映画「ドライヴ・マイカー」は心に染み入る物語だった。
数週間前にプライムビデオで「ドライブ・マイカー」観ました。
さすが村上春樹の原作、
心にじわじわ沁み入る大人の映画でした。
映画の感想をnote読者の方々に伝えたい!と思い
もう一度鑑賞しました。
さらっと語れる単純な内容ではなかったので。
〜ざっくりなあらすじ〜
主人公の家福(かふく)は、舞台俳優で演出家。
脚本家の妻と穏やかな生活を送っていた。
ある朝妻から「帰宅したら話がある」と言われる。
帰宅すると妻は、くも膜下出血で帰らぬ人に…。
家福の習慣は、愛車の赤い車の中でテープに吹き込んだ妻のセリフに合わせて練習すること。
感情を表す抑揚はつけずに。
2年後、演劇祭に参加するために広島へ向かった。
車中でセリフを覚えるので、数ヶ月滞在する宿は
片道1時間ほどのところに確保してもらった。
主催側の決まりで、送迎の専属ドライバーを付けることになっていた。
紹介されたのは、23歳の女性ドライバーみさき。
はじめ家福は、愛着のある車を他人に運転させたくないと断るが試し運転をさせて納得する。
みさきは、無表情で無口だった。
でも、車中でセリフを覚える家福には好都合。
演劇祭での出し物はチェーホフの「ワーニャおじさん」。
オーディションで選んだのは、母国語が違う面々。
言葉が通じない者同士が自分の言語でセリフを言うのが家福の演出のようだ。
セリフの読み合わせをする時も、俳優たちに
抑揚をつけないように指示する。
ストーリーは悲劇であるが、最後には絶望の淵でも全て受け止めて生きましょう、と締めくくる内容。
家福は、妻の死は自分のせいだという後悔の念があった。
だんだん話をするようになったみさきも、母の死は自分のせいだという後悔があり、ここで2人の心に橋がかかる。
家福は、1人娘を幼くして無くしていた。
妻との間にこの過去が見えない溝を作っていた。
生きていたらみさきと同い年。
みさきの実家があった北海道の雪の中で
過去を思い出して泣く家福をみさきがそっと抱きしめる。
そして家福は言う。
「大丈夫、僕たちはきっと大丈夫。」
そうしてラストの情景は・・・・。
〜〜〜〜〜〜〜〜
瀬戸内海の青い海と車の赤。
北海道の白い雪と車の赤。
色の対比が美しい。
とても静かで淡々と進んでいく映画だけれど、だからこそ
動いている車中で交わす会話の内容が印象的に浮き彫りになっているのだと感じた。
※この映画は「第94回アカデミー賞」で
「国際長編映画賞」を受賞。
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