7インチ盤専門店雑記526「Supertrampのアナログ盤は」
スーパートランプは誰でも好きかと思い込んでおりましたが、そうでもない方もいらっしゃるようなので、もう一本書いてみますかね。独特の立ち位置でしょうし、何はともあれ、アナログ盤で聴きたいアーティストです。例えば「School」の冒頭、ハーモニカのソロがうすら寒い響きを聴かせますが、空間的な広がりは圧倒的にアナログ盤の方が勝っています。CDやYouTubeで聴くと、音が小さいだけで、曲の魅力を半減させています。
ただヒット作は玉数豊富なので手に入りますが、初期の売れ出す前の盤などは、ウルトラ・レアです。自分は1980年の「Paris」というライヴ盤がリリースされた時に、「これは掘り下げるべき」という格付けになり、かなり頑張って集めました。随分時間がかかったように記憶しております。1970年の1st「Supertramp」は10年近く探し続けてようやく見つけましたが、もう人気も下火の頃で、格安だったと記憶しております。
2nd「Indelibly Stamped」(1971)の全然セクシーではない胸が言葉にならない違和感やある種の不気味さを湛えていて、プログレッシブだなと思いましたね。国内盤なのですが、出ていたんですね…。
3rd「Crime Of The Century」(1974)は個人的に大名盤です。「School」やら「Dreamer」といったシングル向けの曲もありまして、ここからグッと認知度も上がりました。アメリカで売れたことが不思議です。
4th「Crisis? What Crisis?」(1975)、原発への警鐘を絵にしたジャケットが少々臭くもありますが、歌詞をチェックしたくなりますね。ベーシック・トラックをLAで録音したようで、アメリカ市場を意識した音になってきます。ここからのシングル・カットは「Lady」と「Ain't Nobody But Me」、まだアメリカ市場向けとは言えません。
5th「Even In The Quietest Moments…」(1977)、ここからは「Give A Little Bit」が英米でヒットします。イントロの12弦ギターの音が魅力的でした。この曲は好きでしたね。ただ最近お客様からの情報ではじめて知ったのですが、この曲の国内盤シングルは存在しないということです。
そして1979年の春に大名盤6th「Breakfast In America」がリリースされます。即買いでしたが、このジャケットはインパクト大でした。現物を手にしてもレジに持っていくのが躊躇われるほど、言葉にならない気恥ずかしさを覚えました。ロック的ではないデザインですね。一方で「これは売れるな」という確信もありました。
翌年ライヴ盤「Paris」がリリースされます。これが大好きで聴きまくりでした。演奏クオリティが高く、あまりアレンジをいじらない人たちなので、ベスト盤的に聴ける盤でした。ここからは「Dreamer」他3曲もシングル・カットしますが、まあ「Frampton Comes Alive」の再来を目指していたんでしょうね。
1980年代はそこそこヒットしますが、70年代ほどの爆発力はなく、ロジャー・ホジソンが脱退したり、イマイチになってしまいますが、まあそれでも魅力的なバンドでした。
私個人は大ヒット前が気になりまして、76年頃のライヴ・ブートまで買ったりして掘り下げておりました。70s英国の録音クオリティも含め、アナログ盤で聴きたいアーティストの代表的存在ではあります。
そして、今月のトークイベントは「産業ロックの魅力2 イギリス編」です。フォリナー、ELO、ジョン・ウェットン周辺などとともにスーパートランプもかける予定です。時間がたっぷりあるならいいのですが、今回も選曲で悩ましい想いをしそうです。
まだテーブル1つ、空きがありますよ。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?