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THE 離婚 トーキョー NO.14. 外国にいる証人を証人尋問する?

 日本の裁判所で、不倫の慰謝料請求をしています。不倫をした事実の証明をするため、被告の上司に証人尋問を申請したいのですが、その上司はハワイにいるのです。この人を証人として申請できませんでしょうか?

ある日の相談より抜粋

証人が外国に所在している?


 外国に証人が所在する場合、その方が自発的に原告に協力をしてくれるのであれば、原告の弁護士が裁判所に同行の上、法廷で尋問をしたり、その前に打ち合わせを行うことができます。
しかし、本件のようにハワイに在住していると、来日するだけでも大変です。一方裁判所が証人を強制的に呼び寄せる、裁判官がハワイに赴くなどの手続は不可能です。実はこういった場合に民事訴訟法184条は、その国の管轄官庁又はその国に駐在する日本大使、公使、もしくは領事に嘱託することとしています。
※この規定は日本国内のみに効力を有するものですから、どうしても個別具体的な検討が別途必要になってしまいます。

領事証拠調べ?

 この方法は、相手国に駐在している日本の領事に証拠調べを嘱託する方法です。実際のところ、日本人及び日本語を理解している証人から日本語で証言を採ることに利用を限定しているところです。この方法では、証人の任意の出頭が必要とされていますので、強制力まではありません。

指定当局証拠調べ?


 
 
相手国が民訴条約の批准国であれば、証人尋問を行ってくれます。ただし、嘱託を願い文書には現地公用語の訳文が必要となります。さらに、この尋問の結果の調書書面も現地公用語で作成されてしまいますので、和訳を別で行う必要が生じます。

管轄裁判所証拠調べ?

 相手国が民訴条約の締結国でなくても、二国間共助取り決め又は個別の応諾がある場合には、これを行うことが可能です。ただ、証拠調べに関する費用との関係で、予納金といって、裁判所におさめるお金が必要となります。

米国との関係

 実は我が国の場合、米国の連邦地方裁判所は、国際司法共助の手続を必要とせず、外国訴訟における証拠調べ手続に関しては米国内で行うことができるとされています。

当事者尋問は?

 原告被告当事者の当事者尋問は、やはり日本国外での尋問であれば、証人尋問の嘱託と同様です。実は、外国在住の当事者を法廷に呼び出すことに関しては、我が国の民事裁判権行使が及ぶ事案であるならば、何ら問題なく呼び出しができるとされています。

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