GKグローバルママシリーズ:米国の現役ママが語る米国ベイエリアの教育事情

オリジナルポスト:2019年10月 GKCors

近年、インターナショナルスクールへの進学、海外進学の早期化が国内でも進んでいます。GKにいらっしゃる方の中にも、大学からではなく高校、中学までには海外へという方が多くいらっしゃいます。希望者はたくさんいますが、インターネットでもなかなか現役ママによる生の情報は手に入りにくいのではないでしょうか。GKでは、世界各地で現地校に通っているお子さんを持つママ達のインタビューを国内へ紹介していきたいと思います。今回は、米国シリコンバレーに在住のキャリアウーマン&ママである奥本直子さんにお話を伺いました。

世界のテクノロジーハブ|シリコンバレー

まず、奥本さんのお話に入る前にシリコンバレーについておさらいしたいと思います。シリコンバレーといえば、Google , facebook, Appleなどがメインオフィスを構える世界トップのテクノロジーハブです。スタートアップや投資家も多く、富裕層が集まるエリアは年々不動産も値段が高騰しており、非常に競争率の高いエリアです。2019 Sillicon Valley Indexによると、シリコンバレーは米国で一番住宅コストが高いエリアだそうです。(参照)教育熱心な家庭も多く、カリフォルニア州の上位校も多くこのエリアにあります。

ベイエリアの小学校ランキング

米国の学校比較サイトNicheによる” 2020 Best Elementary Schools in the San Francisco Bay Area(サンフランシスコ・ベイエリアの小学校ランキング)  参照では以下の通り。

#1 The Nueva School

#2 Head-Royce School

#3 The Harker School

#4 The Quarry Lane School

#5 Bentley School

#6 Sacred Heart Schools Atherton

#7 French American International School

#8 San Domenico School

#9 Covent & Stuart Hall

#10 Lycée Français de San Francisco – San Francisco Campuses

1位のNuevaはここ数年日本からも視察で訪れる教育関係者が多く、国内でも少しずつ注目され始めています。

シリコンバレー事情について少し整理したところで奥本さんに伺ったお話をご紹介したいと思います。

シリコンバレーの中でも一等地のパロアウトで子育てするメリット

10年程前からパロアルトに住んでいらっしゃる奥本さん。パロアルトで子育てをするメリットを伺いました。

「パロアルトは人種の多様性が豊かで、リベラルな考えの方が多く移民も住みやすい環境があります。どんな人種の中でも、自信を持って生きていける環境はとても良いと思いました。また、パロアルトは公立学校のレベルが他と比べ高いです。富裕層が住んでいる関係もあり税金が豊かなことから親が学校に対しても強い立場にいます。この辺りで子育てをする際には、住宅コストを少し抑えられるエリアに住んで私学に通うか、公立学校のレベルに合わせてその地区に住むかという方法があります。私は前者を選びました。」

パロアルトの公立学校のレベルの高さは、奥本さんに限らず他の方からも伺いました。中でもパロアルトハイスクールは、公立高校とは思えないほどの敷地とプログラムが提供されています。

インドや韓国などの教育熱心なママとのコミュニティ

奥本さんのお話にもあるように、パロアルトは人種が多様なエリアです。インドやアジア系の家族も多く住んでいます。傾向としてインド系やアジア系は教育ママである場合が多いです。

「インド人は教育熱心な方が多いです。両親もインドの難関校 インド工科大学ボンベイ校(The Indian Institute of Technology, Bombay)などを卒業している方も多く、自分達の子供にも最高の教育を受けさせたいと考えていらっしゃる方が多いです。私の息子が通う学校でもサイエンスコミュニティがあり、ママ友から大会があるから一緒に参加しましょう!などと誘われます。」

WhatsApp やfacebook Messengerなどでママ友が様々なコミュニティを作り、そのグループ内で情報交換をしているそうです。奥本さんも息子さんの通っている学校のママ友とはこういったソーシャルでのコミュニティで情報交換をされていらっしゃるそうです。

パロアルトエリアのママであれば知っている地元の有名校

日本でもそうですが、いい学校やいいお店は地元の方に聞くのが一番です。今回は、特にパロアルトエリアのママであれば知っている有名校を特徴とともに伺ってみました。

「パロアルトには、いくつか定評のある学校があります。Ohlone Elementary School(オローネ)、Herbert Hoover Elementary School(フーバー)、などです。オローネは、アクティブラーニングスタイル、フーバーは割とかっちりとしたミリタリースタイルです。フーバーは、キンダー(日本の年長)で読み書きができます。私は特に読み書きを先に教えていなかったのと、家では子どもに対して日本語だったので途中ESL(*1)が必要と言われました。夫はアメリカ人なので、まさか自分の子どもがESLの必要があるなんてと驚いていました。」

奥本さんのお子さんは、最初入学した学校のミリタリースタイルが合わず、途中から転校したそうです。転向した学校はとても相性がよく、大きくなってからお子さん自身も感謝している程だそうです。アクティブラーニングとトラディショナルな授業スタイルは結構異なるので、自分のお子さんとの相性をしっかりと見極める必要があります。私学でいうと、ハーカースクールは、ミリタリースタイルの学校で、Nuevaなどはクリエイティブ思考、アクティブラーニングベースだそうです。

*1 : ESL (English as Second Language ): 英語圏において、英語を第二か国語として学ぶ人向けの英語プログラム。

今シリコンバレーの親が子供に身に付けたい力とは

日本でも米国からのトレンドでSTEM教育、STEAM教育などを取り入れる学校も増えましたが、今シリコンバレーの親が学校選びで重視している項目はなんなのでしょうか。

「クリエイティブ・シンキング、コミュニケーション力を重視する声は高まっていると感じます。これから、A.I.(人工知能)の発展により、創造力は今以上に求められる時代がやってきます。これまでの製造業を主としたファクトリーワーカーの育成から、クリエイティブ力と人をうまく巻き込むコラボレーションスキルが求められます。物事をひとつの方向からではなく、斜めからみること。Nuevaなどは、そういったスキルを養うことに特化しているため、今注目を集めているのだと思います。これまでの1人が先頭に立ちフォロワーを従えるリーダーシップから、羊飼いのように皆と上手くコミュニケーションを取りながら前に進めるようなコラボレーション・リーダーシップの時代。」

世界のトップ企業の拠点が存在するこのエリアでは、やはりA.I.などの最新のテクノロジーが実用化される時代を見越して、その時代を生き抜くことができる人間に育てるための教育がなされています。実際、私もいくつか学校を訪問しましたが、答えを教える教育ではなく、答えを考えさせるスタイルの学校が多くあると感じました。

奥本直子氏 プロフィール

日米間の企業買収と買収後のインテグレーション、及び、日米企業間の提携による戦略的パートナーシップ・マネージメントのスペシャリスト。米国シリコンバレー在住。

米国大学院卒業後、米国マイクロソフト社、米国TIBCO Software社にて日本&アジア市場のビジネス開発並びにマーケティング担当。その後、2003年から2014年まで米国ヤフー本社にてJoint Venture担当Vice President(副社長)としてYahoo Japan (SoftbankとのJV)、Yahoo7 (オーストラリアを代表する総合メディア企業・Seven West MediaとのJV)を担当。2017年に独立。米国スタートアップのアドバイザーとして、ビジネス戦略、資金調達、業務提携等をサポート。Softbank・Yahoo Japan傘下のテクノロジーファンド、Zコーポレーションのエグゼクティブ・アドバイザー兼パートナーをほか、CoinDesk Japanの取締役副社長、n.avenueの取締役副社長を務める。ボストン大学大学院修士課程修了。

京都女子大学文学部英文科卒。

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