詩)ふぇいく(いいね)を語る
あの人は誰かに復讐しようとしている ボクと同じ世界に生きながら別々の世界を生きている ボクは今日も間違いなくぼうっと吊り革にぶらざるひとり そうしながら あの人が何に復讐しようとしているのか考える あの人の眼を想像する 例えばボクがロシアにいて ぼうっと何かにつかまり 戦争のニュースをスマホを見ていたら ボクの脳のなかはどうなる?隣も隣もみんなスマホを見ているツイッターを見ている 動画サイトを見ている あの人の眼はなんだか笑っているのに嘘っぽくて 乾燥した砂の中でなんだか言葉だけが舞っている 例えるならヨーダのよう 隣も隣もみんな同じ おいおい これってボクのほうがフェイクの世界に生きてるのか? 今あなたの目の前にあることは全部嘘でした!なんてないよね
「ブスがセクハラされただけでありがたきこと」「気持ちはわかるがその程度のことも切り抜けられないで自衛隊なんか勤まるかよってんだ 周りは試してるんだよ」「ヌクヌク生きたいなら自衛隊なんか入るんじゃねえ」「性同一性障害っぽいし。なんかちょっとおかしな背景もってそうな女」
こんなツイートにも みんな憂さ晴らしのように「いいね」しているんだ それが数になって 気軽に何かを追い詰めることになる 時には人を殺す言葉になる いいねで終わるわけじゃない 全部嘘でしたで終わらない言葉
いいね それが始まりになる
言葉だけじゃなくなる
あの人のことはなんでもいいね
あの人の眼は笑っていない
ひとが生きることなど その眼中にはない
おもいやりなんてかけらもない
そういう世界さ
2022年に詩集を発行いたしました。サポートいただいた方には贈呈します