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発達障害の私が気づいた仕事が遅い本当の原因とは

取り組んでいる仕事がなかなか終わらなくて「もっと効率的にやろう!」「ちょっと遅くないか?」と言われた経験が発達障害の方にはあるのではないでしょうか。

特にASDはまじめな性格の人が多く、サボっているわけではないのに仕事が遅くなってしまうという悩みを抱えている人も多いはずです。

そう言われないように、効率的に仕事をやるにはどうしたら良いでしょうか。実は発達障害の特性を理解してやり方をひとつ変えてみるだけで、より効率的に仕事に取り組めるようになっていきます。

今回は全体的な仕事のタスク管理ではなくて、ひとつの仕事をどのように効率的に終わらせるかについてコツをひとつお伝えしたいと思います。

遅くなる原因は「悩む」こと

自分の仕事がなぜ遅くなるのか振り返ってみましょう。なぜ時間を掛けてしまうのでしょうか。私は自分の仕事を振り返り気づいたのは次のことでした。

それは「悩む時間」です。

例えば見積もり書を作成するときに、実際に入力してみると「あれ?これは大丈夫かな・・」「この仕様で良かったかな?」といろいろ細かいところに気が入って逐一カタログを見たり、人に聞いたりすることで入力作業が中断されます。

そして、中断されたことでますます仕様について頭が混乱していき時間がかかっていってしまったのでした。

仕事の効率化にはこの「悩む時間」を効率的にすれば良いのです。しかし、私はASDですので細かいことが気になってしまう特性は少なからずあり、変えることはできません。この発達障害の特性をどのようにコントロールすれば良いでしょうか。

最初に気になる点を全部挙げて脳内で書類を作る

そこで私が実践した方法は「最初に気になるところを全部片して脳内で書類を作る」でした。

発達障害には情報処理の仕方が健常者とは少し違います。発達障害者は基本的に細かいところに気づいたり、全体より部分を見るなどの局所処理をする傾向があります。

しかし当事者ならわかるかもしれないですが、全体処理ができないわけではありません。このような視覚情報処理に関わる注意の働きを説明したのが「バイアス化競合モデル」です。

簡単に言いますと、「注意」という機能は2つの情報選択のバイアスからなるということです。それは次の2つからなります。

・「目立つもの」を選択する

・課題設定などの注意テンプレートと一致したものを選択する

産業技術総合研究所熊田孝恒さんは赤い丸と緑の四角を例にして次のように述べています。(※要約)

たとえば、目の前に赤い丸と緑の四角が1つずつあるとします。赤い丸の方が大きく輝度が高ければ、赤い丸の方が目立つので強い情報選択の信号となります。

一方で「緑を取るように」と指示があったりする場合には知識による情報選択のバイアスがかかるというように述べています。

▽参考文献▽ (熊田孝恒『心理学評論』「発達障害者の注意研究の意義と期待」54巻1号 2011年

つまり、発達障害があると細かいことに気になったり、全体より部分を見るなどの局所処理をする傾向がある一方で、課題設定や目的があるとそのような局所処理のバイアスが軽減されると考えることができるわけです。

気になるところを全部あげる」というのはこれを応用するということです。このような課題設定を自分に課すことで色々なところに意識が入ってしまったり悩む時間を最小限にしてくれます。

具体的には私は次のように実践しています。

・最初に気になるところを全てピックアップ

・カタログで調べたうえで分からなかったら人に聞く

・頭で完成図を思い描けたら入力を始める

このようにして「悩む時間」「調べる時間」「入力する時間」とシングルタスクにすることでより効率的に取り組めるようになると思います。

発達障害者が仕事をするうえで局所処理というのがとても厄介な問題のひとつだと思います。何か仕事をするときには「課題設定」というのが仕事をするうえでの重要なポイントの一つではないかと思います。


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