あの人の『意外な一面』？

サービス業の経営者として、大勢のスタッフを指導する立場にある、Yさんのお話です。

スタッフに対しては分け隔てなく、一人ひとりの成長を願いながら接するように心がけてきたものの、中にはつい困った人だなと思ってしまう相手もいたと言います。

どうしても気にかかっていたのが、A子さんのことでした。

お客様の前では愛想よく、問題なく仕事ができるA子さんですが、事務室に入ると一変して横柄な態度になり、不機嫌さを隠そうともしないため、職場の和が乱れる原因になることもありました。

Yさん自身も経営者である自分がこんなふうに思うのは、よくないことだと思いつつ、A子さんに対してだけは、苦手意識に近いものが芽生えていたのかもしれません。

そんなある日のことです。

遠方への出張のため、新幹線に乗っていたYさんの携帯電話が鳴りました。

会社からの着信であることを確認したYさんは、何か急用だろうかと慌てて席を立ちデッキへと向かいました。

電話の相手は、あのA子さんでした。

『社長、すみません。ちょっと報告がありまして』

この後のA子さんの言葉に、Yさんは目を見張ることになるになるのです。