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It's my vagina.という自己受容

「恥ずかしくなんかない。この膣この身体この顔、この人柄、LでもGでもBでもTでもQでも、whatever、what-color-ever、わたしはこのありのままのわたし。ちっとも恥ずかしくなんかない。」

という力強いメッセージ。胸を摑まれた。こんなに愛しいドラマだなんて。愛しくてやさしくて切なくて胸が締め付けられる。生徒たちが次々と(男の子も!)”It's my vagina.”と立ち上がるs1e5のラストシーンには思わず嗚咽した。

確かにティーンドラマではあるけど、大人になったわたしたちでさえ、いまだに問題を抱えている”who I am”にまつわるドラマ。そして、sisterhood,friendship,お互いを受容すること、弱さをさらけ出すこと・・そういう、relationshipの美しさに目を向けさせてくれるドラマだ。

こうして、ティーンのころを思い起こしながらこのドラマを観ていて思うのは、「わたし、ちっとも進化してないなあ」ということ。

このドラマに登場するティーンたちはみんな、”who I am”に問題を抱えていて、”sex”が正しいかどうか、できるかどうかが不安で溜まらない。他人にどう思われるか、誰に愛されるか、誰かに必要とされるか、自分のsocial positionがどうあるか・・そんなことが気がかりで仕方ない。

確かに、33ともなれば、セックスのことなんて、もうなんでもないし、自分のsocial positionや、自分の見え方だって、適度にコントロールできる。セルフイメージと他者の認識を上手に合わせることだってできる。

けれど、それはただ社会のなかで「役割」を手に入れて、「振舞い方」を覚えただけであって、わたしは未だに、自分も相手も受容して溶け合うような深い関係を持てずにいる。

このドラマのティーンたちのほうが、よっぽどopen mindedで、イノセントで、自分に素直だ。

大人になって手に入れたのは、「外面なんていくらでも操縦できる」という処世術だけで、本当の意味で自分のありのままを受け止める、っていうプロセスは、遠くに置き忘れてきたままなのかも。

s1e5はvaginaの写真が流出する、という事件を通して、『こんなわたしを知られたら恥ずかしくて死んじゃう!』というティーンたちの心理が描かれるわけだが・・どうだろう。わたしは、いま、この歳で「これがわたしのvaginaです」って堂々と立っていられるのだろうか。

自分の容姿にも、ボーイッシュな立ち居振る舞いにも、勝気な性格にも、モテ要素がなさすぎて、いつも置かれる「女子」という立場に困惑してきた。「女の子は可愛いもの」「モテる女の子がいいもの」という暗黙の集団心理を内面化して、いつも「わたしはそうじゃない」って自分を、否定してきた。女性性なんて、自分には縁遠いものと思ってきた。

そのわたしがいま、33で、それなりに、雑誌の言うとおりの格好をして、お金をかけて身ぎれいにして、周りの若い男の子たちが「美人」とほめてくれるようになったからって、それであの時のわたしが抱えた複雑なわたし像が、消化されたわけじゃない。

結局、外見コンプレックスが解消されたらされたで、どいつもこいつも「顔が好きか、身体が好きか、セックスがいいか」で近づいてくる、って失望を抱えているわけで。

この間、「貧乳って生きやすいんだな」と思ったのもそれ。貧乳のわたしは、胸の大きい女性にいつも、言葉にできない複雑な感情を抱いてきた。当然、概ねそれは「羨ましい」という感情だった。だけど、最近愕然としたのだ。胸の大きい女の子は、好きになりかけた男に「おまえもただのオッパイ好きか」って失望する、という経験をたくさんするんだろうな、と。わたしは貧乳だから、それで傷つくことはない。そう思うと・・・容姿って複雑だ。

男って。というまとめ議論をする気はないけれど。前にこのポストでも書いたように、男性は女性に純粋に興味を持って対峙する、っていうことがあまり得意じゃないよね。

このドラマでも、オーティスがジャクソンに「彼女はモノじゃないんだ。彼女のことをどれくらい知ってる?何が好きかとか、何が嫌いかとか。もっとそれを知るんだ」とアドバイスするけれど、そこなんだよなあ。

誰も彼も、別にわたしがどういう人物かには、興味がないじゃないか。っていう、淡いようで深い失望感を抱えて、適当にセックスしているよ。

なんて言いながら。オーティスがメイブに言う、「打ち解けなければ理解されない」っていう言葉が刺さる。結局わたしは、打ち解けてないんだよな。わたしはnoteでしか打ち解けて自分の話をしないんだよな。

はー。relationship problem。オーティスのママにセラピーしてもらいたいもんだ。超、おすすめ。


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