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60) 甘い果物は老化と発がんを促進する(その1):果糖は老化を促進する

体がみるみる若返るミトコンドリア活性化術60

ミトコンドリアを活性化して体を若返らせる医薬品やサプリメントを解説しています。

【フルクトースとグルコース】

 それ以上に加水分解されない糖類を単糖(monosaccharide)と言います。複数の単糖が結合すると、結合した単糖の数に応じて、二糖やオリゴ糖や多糖という大きな糖類になります。
生物にとってエネルギー源となる単糖の代表はグルコース(ブドウ糖)とフルクトース(果糖)です。ともに6つの炭素から構成され、化学式はC6H12O6で同じですが構造が異なります。これを異性体と言います。蔗糖(スクロース)はグルコースとフルクトースが一個づつ結合した二糖です(下図)。

図:スクロース(蔗糖)はグルコース(ブドウ糖)とフルクトース(果糖)が結合した2糖で、澱粉はブドウ糖が多数結合している。これらの糖質は消化管の消化酵素でそれぞれの単糖に分解されて体内に吸収される。

 

 食事から摂取する糖質の代表は、穀物やイモ類などに含まれる澱粉(デンプン)ですが、澱粉はグルコースが多数重合した多糖で、植物が光合成で作り出します。動物は食品中に含まれる澱粉を消化管内の消化酵素で最終的にグルコースまで分解して小腸から吸収し、細胞内に取込まれたグルコースは解糖系とTCA回路と電子伝達系によってエネルギー(ATP)を作って、生命活動に使用することになります。


一方フルクトース (fructose)は、果糖(fruit sugar)とも呼ばれるように果物に多く含まれます。全ての糖の中で最も水に溶けやすく、甘みは砂糖の1.5倍以上、グルコースの2倍以上あり、しかもコストが低いので、加工食品や飲料の甘味剤として多く使われています。


砂糖や異性化液糖がデンプンより健康に悪い理由の一つは、砂糖や異性化液糖はグルコースの吸収が早いので、インスリンの分泌刺激が強いからです。砂糖と異性化液糖の半分はフルクトースであるため、グルコース単独のデンプンより健康に良さそうに思われるかもしれません。しかし実際は逆で、砂糖と異性化液糖はフルクトースを半分含むので健康に悪いということになっています。その理由は数多くあります。



【グルコースを異性化すると甘いフルクトースに変わる】

 穀物の糖質は主にデンプン(澱粉)です。前述のごとく、デンプンはグルコース(ブドウ糖が多数結合した構造をしており、デンプンを酸や酵素で分解するとグルコースが得られます。グルコースはインスリンの分泌を促進し、あまり甘くありません。

一方、グルコースの異性体であるフルクトースは非常に甘く、しかもインスリンの分泌を刺激しません。インスリンのグリセミック指数は19でグルコースの5分の1です。

グリセミック指数は、食品の血糖値の上昇の度合いを表現する数値で、食品の炭水化物を50グラム摂取した際の血糖値上昇の度合いをグルコース(ブドウ糖)を100とした場合の相対値で表します。グリセミック指数が高いほどインスリン分泌を刺激することになります。

異性体というのは分子式は同じですが、原子の結合状態や立体配置が異なるために異なった性質を示す化合物です。グルコースとフルクトースの分子式はC6H12O6ですが、構造が少し違います(下図)。

図:グルコースとフルクトースは異性体の関係にあり、ともに分子式はC6H12O6であるが、立体構造が異なる。グルコースはインスリン分泌を刺激し、甘くない。一方フルクトースはインスリン分泌を刺激せず、非常に甘い。

 

 砂糖の主成分であるスクロース(蔗糖)はグルコースとフルクトースが結合した二糖類です。砂糖が甘いのはフルクトースが含まれるからです。フルクトースは天然に存在する糖の中で最も甘く、グルコースの2.3倍、蔗糖の1.7倍の甘さがあり、特に冷たい条件で甘味が増すため、清涼飲料水やアイスクリームの甘味を増すために添加されています。

グルコースをイソメラーゼという酵素やアルカリで処理するとフルクトースに変換(異性化)できます。デンプンを分解して得たグルコースの一部をフルクトースに異性化したものが異性化液糖と言われるものです。グルコースの一部をフルクトースに変えることによって甘味を増すのが目的です。砂糖と同様にグルコースとフルクトースの2つの単糖からなり、砂糖よりも安価に製造できるため、砂糖の代わりに清涼飲料水など多くの食品に使用されています。

日本では、フルクトース(果糖)の含有率が50%未満のものをブドウ糖果糖液糖、フルクトース含有率が50%以上90%未満のものを果糖ブドウ糖液糖、フルクトース含有率が90%以上のものを高果糖液糖と呼んでいます。

米国ではトウモロコシのデンプン(コーンスターチ)を原料に作成した高フルクトース・コーンシロップが多くの飲料や食品に添加されています。高フルクトース・コーンシロップの多くはフルクトースが55%、グルコースが45%の組成になっています。

フルクトースはグルコースに比べてインスリン分泌を刺激する作用が弱いので、肥満や糖尿病を防ぐ作用があるように思われますが、実際は全く逆で、肥満や糖尿病や高脂血症や動脈硬化やがんを増やすことが明らかになっています。



【フルクトースは多く摂取すると毒になる】

 フルクトースが生理的に存在するのは精液の中だけです。精子のエネルギー源になるためです。しかし、フルクトースは体内でグルコースから生成されるので、食事から摂取する必要はありません。つまり、食事から摂取する必要のない栄養素と言えます。

フルクトースを摂取すれば体内でエネルギー源にはなるので、適量であれば問題はありません。摂取カロリー量が消費カロリー量を超えなければ、理論的には肥満を引き起こすことはありません。しかし、摂取カロリーが過剰な状況になると、フルクトースは人間の代謝に対して悪い作用を示すことになるのです。

フルクトースは甘味が強いので、脳の報酬系を刺激して甘味中毒を引き起こし、食事の摂取量を増やします。タンパク質を糖化する作用が強く、動脈硬化や皮膚の老化を促進します。「タンパク質の糖化」というのは、グルコースやフルクトースなどの糖がタンパク質に結合する反応です。タンパク質の働きを阻害し、炎症や酸化ストレスを高めて老化を促進します。

フルクトースは活性酸素の産生を増やし、肝臓における中性脂肪の合成を促進し、高脂血症を引き起こします。さらにインスリン抵抗性を高めて、肥満や2型糖尿病やメタボリック症候群を引き起こします。さらにがんの発生や進展を促進します。

 摂取カロリーが消費カロリーを上回っているのが肥満の第一の原因であることは明らかですが、フルクトースは食事摂取量を増やし、いくら摂取しても満腹にはならず、余ったカロリーを脂肪に変換させるので、肥満を促進する作用があります。

「食事でお腹一杯になっても、甘いデザートは別腹」というのは多くの人が体験しますが、フルクトースからのカロリーはいくら食べても満腹にならないからです。

このような作用はアルコール摂取と似ているという指摘があります。果糖には人を酔わせる作用はありませんが、その不健康作用はアルコールと匹敵すると言われています。

アルコールは適量であれば、寿命を延ばすということになっています。血液循環を良くして心筋梗塞や脳梗塞の発症リスクを低下させるからです。しかし、フルクトースにはそのような作用は報告されていません。カロリーが過剰な状況で、お菓子や果物や清涼飲料水から多量のフルクトースを摂取するのはアルコールより健康に悪い可能性があります。

 

フルクトース(果糖)はグリセミック指数が低く、インスリン分泌を刺激しないので、グルコース(ブドウ糖)よりも健康的で、肥満を起こしにくいと思っている方は多いようです。しかし、フルクトースは肝臓に取込まれて中性脂肪に変換されやすい糖です(この理由は後述)。
 
食事からのカロリー摂取が過剰でなければグルコースに変換されてエネルギー源として使われるので肥満は起こしませんが、摂取カロリーが過剰な場合は、フルクトースの量が多いほど体脂肪を増やしやすいのです。

さらに、フルクトース自体はインスリン分泌を刺激する作用は弱いのですが、フルクトースはグルコースのインスリン分泌刺激を増強するという報告があります。フルクトースとグルコースを一緒に大量に摂取すると、インスリン分泌が増えて肥満やがんの発生を促進する可能性が指摘されています。したがって、高フルクトース・コーンシロップなどの異性化液糖や果物や蜂蜜に含まれる糖分(ブドウ糖と果糖と蔗糖が多い)は、デンプン(グルコースが多数結合したもの)が主体のご飯やパンよりも肥満を促進する作用が強いということになります。



【フルクトースは肝臓で全て取り込まれる】

食事に含まれるグルコースは消化管から吸収されて門脈に入ってまず肝臓に入りますが、肝細胞に取込まれるのは20%程度で、多くは全身の細胞に運ばれてエネルギー産生に使われます。グルコースは全ての細胞のエネルギー産生に必要なので、エネルギー産生量に応じて分配されるように制御されています。そして、余ったグルコースは肝臓や骨格筋や脂肪組織でグリコーゲンや脂肪として貯蔵されます。

 

一方、フルクトースはほぼ100%が肝細胞に取り込まれます。フルクトースを取込むグルコーストランスポーター5(GLUT5)は肝細胞にしか発現していないからです。がん細胞はGLUT5の発現が亢進してフルクトースをエネルギー源として利用しています。フルクトースの多い食事ががん細胞の増殖を促進することが明らかになっています。

 

グルコースとフルクトースはヘキソース(六炭糖)と言います。これらヘキソースの6位のヒドロキシル基(OH基)をリン酸化するのがヘキソキナーゼです。グルコーストランスポーターから取り込まれたグルコースがヘキソキナーゼでリン酸化されるとグルコーストランスポーターを通ることができなくなります。つまり、細胞内に取り込まれたグルコースを細胞内に止めるためにリン酸化するのがヘキソキナーゼです。6位がリン酸化されてグルコース-6リン酸に変換されたあと、解糖系で代謝され、さらにTCA回路と電子伝達系でATPが産生されます。



【フルクトースの代謝はフィードバック阻害が効かない】

 解糖系ではグルコース-6リン酸からイソメラーゼでフルクトース-6リン酸に変換され、さらにホスホフルクトキナーゼで1位がリン酸化されてフルクトース-1,6ビスリン酸になり、さらにジヒドロキシアセトンリン酸とグリセルアルデヒドに分解されて解糖系が進行します。この解糖系ではヘキソキナーゼとホスホフルクトキナーゼのところでフィードバック制御を受けています。つまり、グルコースが細胞内に多く取り込まれてATPが十分に産生されれば、解糖系の進行を止める制御機構が存在します。

ヘキソキナーゼはその反応産物であるグルコース-6リン酸で阻害され、ホスホフルクトキナーゼはTCA回路で生成されるクエン酸と電子伝達系で産生されるATPによってフィードバック阻害を受けます。解糖系がストップするとグルコース-6リン酸からグリコーゲン合成が進行して余ったグルコースはグリコーゲンとして貯蔵されます。

肝臓に存在するヘキソキナーゼはグルコースに特異的なグルコキナーゼで、フルクトースの6位をリン酸化するヘキソキナーゼがありません。肝細胞内に入ってきたフルクトースはまずフルクトキナーゼで1位の水酸基がリン酸化されてフルクトース-1リン酸に変換され、さらにアルドラーゼでフルクトース-1,6ビスリン酸からジヒドロキシアセトンリン酸とグリセルアルデヒドに分解されて解糖系に入っていきます。

ヘキソキナーゼや解糖系によるグルコースの代謝は、細胞内エネルギーの状態やインスリンレベルによって厳密に調節されていますが、肝細胞に入ったフルクトースは、解糖系のフィードバック制御が行われるヘキソキナーゼとホスホフルクトキナーゼの反応系をバイパスして解糖系に入るので、フルクトースの解糖系での代謝は歯止めがなく、入ってきたフルクトースは全て解糖系で代謝されることになります(下図)。

図:肝臓において、フルクトースはフルクトキナーゼでフルクトース-1リン酸に変換されて、ついでフルクトース-1,6−ビスリン酸、グリセルアルデヒド-3リン酸に代謝されて解糖系に入っていく。解糖系はヘキソキナーゼとホスホフルクトキナーゼのステップでフィードバック阻害を受けているので、グルコースの取込みが多くなると解糖系は反応がストップするように制御されている。しかし、フルクトースはこの2つの制御をバイパスして解糖系に入るので、フルクトースが肝細胞に多く取り込まれると、全てが解糖系とTCA回路で代謝される。フルクトースは脂肪合成に関与する酵素の活性を高めるので、アセチルCoAから脂肪酸合成の経路が促進されて中性脂肪の合成が亢進し、肥満や高脂血症や動脈硬化や脂肪肝の発症を促進する。



【フルクトースは肝臓での中性脂肪の合成を促進する】

 空腹時にグルコースが不足しておれば、フルクトースはフルクトース-1,6ビスリン酸から解糖系を逆に進む糖新生によってグルコースに変換され血糖の維持に使われます。エネルギー産生が足りなければ、フルクトースは解糖系とTCA回路と電子伝達系でATP産生に使われます。

細胞内のATPが十分であれば、TCA回路で産生されたクエン酸はミトコンドリアを出て細胞質内でアセチルCoAに変換され、さらに脂肪酸合成へと進みます。フルクトースは脂肪酸を合成する酵素系の発現と活性を高める作用があります。

グルコースとフルクトースを同時に摂取した場合(砂糖や異性化糖液や果物)は、グルコースが解糖系とTCA回路を占拠するため、フルクトースはもっぱら脂肪合成に回されることになります。フルクトース単独よりフルクトースとグルコースを一緒に摂取すると脂肪合成は3倍になると報告されています。
 
フルクトースを多く摂取すると食後の血中の中性脂肪やLDLコレステロールの濃度が上がることが知られています。LDLコレステロールは、肝臓でつくられたコレステロールを各臓器に運ぶ働きをしている低比重リポたんぱくのことです。細胞内に取り込まれなかった余剰なコレステロールを血管内に放置し、動脈硬化を引き起こす原因となります。

 

フルクトースの過剰摂取が肝臓における炎症を引き起こし、非アルコール性脂肪肝の原因になり、さらにインスリン抵抗性を高めて肥満や糖尿病やメタボリック症候群を引き起こすことが報告されています。極端に多い量のフルクトースでなくても、1日40gのフルクトースを毎日摂取すると肝臓でのインスリン抵抗性を高めて中性脂肪やコレステロールの合成を高める作用があることが臨床試験で明らかになっています。

 

食品に含まれている糖類(グルコース、フルクトース、スクロースなど)の半分以上がフルクトースなので、全糖類摂取量が80gくらいの摂取で糖質と脂質の代謝系に大きな悪影響が起こる可能性を示唆しています。

現在では、多くの食品に砂糖や異性化液糖(果糖ブドウ糖液糖など)が加えられており、米国では全フルクトース摂取量の平均は一人1日80gを超えています。日本でも、砂糖の多いお菓子やケーキや清涼飲料水を多く摂取している人は1日40g以上のフルクトースは摂取しています。



【フルクトースは老化を促進する】

 タンパク質を糖化する作用はフルクトースはグルコースの7倍といわれています。タンパク質の糖化は老化を促進します。長期的に大量のフルクトースを摂取していると糖化や老化を促進することが報告されています。以下のような報告があります。

Long-term fructose consumption accelerates glycation and several age-related variables in male rats.(オスのラットにおいて、長期におよぶフルクトースの摂取は糖化と老化関連事象を促進する)J Nutr. 128(9): 1442-9, 1998

 フルクトースは他の還元糖と同じようにタンパク質をメイラード反応を介して糖化し、糖尿病における様々な合併症の発症と関連し、老化を促進する作用が指摘されています。

ラットに飲み水として250g/Lの濃度でフルクトース、グルコース、スクロース(蔗糖)の糖類液を作成して自由に飲ませ、タンパク質の糖化の度合いや脂質過酸化の程度、皮膚のコラーゲンのクロスリンクの程度、糖化最終生成物(Advanced glycation end products)を比較しています。

この3群の間に血糖値(血中のグルコースの濃度)には差はみとめませんでしたが、グルコース投与や蔗糖投与群に比べて、フルクトース投与群では、血中のフルクトース、コレステロール、フルクトサミン、糖化ヘモグロビンの濃度が有意に上昇し、尿中の過酸化脂質の指標も上昇していました。皮膚のコラーゲンの糖化やクロスリンクの程度がフルクトース投与群で最も高かったということです。つまり、この実験結果はフルクトースの摂取量が多いと老化を促進する可能性を示唆しています。


炭水化物は、水酸基(-OH)を多数持ち、さらに、アルデヒド基(-CHO)またはケトン基(>C=O)のどちらかを持っています。アルデヒド基を持つ単糖をアルドース(ポリヒドロキシアルデヒド)といい、ケトン基を持つ単糖をケトース(ポリヒドロキシケトン)といいます。酸素原子と二重結合でつながっている炭素を末端に持つものがアルドースで、内部に持つものがケトースということになります。グルコース(ブドウ糖)はアルドース、フルクトース(果糖)はケトースになります(図)。
 
分子内に遊離性のアルデヒド基やケトン基を持っていると還元性を示すので、このような糖類を還元糖と言います。「還元」というのは、他の物質から酸素を奪い、自分は酸化される性質です。この還元糖の性質があるため、グルコースやフルクトースはタンパク質やアミノ酸と反応します。

図:糖質は水酸基(-OH)を多数持ち、アルデヒド基(-CHO)かケトン基(>C=O)を持つ。アルデヒド基を持つ単糖をアルドース、ケトン基を持つ単糖をケトースと呼ぶ。グルコースはアルドースで、フルクトースはケトースになる。グルコースもフルクトースも還元性をもち、タンパク質やアミノ酸と結合する。

 

 

料理で食材を加熱すると、グルコースやフルクトースのような還元糖とアミノ化合物(タンパク質やペプチドやアミノ酸)が反応して様々な物質ができます。これらの物質は料理の味や香りや色とも関係しています。

この反応はアミノカルボニル反応、あるいは発見者の名前をとってメイラード(Maillard)反応と呼ばれています。このメイラード反応は非酵素的な反応で、加熱によって短時間で進行しますが、常温でも長い時間をかけて進行します。ホットケーキを焼くと褐色になるのは、卵や牛乳のタンパク質と砂糖が反応するからです。味噌や醤油の色もメイラード反応によって生成した成分の色です。

生体内でグルコースやフルクトースなどの還元糖がタンパク質に結合する糖化反応も生体内で起こるメイラード反応です。体内で生成した糖化タンパク質はその後分解して様々な低分子物質が生成します。これらの物質を糖化最終生成物(advanced glycation endproducts;AGE)と言います。AGE(エイ・ジー・イー)というのは糖化反応による生成物の総称で、多数の種類が知られています。このAGEという物質が、さらにタンパク質を変性させ、炎症や酸化ストレスを高めて老化を促進します。

AGEは細胞や組織の働きを障害します。すなわち、AGEは細胞外の結合組織に蓄積して結合組織のタンパク質(コラーゲンやエラスチンなど)をクロスリンク(架橋)して、弾力性を低下させます。これは血管や皮膚が硬くなる原因になります。

AGEは細胞のタンパク質も架橋して変性させます。グルコースが細胞質内の解糖系で代謝される途中の物質がタンパク質を糖化させることが知られています。糖の摂取が多くなり、細胞内での糖代謝が亢進すると細胞内のAGEも増えます。細胞膜や細胞内のタンパク質にAGEが結合すると細胞の老化が進み、働きが低下します。



【なぜ果物にフルクトース(果糖)が含まれるのか】

 生物は生存や繁栄に有利なように進化していきます。動けない植物が動物から食べ尽くされないように様々な毒を持っているのも進化の結果です。

さて、果実というのは、その植物の種子を含みます。植物は動けないので、その種を繁栄させるためには、できるだけ多くを遠くまで運んでもらう方が有利になります。つまり、動物に多く運ばれるほど種の繁栄につながります。

そこで、動物に多く食べてもらい、遠くへ種子を運んでもらうために種子の周りにカロリーが多く、甘味の強い糖分(つまり果糖)の多い果肉をつけるようになった(進化した)と言われています。
 
果糖の甘みはブドウ糖の2倍以上と言われています。つまり、果糖の多い果実をつけるほど種の繁栄に有利になり、自然淘汰に生き残ることになります。

 

一方、多くの果実は秋(つまり、冬の前)に熟します。太古の昔は、冬になると食糧が極端に少なくなります。フルクトースは体脂肪を増やす作用があります。余ったカロリーを効率よく脂肪に変換する特徴があります。つまり、食糧が少なくなる冬になる前に、フルクトース(果糖)を多く摂取して体脂肪を増やしておくことは動物の生存にも有利になります。

植物がカロリーと甘味の強いフルクトースを多く含む果実をつけることによって動物が多く食べることによって種子を遠くへばらまくことができます。一方、フルクトースを多く摂取することは動物にとって食糧の少ない冬を乗り切るのに有利になるという訳です。つまり、植物と動物の利害が一致することになります。

 

果糖(フルクトース)は体に必要な栄養素ではなく、むしろ毒だと捉える方が正解です。植物が動物を利用するための作っている物質で、強い甘味で動物を虜にする中毒性の高い毒と捉えた方が良いと思います。

図:穀物(米、小麦、トウモロコシ、イモ類など)に含まれる糖質はグルコースが多数結合したデンプンが主体。果物や清涼飲料水やケーキやアイスクリームなどにはグルコースやフルクトースのような単糖類と、グルコースとフルクトースから構成される蔗糖(スクロース)や異性化液糖(高フルクトース・コーンシロップ)が多く含まれる。グルコースに比べてフルクトースは血糖上昇作用やインスリン分泌刺激作用は弱い。しかし、甘味による脳の報酬系の刺激作用、肝臓におけるインスリン抵抗性の誘導作用、肝臓における中性脂肪合成亢進、脂肪肝の発症、高脂血症・動脈硬化・虚血性心疾患の発症促進、肥満・2型糖尿病・メタボリック症候群の発症促進、がんの発生や進展の促進、タンパク質の糖化や老化の促進などの作用においては、フルクトースの方がグルコースより強い。つまり、グルコースよりフルクトースの方が体に対する毒性がより強く、健康に悪いと言える。

体がみるみる若返るミトコンドリア活性化術 記事まとめ


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