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ファッション視覚心理考:「ベージュ」 ~アンジェリーナ・ジョリーのベージュ vol.1~

久しく放置していたトピック「ファッション視覚心理考」。2018年8月にファッション視覚心理考: 「ストライプ柄」というタイトルで書いたものが、2022年の今に至るまでコンスタントに読んでいただけいて、全投稿記事の中でもview数は第2位。(1位は別記事なのだが、それよりも長い期間継続的に毎月閲覧上位に上がってくる)

なるほど、その時その時に変わり揺れる、人の立場・状況・時代背景・その時の心理など様々な条件の掛け合わせを踏まえ、その時々の自分を置いてみることのできる、トレンドとは関係のない、普遍的でオーセンティックなものを求めたくなるのだと、再認識している。

そのようなことを考えながら、パブリックな場面、そしてビジネスシーンにおけるその人の心理状態や意思(考え)、それをプレゼンス/アピアランスからプロファイリングし、人に与える心理作用や人を動かす戦略の根源を分析している本noteの大事なトピックとして、面白い引用記事なども用いながら、思いつくままに継続する。

再開一つ目は、興味がない人はあまりいないのではないかと思われる「色」その中でも「ベージュ」

そのきっかけなのとなったのは、この記事。

意訳すると

『ベージュを愛するアンジェリーナ・ジョリー、彼女の装いが決して退屈にならない6つのトリック』

という感じだろうか。

その中に書かれている6つのポイントが、正にその通り!という内容だったので、今回はその一つ目

1. 構造的なアイテムを選ぶ

ベーシックカラーを好む人の中でも、特にベージュ系が好きな人というのは、単色コーディネートを好む傾向がある。そのベージュの単色コーディネートは、他のベーシックカラーの単色コーディネートよりも良くも悪くも柔らかくなりがち。なぜなら、「ベージュ」縛りとなれば、色の明度差が少ない為なのだ。故に全体的に明るく、落ち着きもあり、黄味を含んだ色であることから暖かさを感じさせ、柔らかく人と交わる印象。

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しかしそれは時に、存在感が薄らぼんやりして群衆の中に混じってしまうデメリットをも意味する。

そこでアンジーが行っているのは、スウェットのような超カジュアルでアウトラインのボワッとしたスタイルではなく、快適さは勿論ありながら、ゆったりとして仕立てられたタイプのパンツや、風になびくようなトレンチコートを選んでいること。

一言で言えば、直線的、平面的な部分のあるパーツを取り入れて、構造的にすることで、濃度の深い色の入らないベージュ単色コーディネートに陰影をつけているということだ。また、直線、平面を感じさせる素材は、それなりに張りがあり硬さを感じさせる。仕立てられたパンツやトレンチの全体的なシルエットやカットにみる、クラシックな四角さもまた、柔らかく見えるベージュ単色コーディネートをいい塩梅で引き締める一つの要素ということだ。

私事だが、ベージュのトレンチを是非とも1着手に入れたいと思い始めてから、もう何年もの時間が過ぎた。それほどに自分の中で納得のいくベージュの色とそのベージュのトレンチを見つけることは本当に本当に難しい。特に、元々ベージュがあまり得意ではなかった筆者のようなタイプには、いくつも超えなくてはならないハードルがあったのだが、年々徐々にベージュに近寄ることが出来てきたと思っている。特にこの2年で急速に。それは自分の外見的な変化、内面的な変化、社会背景の変化、などなど様々な要素で。

4年ほど前から、従来クローゼットの大半を占めていた黒を少なくし、軽やかに、自分に色合いを加えようと努めてきたことも一つだ。

そう、何かの明確なきっかけがあって「もっと軽やかに、もっと色を加えよう」「黒には戻りたくない」とはっきり思えた人にとって、ベージュは良い選択になる。そうなったら、自分に一番フィットするベージュの傾向を知っておくことは重要。その他の部分との上手い調整をする為の重要な物差しになるのは言うまでもないから。

特にベージュを取り入れるときに不可欠なのは、なんとなくではなく頭を使うこと。端的にいうと「自己理解と理性と知性が丸見えになる」ということ。だから、それなりの成熟をもって初めて自然に自分のものにできるのだ。

ベージュ、柔らかいのに恐ろしい色である。

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