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【エッセイ】今思うとアレってなんだったんだろう…という話

今思うとアレってなんだったんだろう…と思うことがこれまでに生きてきた中でいくつかある。スルーしようと思えばできるけど…という微妙なライン。シュールな人生の一コマへの疑問。今回はそんな未だにイマイチ解消できていないふんわり香るシュールをお届けしたいと思います。
 
まず一つ目は私が中学生だった頃の出来事。妹の幼稚園のお友達の家にお呼ばれをしました時のことです。私と妹、そして妹のお友達(幼稚園の男の子二人)さらにそこにそのお友達のお兄ちゃんがいました。お兄は私の一つ下。多分中学一年生くらいだったと思いますが、年齢的におチビ三人が自由に遊んでいるのを(その中では)大人だった私とお兄が面倒を見ている、という構図でした。
そんな中、よくある〝たたかいごっこ〟が始まります。そこで、一人一つずつおもちゃの武器を選ぶようにおチビたちに言われる。私の心の中の声としては、〝ふうん。たたかいごっこか…。なんか子供らしいなあ。まあテキトーにこれでも…〟とその中で一番使えなさそうなプラスチックでできた貧弱バットを選びました。
さすが中学生、スカしてんなー私。あくまでもちびっこたちの遊びに付き合う、というスタンスだったわけです。ちょっと照れくさいのも正直ありました。年頃だもんね。
しかしそのバットを手にして、ふう…と立ち上がると、横でお兄がかなり真剣に武器選びをしているではないですか。すごい熱量でした。このパーティーの誰よりも強いものを選んでやるという明確な意思を感じた。そしてそれを見つめる私に真剣な顔で一言。
〝その武器弱いから、こっちの方が良いんじゃないかな〟
お兄!アドバイスまで…。
その時の一言が印象的すぎて、後のたたかいごっこの詳細はあまり覚えていませんが、普段はどちらかというと冷静で知的なお兄が垣間見せたあの熱量…今思えば何だったんだろう。何がお兄をそんなにかき立てたんでしょうか。
でもこの間、夫にその話をしたところ、彼には共感するものがあったようでした。彼が言うには、〝中学生男子なんてそんなもんだよ〟とのこと。〝女の子の方がませてるからね〟。うーんなるほど。私とお兄があの時選んだ武器の違いは、性別の違いから生まれていたのか。でもあの時のお兄の目
、ちょっと怖かったな…。
 
二つ目は昔お付き合いしていた人とカレー屋さんに行った時の話。これは結構今でもカレーを食べる時だけだけでなく、お風呂でぼーっとしている時とかにも不意に思い出してもやもやしてしまう出来事です。
私たちがその時行ったのは、海外でよくある、カレーやおかずをいくつか選び、それをごはんと一緒にワンプレートに盛ってくれるというシステムのお店。留学先だったので、英語での注文になるんですが、先に言っておくと彼の方はかなり英語が堪能でした。一方私はと言えば日本から出てきたばかりの十八歳。英語はカタコトしか話せないレベル。そんな中彼が優しそうに微笑むインド系のお店の人に言った衝撃の一言。
〝カレーセットを二つ。彼女には小さいものを〟
カレーセットの種類はこれから選ぶから良いとして、ちょっと待てよ。どうして勝手に小さいのを注文されているんだ…?頭の中が?マークでいっぱいになりました。カレーセットが良いということは彼に伝えてあったんですが、大きさまでは話していませんでした。そもそもむしろ英語での注文だとしても、留学という名目上、練習のために自分の分は自分で注文するつもりだったのです。彼は優しいから、英語に慣れていない私を気遣って一緒に注文してくれたのでしょう。それはまあ、良いとしましょう。
しかし〝どうして小さいのを頼むんだ?〟
もうこの一言につきる。
確かその時、〝あ、私もレギュラーサイズがいい〟って言って、変えてもらって、無事お腹いっぱいカレーを食べることはできたんですけど。だから文句とかではないです。ただずっとシンプルに疑問なんです。
〝どうして小さいのを頼むんだ?〟(二回目)。
未だにあの時彼がどうしてあんなことをしたのか、自分に対してうまく説明することができていません。心の中で十八の私がまだ唖然として存在しているような感覚。恋愛心理とか男性の心理とかが関係しているのでしょうか。ダレカオシエテ。
まあこっちは全く喋れんペーペーなのに、流ちょうな英語で注文してもらって、量まで気遣ってもらえて(?)、全部やらせておいて文句言うなってハナシなんですけどねー…。そうなのか?それすらもわからん。書いていてまた頭がこんがらがってきたので、この辺でこの話は終わりにしましょう。

最後は自分が小学校五年生だった時のこと。季節は新年度の始まり、今までにいなかった新しい先生が何人か私の通っていた学校に入ってきました。私の学校にはこれまで若い女性の先生というのが全くいなくてですね。女性と言えば、優しいおばさん先生系の方々にお世話になっていたのでした。そしてたまたま私は一、二、三、四年生とずっと女性の年配の先生が担任だったわけです。
で、そこに現れたのが、当時ピッカピカの新任女性教師T先生でした。若くて、小さくて、なんか良い香りがして、お化粧がバッチリで…もう新種ですよ新種。その日から私たち仲良し女の子三人グループの話題はT先生で持ち切り。
〝Tさん〟という仲間同士の全然秘密になっていない秘密のあだ名までつけて、彼女と廊下ですれ違ったり、彼女の授業が終わった後にきゃあきゃあ騒いでいました。
しかし今になって思う。
何だったんだろうあの興奮は…。
なんか、例えばその〝Tさん〟が男性のイケメンの先生とかだったなら、まあわかりやすくて今でも理解できる気がするんですけど、新種と言えども同性の若い先生にあんなに興奮していた自分たち…その頃のときめきの理由が全く思い出せなくて、なんか寂しくもありますね(笑)

以上、〝今思うとアレってなんだったんだろう〟話を三本お送りしました。皆さまこの後もゆっくりお過ごしください。

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