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【徹底解説!!】事業戦略から考えるマーケティング戦略 ~各広告媒体の特徴と選定方法について~

こんにちは。事業会社のマーケター1人と広告代理店のプランナー2人で活動している「Webマーケター1年目の教科書」です。

今回は、Webマーケティングを学ぶ上で非常に重要な、上流の事業戦略から考えた時のマーケティングの全体戦略と広告媒体選定について解説したいと思います。

❶そもそも、なぜ今Webマーケティングなのか

 まず、なぜ近年WEBマーケティングがここまで注目されてきているかについて簡単に触れたいと思います。 
 電通から発表された「2019 日本の広告費」によると、インターネットの広告費は2019年に2兆円を超え、テレビ広告費を上回る額になっています。
従来の広告と比べたインターネット広告の利点は、主にこの3点です。

1、ユーザーデータを活用したターゲティングにより、顧客それぞれに最適な広告配信が可能
2、効果測定の定量化が行いやすく、素早い改善による効率的な広告運用がしやすい
3、配信枠の設定により、各企業の予算に合わせた広告配信が可能

 そのため、今まではテレビや新聞などのマス広告を打てなかった規模の中小企業や小規模事業者でも広告を配信できる様になったことに加え、データ分析による素早い改善を得意とするIT企業がインターネット広告を活用し、大きく成長しています。

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サイバーエージェント(株)FY2020 Presentation Material for New Investors p23より

また、2020年第2四半期業績発表にて資生堂が「2023年までに広告媒体費の90%以上をデジタルに移行する」と発表し、大きな話題になりました。
電通発表の「日本の広告費 2019」によれば、資生堂は年間2,400億円の広告費を投じており、その大半の1900億円以上はテレビ広告に投下していました。しかし、その広告費の90%以上をデジタルに移行するという発表は業界に大きな衝撃を与えました。

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(株)資生堂 2020年第二四半期 決算説明資料p41より

マーケティング予算のデジタルへの移行の理由として、代表の魚谷氏は、「デジタルとECの売上構成比率を上げる為に、ターゲット効率を高め、ROIを高めるマーケティングに転換する」と発表しています。

今回の資生堂の発表のように、今後多くの企業がテレビ・新聞・ラジオ・雑誌の「4マス」と呼ばれる従来の広告メディアから、より高いターゲティング精度と効果測定が可能なインターネット広告へのシフトは今後も大胆に行われることが予想されます。

❷WEBマーケティングの全体戦略

 インターネット広告市場が大きく伸びる中で、WEB広告の媒体数や戦術は増え続け、年々複雑化しています。各チャネルでの細分化・専門家も起こっており、初めて広告業界を経験する人にとっては非常にわかりにくいものとなってしまっています。
 そこで現在Webマーケティングとして行われていることを俯瞰して確認するために「マーケティングの全体戦略」を一枚の図にまとめました

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マーケティングの戦略は、一般的にこの三角形を二つ繋げた「マーケティングファネル」と呼ばれるフレームワークで考えます。

そして、上から「認知・ブランディング」→「興味関心」→「比較検討」→「CV(購入)」→「継続購入」→「シェア」という一連の流れに沿って戦略を考えていきます。
 これは、電通が提唱した「AISAS理論」をベースにしており、ウェブを日常的に利用する消費者の購買に関する心理プロセスをあらわしたモデルになっています。

 その全体戦略を構成するのが、「4マス広告」~「口コミ、SNS拡散」までの各施策になります。
 そして各施策はそれぞれ三角形の左右にグルーピングした様に、「マスコミ四媒体」「インターネット広告」「SNSマーケティング」「コンテンツマーケティング」「CRM」「コミュニティマーケティング」などと一般的に呼ばれています。
 これらは個々に点在して語られることがあり、マーケターが別々に施策を行った結果、上手く成果が出ない事例も非常に多くあります。
重要なのは、マーケティングの全体像から俯瞰して考えられる広い視野を持つことです。

 一方で、スタートアップ企業やこれからサービスを伸ばしていきたいという、初期のマーケティングでは、テレビや新聞といった大きなお金のかかるマーケティング施策を行うわけにはいきません。
限られた予算の中で"消費者に買ってもらう為の仕組み"を作るために、ファネルの下部の「コンテンツマーケティング」→「SNSマーケティング」→「インターネット広告」の順に広げていくことが重要になります。

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その中でも、初期のマーケティングでは以下の赤く色づけた媒体が特に獲得(CV)にとって重要な媒体になってきています。

インターネット広告
 ・ディスプレイ広告(GDN/YDN)
 ・Facebook/Instagram広告
 ・リスティング広告(Google広告/Yahoo!広告)
 ・アフィリエイト広告
SNSマーケティング
 ・Twitterアカウント運用
 ・Instagramアカウント運用
 ・Youtubeチャンネル運用
コンテンツマーケティング
 ・SEO(自社サイト/サービスサイト)

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 画像右側に位置している「SNSマーケティング」「コンテンツマーケティング」のノンペイド(非課金型)を中心に、”なるべくお金を掛けずに消費者に買ってもらう為の仕組み”を作っていく手法を「グロースハック」などと呼びます。

❸Web広告の各広告媒体の解説

 ここまで、WEBマーケティングの全体像をお話ししましたが、ここからはそれらを構成する個々のWeb広告媒体について解説します。

●主要なweb広告媒体
①リスティング広告

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【特徴】
検索キーワードに対して、検索結果画面上部に表示される広告
・サービスに関連するキーワードを検索しているユーザーにリーチできるので、最もサービス利用に近いユーザー(比較検討・検索層)にアプローチできる。

※Tips:「人材」「ブライダル」「アパレル」業界などはリスティング広告の競合が多く価格(CPC)が高騰しやすい為、「Facebook/Instagram広告」「Googleディスプレイ広告(ファインドキャンペーン)」が勝ち筋になることも多いです。

②ディスプレイ広告

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【特徴】
 ・広告を掲載できるWEBサイトに、画像、動画、テキスト広告を表示することができる広告


③SNS広告

 ・SNSサービスの利用者に、バナー画像や動画を表示できる広告。
  各SNS媒体のアクティブユーザー数は以下の通りです。

画像7デジプロ(@digimapro)資料より

■LINE広告

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LINE for Business【公式】LINE広告サービス概要・特長まとめより
【特徴】
8,400万人のアクティブユーザーがおり、国内最大級のプラットフォームに広告を出す事が可能。

 ■Twitter広告

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【特徴】
二次拡散(いいね・RTされたことで発生する広告表示)が無料のため、安価により多くのユーザーに配信する事が可能(他広告媒体と比較しCPM・CPCが安い傾向)

※豆知識:CV獲得では「ソシャゲ」「マッチングアプリ」「漫画」などのエンタメ系のサービスの相性が特に良い傾向。
 認知・ブランディングでは、自動車業界やコンビニエンスストア、食品メーカーなどが大きな予算を投じている。

■Facebook/Instagram広告

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【特徴】
・Facebookは基本"実名登録"となっており、年齢・性別・学歴など様々な情報をユーザーが登録している為、WEB広告の中でも特にターゲティング精度が高い。

※豆知識:主にFacebook・Instagramのサービス上とAudience Networkと呼ばれるFacebook社が連携しているサイトに広告を表示させる事ができる。(FacebookとInstagramはFacebook社が提供する同じプラットフォームで広告を配信することが可能)

④動画広告

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【特徴】
・動画配信サービスに表示できるタイプの広告

(例)
 ・Youtube広告
 ・AbemaTV
 ・TVer
 ・Amazon FireTV(最低出稿金額500万~)

⑤アフィリエイト広告(成功報酬型広告)

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【特徴】
・WEBサイトに設置された広告経由でサイト閲覧者が商品やサービスを購入した場合にのみ成果報酬を支払うモデルの広告
・成果報酬型で予め成果報酬単価を決めて広告を出す事が出来るため、事業主側は低リスクで広告を出す事が可能

(例)
・A8net
・ValueCommerce
・AccessTRADE
・felmat など

⑥その他:ADNW、インフィード広告など

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【特徴】
 ・様々なWEBサイトに広告を出稿できるため、より多くのユーザーにリーチをしたい、配信面を拡大させたい際に活用することが多い

 (例)
 ・ダイナミック広告:Cliteo
 ・ADNW:BLADE、Logicad、DV360など
 ・インフィード:グノシー、スマニューなど

❹Web広告に関するキーワード

これらのキーワードは、Web広告の基本になるので先ず覚えておきましょう。

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■量の指標
 ・IMP:インプレッション=広告の表示回数
 ・CLICK:クリック=広告がクリックされた回数
 ・CV:コンバージョン*1
 ・LTV:顧客生涯価値*2(Life Time Value)
■割合の指標
 ・CTR:クリック率(Click Through Rate)=CLICK÷IMP
 ・CVR:コンバージョン率(Conversion Rate)=CV÷CLICK
■費用対効果の指標
 ・CPM:広告表示単価(Cost per Mille)=広告費÷IMP×1,000
 ・CPC:広告クリック単価(Cost per Click)
 ・CPA:コンバージョン単価(Cost per Action/Acquisition)
 ・ROI:費用対効果*3(Return on Investment)

 【用語解説詳細】
*1 LTV(顧客生涯価値):グロービス経営大学院 MBA用語集
https://mba.globis.ac.jp/about_mba/glossary/detail-12187.html
顧客生涯価値とは、顧客1人あるいは1社の顧客ライフサイクル全期間で、その顧客が企業にもたらした価値の総計のこと。

*2 コンバージョン:Google広告ヘルプ 用語集
https://support.google.com/google-ads/answer/6365?hl=ja
ユーザーが広告を操作し(テキスト広告のクリックや動画広告の視聴など)、その後で広告主様にとって価値ある特定の行動(サイトでの商品購入や、スマートフォンでの問い合わせなど)に至ること。

*3 ROI(費用対効果):グロービス経営大学院 MBA用語集https://mba.globis.ac.jp/about_mba/glossary/detail-11669.html 
ROIとは、投下した資本に対しての収益性を測る指標で、企業の収益力や事業における投下資本の運用効率を示す。投資利益率、または投下資本利益率とも呼ぶ。

今回はここまでとなります!
最後まで読んで頂きありがとうございました!

WEBマーケティングでは、各広告媒体の運用ノウハウや戦術など部分最適な情報はネット上に多くあるのですが、重要なのは事業全体を見た時のマーケティングの戦略設計と各広告媒体の理解です。
このnoteでは、事業グロースに向けた最適な戦略戦術を描き、実装できる方法をシリーズで発信できればと思っています!
より良いnoteを作っていきたいと考えているので、お気軽にいいね・コメントもお待ちしています!☺

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