未経験からの情報発信、始める前に整理しておきたいことまとめ
ベンチャーキャピタルのグローバル・ブレインで情報発信全般を担当している桜川です。主に自社のPRおよび投資先企業のPR支援などを行っています。
採用や自社のブランディング、プロダクト認知などを目的として、noteやYouTube、Podcastなどで発信するスタートアップ企業も多くなっていますが、初めて情報発信に取り組むことになった企業からの相談を受けることがあります。
20年近く編集者として情報発信業務に携わってきた経験から、未経験で情報発信を始める方向けに、事前に整理しておきたいことをまとめましたので、「あくまでも1つの考え方として」ご参考いただければ幸いです。
●はじめに考えておきたいこと
1.なぜやるのか
事業のためになぜ情報発信をすべきなのかをハラオチさせる
知ってもらうことは手段。事業目的は何かをぶらさない
それを喋りたくて仕方ないレベルに持っていく
2.誰に届けたいか(読者/視聴者の設定)
事業課題を要素分解し、それぞれに対する適切な読者/視聴者は誰かを設定する
3.どうなってほしいか(バリュー)
なぜそうなっていないのかも考察する
●情報発信に際しての心得7箇条
1.無理せず続くこと(内的/外的)
内的:マインドに合わないことは続かないし効果も出ない
外的:1人が頑張らなくても回る仕組みづくりを
2.結果を焦らないこと(直接効果だけを思いつめない)
メディア運営の副次効果としてマーケティングスキル向上も
3.第三者性を意識すること
自分語りは信頼性で不利に働く前提を認識する
当事者の恣意性をどこまで薄くできるかを念頭に置く
ときには第三者や客観的データも活用する
4.発信内容のフェーズを意識すること
Information(情報)→Opinion(意見)→Personality(人間性・キャラ)の順番で発信のあり方を変えていく
初めは役に立つ情報を積極的に発信する(知らない人の意見や個人的な話は見ない)
認知が上がってきたら意見・考察なども織り交ぜていく
最終的にはパーソナリティが伝わるものも発信し、エンゲージメントを高め、ファンになってもらえることを目指す
既知と思われることであっても「読者/視聴者の興味」に沿うことにこだわる
5.社内の理解を得ること
非当事者を少なくし、情報が循環する環境づくりが重要
特にトップマネジメントのコミットは必須
6.提供価値に応じた成果指標にすること
認知→提供頻度、閲覧数(ただ数のみを追いかけると本末転倒になりがち)
関係構築→エンゲージメント率(いいね/シェア/フォローの対PV比率)
理解→読了率 などなど
7.ポジショニングを明確にする(していく)こと
自分たちらしい、自分たちらしくないの会話ができるようになると良い
●向いてる人材
喋るのが好き、伝えるのが好き
とりあえずやってみる精神がある
滑るのを気にしない、数字の浮き沈みにとらわれない
●発信ポリシー確立のために徐々に煮詰めていくポイント
1.見られたい姿(キャラクター設定)
硬軟、フレッシュネス/老練、専門的/共創的など、自社が見られたい姿にあったキャラクターに合わせた文体、デザインなどを検討、随時練り込んでいく
2.届けたい思い
発信業務としてのミッション・ビジョン・バリューを発信しながら固めていく
●最後に
情報発信の目的や事業のフェーズ、環境によってもやることは変わってくるので、あくまでもざっくりとした指標としてご参考ください(グローバル・ブレインのPRコミュニティでは、投資先のPR担当のみなさま向けに、より具体的な補足や事例も交えた勉強会も行っています)。
情報発信業務は息の長い仕事です。取り組んですぐに目に見える結果が出るものでもありませんし、初めはむしろうまくいかないことのほうが多いです。それでも長く続けていくことで、ストックの価値が生まれてきます。「量は質を凌駕する」とはよくいいますが、「量が質を磨く」とも言えます。まずは気楽な気持ちで一歩一歩、地道に進んでいくことを大切にしてもらえたらと思います。