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目的のない時間を持つことは大切、"気持ちを切り替える力"を育てよう

ついつい、あそこへ行くならどことどこに
寄って帰りはあそこにも行こう、などと
考えて行動していますが、効率的ばかりは
あまり良くないようで、、、。

以下引用です。
(yahooニュース/川野泰周 :心療内科医)


■祈りや懺悔とちがい「目的」がないのが瞑想

近年、瞑想法としてよく知られるようになっ
てきた「マインドフルネス」ですが、マイン
ドフルネスとは、ある特定の瞑想法を指して
いるわけではありません。
本来の意味は、「いまこの瞬間に体験してい
ることだけに注意を向けて、そこから得られ
た感覚に対する善し悪しの判断を手放す」と
いう「心の姿勢」のことを指します。
でも、この心の姿勢をつくることは、とくに
社会人にとってはなかなか難しい。数多くの
情報に囲まれて仕事に追われるなか、自分が
体験していること以外にもいろいろなことを
同時に考えないといけません。
それこそ仕事においてはなにか間違いがあれ
ば即座に正すことが求められ、善し悪しの判
断をし続けることになります。
だからこそ、仕事などの雑事から離れて瞑想
の時間を持つことで、マインドフルネスの状
態をつくっていく練習をすることが必要なの
です。
このマインドフルネスのルーツは、仏教の開
祖であるブッダが行った瞑想法にあります。
そのため、欧米人の目にはとても目新しく映
りました。
なぜなら、キリスト教などにおいて欧米人が
行うのは、瞑想というより祈りを捧げたり
懺悔したりすることが主体だからです。
が、祈りのようになんらかの「目的」が
あるわけではなく、ただ自分の呼吸やいまこ
の瞬間を静かに感じることが心に安寧をもた
らすということに気づいた、マサチューセッ
ツ大学のジョン・カバット・ジンという先生
が、1980年頃に医療現場で瞑想を使うように
なりました。
これが、マインドフルネス瞑想が注目される
ことになった大きなきっかけです。
その後、みなさんもご存じかもしれませんが
、2000年代になるとシリコンバレーのIT企業
の経営者たちが、社員の能力開発に使った
とで大ブームになりましたよね。
ただ、祈りのようになんらかの目的がないこ
とが本来のかたちですから、能力はあとから
ついてくるものであって、「能力開発のため
に!」という目的を持つことにはいささかの
違和感を覚えます。

■マインドフルネスが育む「気持ちを切り替える力」

そんな違和感はありつつも、マインドフルネ
スがビジネスパーソンにとって有用であるこ
とは確かなことです。
そのひとつが、「気持ちを切り替える力」
育んでくれるということでしょう。
2011年、カナダのモントリオール大学で以下
のような研究が行われました。
被験者たちにヘビやゴキブリといった嫌な気
持ちになる写真を見せたあと、そのことを忘
れようとしてもらうという内容です。
そして、そのときの脳の活動を調べたところ、
マインドフルネスの未経験者と熟練者とのあ
いだに大きなちがいがあったというのです。
未経験者は、「嫌だなあ…」といったネガ
ティブな感情の中枢である脳の扁桃体という
部分の活動が穏やかになっていました。
その理由は、扁桃体の過剰な活動を抑えるた
めに、理性の中枢である前頭葉が活発に働い
ていたからです。
「そうして嫌な気持ちを抑えられたのなら、
それでいいじゃないか」と思うかもしれませ
んが、このことには問題があります。
前頭葉をあまりに疲弊させてしまうと、心の
バランスが崩れてうつを発症させてしまう可
能性があるからです。
一方、マインドフルネスの熟練者はどうだっ
たのかというと、扁桃体の活動は通常レベル
でした。
そして、なんと前頭葉はほとんど働いていな
かったのです。これは、「嫌なものは嫌だ」
と思いつつも、その感情をあるがままに受け
入れているという脳内の働きを意味していま
す。
「あ、いま自分は嫌だと思っているんだな」
「でも、それは写真を見たときだけのこと
だから、いまは関係ないや」というふうに、
あっけらかんと気持ちを切り替えることが
できたのです。

■社会人の大きな力「アクセプタンス」「アウェアネス」とは?

この力は、社会人にとって必須のスキルでは
ないでしょうか。困難な仕事を抱えてパニッ
クになりそうになったり、理不尽な上司の指
示にイライラしたりということは日常茶飯事。
そんなときでも、平常心に戻れることができ
る人は「強い」ですよね。
この強さは、人から見て力強さを感じさせる
ようなものではないでしょう。
そうではなく、いつでも周囲の癒やしになる
ような穏やかな人柄が形成され、誰からも慕
われるイメージです。
それが、多くの人とかかわりながら仕事を進
める必要があるビジネスパーソンにとって、
大きな力になります。
これは、マインドフルネスによって「受容性」
を意味する「アクセプタンス(Acceptance)」と
いう力が伸びたことを示しています。
すると、また別のメリットも生まれます。
多様性の時代といわれるいま、自分が持って
いない多様な価値観を受け入れることが求め
られます。
そんな時代にあって、アクセプタンスの力を
持つ、心の容量が大きい人であれば、それこ
多種多様な価値観をあるがままに受け入れ
ことができますよね。
そして、それらを自分なりに咀嚼して新しい
価値を生むことだってできるかもしれない。
そんな人が、これからの時代に重宝されない
わけがありません。
また、マインドフルネスによって「人の気持
ちを察する力」を得ることもできます。
瞑想によって、呼吸をはじめとした自分の感
覚を細かく感じる練習を重ねることで、自分
に対する理解が深まっていきます。
そしてそれは、目の前にいる相手の心の在り
方を察する能力の向上にもつながります。
わたしたち人間は、自分の経験やものの見方
を通してしか他者を理解することができませ
ん。
たとえば、誰かが梅干しを食べて酸っぱそう
な顔をしているのを見ると、自分まで酸っぱ
く感じて唾液が出てくるものですが、もし自
分がこれまで一度も梅干しを食べたことがな
ければ、相手の感じている酸っぱさに共感す
ることはできません。
そう考えれば、自己洞察を深めることが他者
理解につながるという関係性を理解しやすい
のではないでしょうか。
こうした「気づき」の能力を海外では「アウ
ェアネス(Awareness)」と表現し、マインドフ
ルネスで育まれる能力のひとつに位置づけら
れています。この力があれば、「いま、この
人はこういうことを必要としているんだろう
な」「こういうことをしてあげればよろこぶ
だろう」ということがわかるのですから、営
業マン、カウンセラー、ホテルマンといった
多くの人とかかわる職種の人にとっては、
重要な力のひとつになるでしょう。

■精神科医兼禅僧がおすすめする「超簡単瞑想」

ここまでの話で瞑想に興味を持った人もいる
かもしれませんので、最後にわたしがおすす
めする瞑想法を紹介したいと思います。
一般的には、自分の呼吸に注意を向ける「呼
吸瞑想」というものが紹介されることが多い
のですが、これが初心者にはなかなか難しい。
そこで、はじめての人にもすぐに実践できる
ものとして、わたしが「散歩瞑想」と呼んで
いるものを推奨します。
これは、文字どおりただ散歩をするだけとい
うものです。
「なんだ、ただの散歩か」とか、なかには
「散歩ならやっているよ」という人もいるか
もしれません。
でも、「ただの散歩」をしている人は実はな
かなかいないもの。
自分の感覚に向けるべき注意力を奪ってしま
う音刺激(イヤホンから流れる音楽、友だちと
のおしゃべりなど)、あるいは健康のために
「1万歩歩こう」「1時間歩こう」といった目
的が存在する状態で歩いているケースがほと
んどではありませんか?
そうではなく、「ただの散歩」をしてほしい
のです。
緊急時のためにスマホは持っているとしても、
電話の着信以外の通知は切っておきましょう。
そして、ただブラブラ歩く。
公園に差し掛かったらベンチで休憩をして鳥
の鳴き声に耳を傾けてもいいし、綺麗な花を
見つけたらじっくり眺めてもいいし、気にな
るカフェがあったら立ち寄ってもいい。
そんなふうに、思いつくまま自分の感覚に従
うことがマインドフルネスの第一歩です。
繰り返しになりますが、「こんな力がほしい
!」というふうに、なんらかの目的を持つこと
はマインドフルネスの本来のかたちではあり
ません。
瞑想を生活に取り入れる動機づけとしてはよ
いと思いますが、いざ瞑想をやりはじめたら
、あくまでも心を無にして続けていくことが
大切です。
そして日々の継続によってこそ、自分の人生
にとって役に立つ力が結果として伸ばせると
いうことを忘れないようにしていただきたい
と思います。

川野泰周 (かわのたいしゅう)
1980年生まれ、神奈川県出身。精神科・心療
内科医。臨済宗建長寺派林香寺住職。

「多種多様な価値観」、大事ですね?

今までは、効率を考え目的意識を持って
動きがちでしたが、頭の中を空っぽにして
たまには【ただの散歩】をしたいと
思います♪

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