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バイブル#3 かもめが翔んだ日

僕はリクルートという会社が好きです。
もう一度人生をやり直したいとは思わない性分ですが、もし新卒に戻れるとしたら、リクルートで働いてみたいと思わせる魅力があります。(受からないと思うけどw)

創業者 江副浩正

創業者の江副浩正氏に不思議と惹かれます。

リクルート事件の影響もあり、江副さんの社会的評価が低いのが悔やまれます。僕は真の意味で、日本に情報サービス産業を立ち上げたのは江副さんだと思っています。江副さんが残した功績は、松下幸之助や、井深大、盛田昭夫、本田宗一郎、稲盛和夫などの名だたる名経営者とそん色ないと勝手に評価しています。

今回のバイブルはその江副さんの自叙伝です。

江副さんの本は他にもいくつかあり、本人が書かれたものと、本人が題材となっているものとがあります。この「かもめが翔んだ日」は特におすすめですが、他にもおすすめしたい書籍が沢山ありリンクを貼っておきます。

今日は本の内容というよりは、僕が江副さんから影響を受け、今も心にとめていることを書いていきたいと思います。(ちょい長めです)



自ら機会を創り出し、機会によって自らを変えよ

自ら機会を創り出し、機会によって自らを変えよ

すごいコピーだと思う。はじめて知ったときの衝撃を今も覚えています。どこも削るところがなく、足すところもない。僕は今でもこの言葉が好きです。

残念なことにリクルート事件のあと、この社訓は悪名高くなってしまい、表舞台からは消え去ってしまいました。しかし、今でもこの社訓を大事にしている人たちは社内外に沢山いるのではないでしょうか。

● 学びと気づき ⇒ すべては自分次第。圧倒的な当事者意識。


誰もしていないことをする主義

リクルートは、これまで社会になかったサービスを提供して時代の要請に応え、同時に高収益を上げていく。(中略)「誰もしていないことをする主義」だから、リクルートは隙間産業と言われる。だが、それを継続して社会に受け入れられれば、いずれ産業として市民権を得ることができる。

ビジネスで重要なことが詰まっていると思う。「誰もしていない」ことを育て産業化する。ゆえに高収益につながる。言うは易しの典型だが、経営戦略が徹底しているのと、リクルートのインプリメンテーションの強さが成立させているのだと思います。

学びと気づき ⇒ 目の付け所と、やりきる力が大事。


分からないことはお客様に聞く主義

これまで誰も手がけなかったサービスを提供していく事業には、先生が必要である。その先生は、新しいお客様と潜在的なお客様である。(中略)そこで大切なことは、自分の意見を持ってお客様の意見を聞く姿勢である。自分の意見を持たなければ、お客様の本当の声を聞き取ることはできない。

伸びる企業の経営者は素直なんだと学びました。平易にいえばカッコつけてない。人の懐に入るのが上手なことと、お客様を取り込むしたたかさを併せ持っているのが素晴らしいと思います。

学びと気づき ⇒ 素直さと、したたかさの両立。


ナンバーワン主義

後発企業のよいところは真似することは恥ずかしいなどと思わず進んで取り入れ、協調的共創を行っていき、ナンバーワンであり続ける。「同業間競争に敗れて2位になることは、我々にとっての死である」をモットーとした。

やっぱりナンバーワンですよね。「2番じゃダメなんですか?」どこかの政治家みたいな発想では勝てるわけないんです。「2位になることは、我々にとっての死である」が経営理念にあるって素敵です。

学びと気づき ⇒ なりふり構わずナンバーワン!


健全な赤字事業を持つ

いまの事業の高収益はいつまでも続かない。いつも新しい事業の立ち上げを続け、永遠の繁栄を指向する。(中略)新規事業の立ち上げはボトムアップ、赤字事業からの撤退はトップダウンの決断によって行うべきである。

健全な赤字事業を持つことができるのは、トップダウンによって撤退を決断できる経営者だけだと思う。それくらいに事業の撤退は難しいものだと思うが、ゆえにトップしか責任はとれない。

学びと気づき ⇒ 事業の撤退こそ、トップの責任。


少数が精鋭をつくる主義

優れた会社かの尺度は生産性の高さである。つまり、一人あたりにしていくらの収益を上げているのかが、企業経営にとって最も重要である。(中略)一般の会社では社員は一人一役である。少数精鋭主義のリクルートは一人で数役を受け持つ。四半期ごとに発令される人事では、兼務は5つ、6つもざらで、事業部門や東京と大阪など地域をまたぐ兼務もしばしばだった。

優れた会社の定義が分かり易くて好きです。この当たり前ができていない会社は多いのではないだろうか。売上が多くても、利益が多くても、一人当たりにしたときに低ければ価値などないのだ。当然、社員に高い給与を払うこともできない。経営者は生産性を追い続けなければならない。

学びと気づき ⇒ 経営は1人当たりの収益がすべて。


商売の勉強ができる会社

「リクルートは商売の勉強ができる会社」と、学生の間で評判が立ち、起業家精神旺盛な人が入社してくれるようになった。PC(プロフィットセンター)制のもと、組織は自己増殖と細胞分裂を繰り返し、私と関わりなく、社員が互いに競争しつつ発展するようになっていった。

自社も商売が勉強ができる会社にしたいと思っています。そのためには、積極的な権限移譲と、その責任を全うできる起業家精神旺盛な人材が不可欠です。どちらかが欠けても成立することはないと心得よ。

学びと気づき ⇒ エンパワーメントと、起業家人材。


じっくりT会議

昭和40年頃から、毎年四半期ごと(のちに半年)ごとに、「じっくりT会議」(Tは取締役の略)と称した、泊りがけの取締役会を開催、経営戦略の議論の場としていた。(中略)胸襟を開き、納得するまで議論することが大事だ。

経営チームの意思疎通は本当に大事だと思う。江副さんの本を読むと、やられていたインナーブランディング施策が現代でも通用するものばかりで驚きますね。時間をかけないと積みあがらないものは、じっくりじっくり育てることが大事で、決して焦りは禁物。

学びと気づき ⇒ ビジョンの共有と、オープンドアポリシー。


褒めるべきときに褒め、叱るべきときに叱る

私は新入社員が初受注をしたとか、大口受注をしたとか、あるいは新しい手法を考えたとかいったときには、みんなの前で手を叩いて褒めるだけではなく、机をどんどん叩いて「よくやった」と褒め称えた。周りから「大袈裟すぎる」と言われたが、私は大袈裟でいいと思った。逆に叱るときには、個室に呼び出し誰にもわからないように叱っていた。大勢の前で叱るのは社員間に徹底させるのには効果的だが、本人の人格を傷つけるし、自由闊達な組織風土にはマイナスの要因になる。

褒めるも叱るもタイミングが大事です。そのタイミングを逃すと、どんな言葉を選んでも届かないように思います。そして、伝える場を間違えないことも非常に大事な要素です。褒めるは大勢の前で、叱るは二人きりでが基本です。(例外はもちろんあります)

学びと気づき ⇒ 褒めると叱るは、速攻で終わらせるのが吉。


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現在のリクルートHD社長の峰岸さんが、経営判断の前提として、今後もリクルートが「変えないもの」「変えてはいけないもの」として以下の3つを定義しているそうです。

❶ 起業家精神(人材)

❷ 圧倒的な当事者意識

❸ ナレッジマネジメント


江副イズムは今も生き続けています。


こんにちは。最後までお読み頂きましてありがとうございます。このnoteは僕のつたない経営や、インナーブランディングを行う中でのつまづきや失敗からの学びです。少しでも何か皆様のお役に立てたら嬉しいです。サポートはより良い会社づくりのための社員に配るお菓子代に使わせていただきます!