荒野と不在 2020
どこかで見たことのある風景を
追いかけてきた
ずっと ずっと
どこかに
ある
空白
の
涙
の
風景
セイタカアワダチ草が
芥子色(からしいろ)に
草原を染め
風がおだやかに吹く
雲の果てまで
つづく
後ろには何もない
荒野
と
不在以外
歌のない
さび付いた ナイフが転がっている
十字架が 丘のうえに
薔薇のねむりが
どこからか
帽子
は
もうない
作り話が得意な老婆
振り返ると
どこか
遠く
見えたよ
ほら
ささやいて
少女の
ひとみのなかに
帰っていく
もう
やめよう
誰かを傷つける
こ
と
は
もう
やめにしよう
☆知らぬ間に人を傷つけてしまったことがあります。恥ずかしいことです。
2022年に詩集を発行いたしました。サポートいただいた方には贈呈します