見出し画像

重い腰を上げ、雑誌出版の挑戦を始めようか。

昔から腰は重い方です。が、動き出したら早い方です。
考え、調べ、検証することに多くの時間を割き、決まってから動くタイプだからですが。そのスタイルで振り返ると25年、雑誌の世界にいます。
今年から現場に積極的に関わらなくなっているから、いました、かも。
そんな僕が、いよいよ重い腰を上げようと思うに至ったので、少し記しておきます。


今さら、雑誌なんて。と思うこともあるけれど。

読みたい雑誌が見当たらない、部屋に飾りたい雑誌を見かけなくなった。
この数年、ずっと思っています。
僕にとっての読みたい雑誌とは、新たな知識欲やワクワク感を掻き立ててくれるものであって、飾りたい雑誌は、その存在が部屋にあることで居心地がよかったり、雰囲気が変わったりするもの。
雑誌は行動の扉であるしインテリアでもある、と考えているから。

膨大な情報が、真贋は別にして無料で手に入るのが現代です。多くの情報は探しに行くのではなく、アルゴリズムなどで精査され、向こうからやって来ます。
そしてもう、雑誌はマスではないし売れません。
収益事業として雑誌発行をあまりやってはいけない時代です。やれるのは、ビッグデータに基づいてユーザーを導き出し、そこへ「失敗しない」ネタで情報を出すことでしょうか。成功本やHow to系が出ているのはそれですね。あとは、ブランド価値として雑誌を出し、リアルで人を集める事業とセットか。

そんな時代に、自分が求めている、少なくとも僕が雑誌を好きになった若かりし頃に書店で見かけたような雑誌(別冊になる前の太陽とか)を目指すのは、無駄な労力だと言われると思います。
すでにコロナ禍の影響もあり、会社の経営はズダボロ。追い打ちをかけるだけじゃん、と。
要するに今さら感しかないのだけれど、それでも、やらなきゃな、と思っており、今だからこそ、と思いが強くなっているわけで。

テストメディアを運営してみえてきたこと。

2021年にSlow Journeysというメディアをつくりました。カテゴリは「旅」です。最近は月に1本のペースで、記事を掲出しています。
旅記事って、どんなことを想像しますか?
地域の詳しい紹介、所在地や営業時間等のデータ? 地元グルメ?
それらは基本的に掲載していません。
気になったら調べてみてほしいから。
調べてみるという行為が、きっと新たな発見をくれるから。

詳しくないしトレンドを押さえていないし、なんならタイトル画像以外に挿入写真もない。
文章はすべてを書くのではなく、ある程度ぼんやりさせておく。
その上で、1記事あたり3〜5分で読み終えられる文量にまとめる。
こんな情報で果たしてユーザーはサイトを訪問してくれるのか。テストとしての位置づけでもあるメディアです。

2年弱経過した現在地は、
月産新規ユーザー120〜150人、平均滞在時間1.5分。
想定よりよかった。
SNSでも積極的に告知しているわけではないけれど、Instagramの方にコメントをくれる人もいる。
時代に逆行しているメディアでも、コミュニケーションは取れる。
そんなことが見えて来ました。
同時に、足りないこと、ブラッシュアップできそうなポイントも朧気に見えて来て、そろそろかな、と。


記事はこんな感じ。地味ですね。

僕は、日本を記録したい。

そもそもなぜ雑誌という紙媒体にこだわるかというと、記録媒体としての価値をいまだ感じているから。
27年前に日本を旅して、各地で、消えつつある文化や風景を見てきました。
それらをどうにかはできないかもしれないけれど、記録することならできるのではないか。そうして、もっと頭がクレバーで課題解決法を考えついてくれそうな、かつ行動に移してくれそうな次代に伝えよう。

映える風景とかグルメとかは、どうでもいいです。興味ない。

地域の人たちがなんとかして守ってきた小さな祠や、そこにまつわる風習・行事、その人達の思い。どんな地域にもそのようなものやことが詰まっていて、その集合体や集合知の動いた先として現代があります。
それらをググってささっと記すのではなくて、AIに導いてもらうのでもなくて、見て聞いて、考えて、記録していきたい。いかねば。

ウェブ記事だけで進めていくと、いずれ消えます。ただし、多くの人の目にさほど時間をかけずに触れてもらえる可能性はあります。
紙媒体にするとコストはかさむし、知ってもらえるまでの道のりは牛歩のようになるはず。しかし、きちんとコードを取得し、有料媒体として発行して国会図書館に納本すると、いずれデジタルデータとして記録されます。
着地点はここです。

インバウンドの復活もあり、多くの場所で、これからすごいスピードで、日本が姿を変えていきそうな気配。だからもう、始めなきゃ。その思いがどんどん強く濃くなってきました。


発行は年1回。独りだし、それが精一杯。

雑誌って週刊、月刊、隔月刊、季刊というサイクルで多くは動いています。が、それらのどれも、僕には追いつけない速度です。
企画を考えて、何を残したいのかじっと見て、過去にさかのぼって検証したりしていると、数ヶ月なんてあっという間。
それにそれに、僕は人を巻きこむのが苦手だから、きっと独りでやることになる。
だったら年刊という発行サイクルは年に一度、な感じでいいかなぁ、と思っています。「一緒にやろう!」という人が現れてくれたとしても、そこは変わらないかなぁ。
時間をかけることといいものができることはイコールではないけれど、僕が創ろうと考えている雑誌は、きっと時間が必要だと思う。

創刊号で書き記したい地域は決めているけれど、それだって、どう出すか何を記すか悩んで悩んで、決めてからもう半年近く経過しているし。

サクラが舞い散る頃、出せたらいいなぁとぼんやり考えています。
仲間って、どうやったら集まるんだろ? そこも大いなる悩み。