見出し画像

モノからコトへ(5) 〜 自動車のサブスクモデルの課題と成功モデル

 今回は自動車のサブスクに再度戻って儲かるモデル案を検討してみたいと思います。まずおさらいとしてラーメン屋のサブスクが儲かるモデルとして提示をしたかったのは来店頻度が高いお客様を囲い込み多少の原価率を上げたとしても利益の絶対額を上げることで利益を出すというモデルです。  

 もっともシンプルでわかりやすい例としては水族館の年間パスポートだと思います。おおむね2回分ないしは3回分の入場料金で年間パスポートが手に入る値段設計をしております。値段につられてついつい年間パスポートを購入してしまいますね。私も水族館の近くに住んでいた時は週2(土曜と日曜)で水族館に子供と通っていました(しかも子供は無料)。しかし水族館は基本的に何人お客様が来場しようがあまり原価には影響なく、むしろ巨額な設備と生き物の維持費が一定金額のしかかります。したがってあえて1回の入場料を高く設定して2回以上来場する方は年間パスポートで一定としているわけです。これは私の独断ですが年間パスポートの購入者数から試算してプライシング設計をしていると思います。

 さて本題の自動車のサブスクモデルですが、再度KINTO ONEを例に考察したいと思います(トヨタさん、すみません。儲かっているから許してください)。実はKINTO ONEは他の自動車サブスクプロバイダーと比較して車両メーカーの優位性を持っています。車両を原価で手に入れられるため原価(車両価格)が他社よりも圧倒的に低く抑えられます(たまに社内取引価格の方が高い会社もありますが、それは例外とさせてください)。したがって通常の車両販売分を奪われるカンニバルリスクはあるものの勝算はあります。逆に言うとトヨタさんのことなので全てを計算ずくでKINTO ONEはやっていることだと思います。

  結局、自動車を購入することをフラットな月額に置き換えるのはラーメンや水族館のような頻度が発生しないのでお得がない。私は自動車のサブスクがイマイチお得感が出せない本質(自動車サブスク=自動車レンタルになっている)はここだと分析しています。

 では自動車購入で頻度あるロイヤルカスタマーはいるのでしょうか?

 たくさんいます。

 わかりやすいセグメントは高級車好きの人です。BMWを2−3年頻度で新しいモデルが出る度に購入している人たちがいます。しかしこれらの人はサブスクモデルにしてもいいのですが、今回のケースとしては面白くありません。したがって、中古車で1−2年頻度で高級外国車を乗り換えているセグメント向けのサブスクを考えたいと思います。ミニクーパージュリエッタFIAT500カイエンのような乗り換えを毎年あるいは半年毎に変えることができるサブスクモデルが月5万円だったらビジネスとして成立するかもしれません。

 他の自動車のサブスクプロバイダーが新車を前提としているところに、車両は中古を前提としてアセット調達の価格を下げつつ、乗り換え頻度を入会の動機とすることでロイヤルカスタマーを捉えることができます。

 海外ではメーカーディーラーが中古車も取り扱います。したがって今後は海外では中古車を含めたサブスクサービスを提供することで自動車の車両メーカーのサブスクが普及する可能性がありますね。 

 (つづく) 

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?