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【日本ゴリラ化計画】京都編②ゲンタロウ荒ぶる


ゴリラの喜びも悲しみも、全部受け止めたい。
いまこんな気分。

この日本をおちゃめでパワフルでラブアンドピースな
ゴリラの国にするために立ち上げた野望―――
それが「日本ゴリラ化計画」。


日本ゴリラ化計画の具現化に向けて日本に住む20人のゴリラとの面会を果たすべく、日本ゴリラ化計画実行委員の私はこの度「シャバーニファミリー」が暮らす名古屋と「モモタロウファミリー」が住む京都へと飛んだ。

今回は「日本ゴリラ化計画」第5回である。


↓これまではこちら。



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長男ゴリラ・ゲンタロウ、荒ぶる


ごはんをモリモリ食べたり、のんびりお昼寝したり、一見のどかで平和な京都市動物園のゴリラ舎。

しかし実は、この日目立っていたのが長男ゲンタロウの荒ぶり具合であった。


ふて寝……みたいに見えるゲンタロウ12歳。


ゲンタロウは12歳。

人間でいうなら19歳とか20歳くらいだと思われる。
体つきも立派になり、背中の毛も銀色になってきて、一歩一歩大人の階段を上っているゲンタロウ。
お父さんのモモタロウと見間違えそうになることも。

この日、ゲンタロウはモモタロウをじっと見つめていることが多かった。

モモタロウが昼寝から起きてくつろいでいると、ゲンタロウが近づいてくる。
手を地面につけてまっすぐ伸ばし、背中をきゅっと反らす。口はむっと固く結んで、顔はあらぬ方へ向けながら、横歩きみたいにじりじりとモモタロウに近づく。
そしてぶら下がっているタイヤを勢いよく跳ね上げたかと思うと、猛ダッシュでモモタロウをかすめるように走り抜けていく。

これがディスプレイ(誇示行動)なのだろう。

「僕はもうコドモじゃないんだからね!」
「僕は強いんだぞ!」

と親にアピールして、反抗的な行動を繰り返す。
見ているこっちはハラハラするが、これはゴリラに限ったことではなく、人間だって同じことなのだ。
私だってゲンタロウの年のころはよく親ともめていたよ(笑)。

今、ゲンタロウはなつかしい両親の元を巣立ち、広い世界に飛び出したくてたまらないのかもしれない。


なんとなくさびしげな表情に見えるゲンタロウ


空いている場所でゲンタロウを見ていると
ゲンタロウもこちらに目線をくれました。

思春期ゴリラのゲンタロウ
きっと悩み多きお年頃なんだよね。

ふとした表情がモモタロウに似てきましたね。
お父さんみたいに毛布を敷いて座ってるのも可愛い。



そんなゲンタロウのディスプレイを避け、
「反抗期の息子、めんどくせーな……」
というような顔をして場所を移動していたモモタロウだが、ゲンタロウの荒ぶりは繰り返される。
タイヤを跳ね上げ、枝葉を投げとばし、ついにはプラスチックの植木鉢を手に突進してきたゲンタロウに、モモタロウ、ついに反撃!
「お前いいかげんにしろよ!!」
とばかり、敷いていた毛布を天高く放り投げて、すごい勢いでゲンタロウを追いかけるモモタロウの迫力よ!

結局、高いところに登ったゲンタロウに逃げ切られてしまったのだが(笑)。

ちなみに。次男キンタロウが植木鉢を持って突進するゲンタロウのあとをダッシュで追いかけていた。
「兄ちゃんやめろよ!」
と言いたかったのか、
「僕も一緒に遊びたい!」
だったのか、それはキンタロウにしかわからない。


京都市動物園内を散策する

いったんゴリラ舎を離れ、園内を散策してみる。

広さはそこまでではないが、とても手入れが行き届いていて落ち着く動物園だ。
動物たちをスケッチしている若い人の姿が目に付く。



噴水池でしばし休息。
ほんのりと水辺の匂いが感じられ、癒される。


ひょうきんなペンギンたち。
一列に並んで発表会でもしているみたい。


ニホンザルよりしっぽが長いアカゲザル。
見覚えのある場所だと思ったら、前のゴリラ舎があったところなんですね。
サルは認知症になることもあるのだそう。

オオバタンのオージローくん。
大きかったです。インドネシアの固有種なのだとか。


東エントランスまで戻ると、ショップがあるので冷やかす。

ショップのグッズのラインナップを見ると、その動物園の人気動物が一目瞭然なのだが、京都市動物園の人気ナンバーワンはゴリラのようだ。
ちなみに上野動物園は圧倒的にジャイアントパンダグッズが多い。

「~120th SPECIAL BOOK~ゴリラ日記」という本があったので、手に取ってみる。


「ゴリラ日記」表紙
ゴリラたちの表情、飼育員さんにしか見せない顔なんだろうな。


「ゴリラ日記」というのは、京都市動物園のホームページ内でゴリラ担当飼育員さんが連載しているブログ(現在は「新ゴリラ日記」)。私も月一回の更新を楽しみにしているひとりなのだが、それがスペシャルブックになったということなのだな。

ブログで見られるから買わなくてもいいかな…などと思いながら見本をパラパラ。

ファッ!? この赤ちゃんゲンタロウを見て買わずにいられるだろうか?
いや無理だろう。
ゲンタロウのこのきれいなハート型の鼻見て。


きゃわゆすぎる赤ちゃんの頃のゲンタロウ写真にやられ、気付くとレジに持って行ってたゴリラ好き。

スペシャルブック「ゴリラ日記」は我が家の本棚に大事に収納され、ことあるごとにこの本を手に取って眺めてはニヤニヤしている私なのである。


「ゴリラ日記」裏表紙。
両親には反抗的なゲンタロウだけれども、
弟キンタロウにとってはやさしく遊んでくれるよきお兄ちゃんなのだ。



ゲンタロウの生い立ち


ゲンタロウは2011年12月21日生まれ。
日本生まれのニシゴリラとして初の4世ゴリラで、日本の動物園で生まれた両親を持つ初めてのニシゴリラになる。

ゲンキは生まれた我が子を片時も離さず抱いていたが、母乳がほとんど出ていなかったことが原因で赤ちゃんはしだいに衰弱してしまい、数日後、ゲンタロウはやむなく人工哺育で育てられることになった。

最終的には人工哺育という、望ましくない結果になってしまいました。皆さんは「人工哺育」と聞くと「飼育員と動物の心のふれあい」というような心温まるようなものを想像してしまうかもしれません。しかし、人工哺育で育ってしまった動物は「ヒトとして刷り込まれ」てしまい、本来の仲間の中には戻って行くことができず、とても不幸なことになってしまうことも少なくありません。そして今回、ゲンキ母子を分離した時に発した、ゲンキの鳴き声は今でも耳に残っています。

「ゴリラ日記」より

飼育員さんの苦渋の決断が伝わってくる。

ゲンキにはキョウタロウという兄がいたが、人工哺育で育ったため家族と暮らすことができないまま、11歳で亡くなっている。ゲンタロウには同じ思いをしてほしくないという気持ちが、飼育員さんにはあったのではないだろうか。

綿密なプロジェクトのもと、ゲンタロウは大切に育てられ、10か月後に無事家族のもとに帰ることができた。
「帰ることができた」と一言でいうのは簡単だが、そこには簡単ではない飼育員さんの努力や、人工哺育で育った我が子を受け入れたゲンキの母性、群れの一員として認めたモモタロウの度量も大きかった。

おそらく野生で生まれていたら助からなかったであろうゲンタロウが、おむつをして飼育員さんにミルクをもらっていたゲンタロウが、家族のもとでゴリラとしてこんなにりっぱに成長したのは本当に感慨深い。

だからゲンタロウがどんなに荒ぶろうと、悩みが多かろうと、それは成長の証であり、生きている証である。

それが、私にはとてもとても愛おしく喜ばしいことに感じるのである。



子供の頃のゲンキの写真がゴリラ舎にありました。
かわいい!


お母さんのヒロミと。
ゲンキ、おてんばだったんだろうなー


ゲンキのお父さんマック。
名前の由来は真っ黒からきているようです(未確認情報)
横顔がなんとなーくゲンタロウに似ている気がします。





続く。



#日本ゴリラ化計画