHOで仕事がしたい!という方には有益な内容であり、本noteにひっそり公開することにした。 公開から年数が経ち多少データが古くなっている点は否めないが、採用に関して同様の傾向は今でも続いている。有料記事ではあるが、ぜひお手に取って頂けると幸いである。 追記:記事投稿

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向こう5-10年間で獲得したいスキル

三十路を過ぎてからよく思うのだが、単に仕事をしてるだけではスキルが伸びない and/or スキルに偏りが生じる、と感じるようになった。社会人になりたての頃は全てが新鮮で、周りの環境に影響されて勝手に成長することができていた。アラサー以降は、自らの頭で考えて今後のキャリアに必要なスキルを能動的に獲りに行かないと、職業人として頭打ちになってしまう。 そこでで軽く独りブレストをしてみた。向こう5~10年間で獲得したいスキルを列挙し、まずは「仕事 or プライベート」×「ハード o