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男塾法律相談100選 ⑳

妻が会社の役員になっている
いま何をすべきか

妻の浮気が原因で、私は離婚を考えています。私自身は、会社を経営していて、会社設立時に税理士の勧めもあり、妻を形ばかりの役員に任命していました。妻は、私と離婚したら、会社役員をやめる代わりに多額の退職金を要求してきています。そのために、離婚に踏み切れません。私はどうしたらよいのでしょうか。

ある日の相談より抜粋

今何をすべきでないか
 
妻の浮気が原因による離婚の場合、あなたに気持ちの整理をする時間はいくらあっても十分とは言えません。むしろ、離婚を考えるという英断をした点に関して、前を向くための苦肉の策かもしれません。一方で、会社の経営者であれば当然ですが、会社はあなたの子ども、分身のような存在でしょう。そこでに、浮気をした妻の名前が連なっている。これは極めて理不尽に感じるでしょう。しかし、登記簿上取締役として選任されていることが表示されていると、取締役は取締役です。『名目上の取締役』なのだ、何も働いていないのでお金は支払う必要がないと考えるかもしれません。しかし、ここで考えなければならないのは、早急に役員ではない状態に置くことです。そのためには会社の規模に応じて株主総会や取締役会が必要とされてきます。絶対にやってはいけないこととしては、『退職金はやらないからな』『今まで何もしていなかったのに居座りやがって』『浮気したくせに』などと、ある意味で心ないことばを投げかけることです。夫婦関係は親密な関係になる以上、こういった言葉は投げかけてしまいがちのようですが、絶対にお勧めできません。

何をするべきか
妻が多額の退職金を要求しているかもしれません。しかし、役員が退職するにあたり、退職金を包むなどといったことは慣行上あるケースや会社の独自規定がある場合をのぞき、基本的に多くはありません。これだけのために離婚に踏み切れない、立ち止まってしまう気持ちは理解できますが、広い視野でものごとをみたときに、会社の退職金を支払わない状態にすることと、離婚をして心の平穏を手に入れることと。いずれが大切なのかは、あなた個人の価値観や判断にゆだねられる問題なのかもしれません。

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