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7インチ盤専門店雑記582「マイケル・マーフィー 〜 ニッティ・グリッティ・ダート・バンド」

マイケル・マーフィー、最近は俳優さんと区別するためにマイケル・マーティン・マーフィーと表記するようになったカントリー系のシンガー・ソングライターがおります。ウェブでちょいと探し物をしていたら自分の文章が出てきまして、そこでマイケル・マーフィーとニッティ・グリッティ・ダート・バンドについて書いておりました。そこではマイケル・マーフィーのセカンド・アルバム「スーベニア」に収録されている「コズミック・カウボーイ」という曲のニッティ・グリッティによるカヴァーについて書いております。…ついでにカントリー系の音楽全般の変容についても書いておりました。

今回は5枚目のアルバム1976年リリースの「Swans Against The Sun」をお店で流していて、昔とは随分印象が違って聴こえるのでクレジットを眺めてみたら、ニッティ・グリッティの連中やジョン・デンバー、チャーリー・ダニエルズといった名前が出てきまして、「まてよ、これより前にやりとりがあったな」と思い出して調べたりしておりました。

彼に関しては、現在に至るまで膨大な作品群があるにも関わらず、いまだに「ワイルドファイヤー Wildfire」一択、大ヒット曲以外語られることが意外に少ないと思うわけです。1975年の「Blue Sky - Night Thunder」は確かに名盤ですし、大ヒットしました。でもその前からソングライターとしては評価されておりまして、それ故に上記のヒットを含むCBSソニー・イヤーズも実現するわけですよね。この時期は少しは商業的にもなっておりますが、結局生涯を見渡すに、もっと素朴なカウボーイ・ソングの世界の人なんです。でも同時にソングライターとしての才能を見てあげないと、チョット違うのでは…という気もしますね。

実は「スワンズ〜」が意外にもベースの音が大きくてボリュームを絞ることになったのですが、大ヒット・アルバムの次だけに、少しロックしておりますなと思ったわけです。昔自宅で使っていたニアフィールド系のオーディオセットと、現在のお店で鳴らすJBL S-143から思い切り出している場合とでは、印象が異なる盤は多いんです。当然のことですが、低音の迫力が全然違いますから、印象が違わないのはキャロル・キングやサイモン&ガーファンクルといった、ヴォーカルをメインに聴くような音楽でしょうか。マイケル・マーフィーはその同類と思いがちというか、印象が違わないだろうと思い込んでいたんです。ところがそうでもないんですね。

ニッティ・グリッティ・ダート・バンドは1969年〜1973年までの人気盤をリリースした時期、レス・トンプソンというベーシストが在籍しておりまして、他の時期と違ってロックしておりました。これに関しては異論もあるでしょうが、私個人的にはお店のスピーカーで鳴らして、認識を新たにしたわけで、昔とは思い切り印象が違ってしまった代表的なものなのです。要はお仲間なのかなということが言いたいんですけどね。

この辺の人たちは、アメリカーナ的な音楽全般でクレジットを見つけることがありますが、ロック寄りのカントリー・ロックもできれば、バンジョーやフィドルが重要な音決め要素になるプリミティブなカウボーイ・ソングもできるわけで、先入観を持たずに聴いた方が楽しめる気がします。実は2010年代以降もロックしておりますけどね。

まあ「Swans Against The Sun」、曲調はカウボーイ・ソング的なのに、意外にカントリー・ロック的な音も楽しめますぜ、といったところでした。


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