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新しい宗教を創ろう #5


 晴れた、空を眺めていた。
 この惑星の重力では殆どの箇所に於いて、雲が発生するのは地上から十数km前後まで。もし直線のロードコースに喩えれば、ある程度まで鍛えると誰でも半刻ほどで雲の上まで駆けられる。
 走れば死ねる。
 どんな人間でも、走れば死ねる。

 言葉はいつも劇薬で、ひとくち、たったひとくち読んでしまったそれだけで、生き方すべてが変わってしまうこともある。

 意味と価値。
 ほとんどすべての大人達は、信じられないことに、意味と価値の区別が出来ていない。
 命の初歩であるにもかかわらず。
 もし君が、意味と価値の違いを知らずに育ってきたならば今が良い機会だ。安い自己啓発本ばかり読んでいる、単純な哲学さえ知らない薄っぺらい大人達に、君が教えてあげよう。

 「生きる意味」を失ったとしても「生きていけない理由」にはならない。
 「生きる意味」は総じて「自殺の肯定」の裏返しでは無い。

 晴れた、空を眺めていたら、
「助けてあげよう」と誘われたことがある。
 僕のその頃の状況は、将来の無い暮らしをしている若者だった。どんなに素晴らしい救済なのかと思ったら、単なるつまらないカルト宗教だった。
 断言できることが幾つかある。
 あなたがもし何らかの勧誘に直面した際に
「でも来ない理由ないでしょ」
というような言葉を相手が使った場合、すぐに警察機関に通報しましょう。そのようなカルトは、第三者に認知されることが重要なのであって、彼らにとってあなたの命はどうでも良いのです。

 何故ここまで断言できるのか。
 そのようにして出会った友達がいたからです。
 ちなみに僕はその組織に“知らぬ間”に入会させられましたが、なんだか楽しかったのでしばらくは信じている振りをして体験学習をしました。きちんとした信者しか受験できないはずの試験も幾つかは、たいして勉強せずに合格しました。簡単だったんです。
 参考までに書いておきますが、僕は高校時代に数学で0点を取るようなアホであり、もっと言うと代表への尊敬の念は一切無かったのです。かといって嫌悪も軽蔑もしていません。せいぜい、知らない宗教の知らない人、程度。
 宗教法人の代表についてさえ、さほど尊敬していない人間。それを入会させて試験まで受けさせて、しかも合格させてしまう。これっておかしくないですか? それは宗教法人として正しいのか?

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