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しょうがのむしの、生姜

私たちの生姜は、さいたま市に大きく横たわる見沼田んぼで育てられます。
元気いっぱいの若手農家の手によって、無農薬か、低農薬で育てられています。

生姜は、人間の身体を不思議なくらい温めてくれますよね。
人間の身体は、体温が上昇すると、免疫力や代謝が向上します。
身体を元気にしてくれる。
だから生姜には虫にも病気にも強い農作物というイメージが有りました。
けど、実際はその真逆でした。生姜自体は、畑の中ではとっても弱いのです。
虫に食べられた芽は、もう伸びません。病気にもかかりやすくて、しかもそれが畑中に一気に広がったりします。生姜の農家さんはみんなこう言います。「生姜は博打と同じだからねぇ」と。とても弱いので、病気から守るために、植付け前に畑の土壌消毒を行います。そうすると、半年たって収穫するとき、もう無農薬とは言えません。正直、収穫するときには農薬は残留していないんですけどね。だから、私たちの生姜は、無農薬で育てているものも有りますが、低農薬で育てているものもあります。
どちらも変わらず、身体に優しく、最高に上質な生姜です。

私たちが使っている生姜の種類はいくつか有りますが、主に育てているのは、すごく珍しい生姜です。どのくらい珍しいかというと・・・
宮崎県の三股町というところに中村さんという生姜専門の農家のおじさんがいます。
この人が明日「もう、やーめた!」と言ったら、この生姜はなくなります。
それだけ珍しい生姜を、分けてもらって育てています。中村さんが万が一「もう、やーめた!」と言っても、この素晴らしい生姜をなんとか見沼だけでも残したいですね。
珍しすぎて、この生姜には品種名もついていません。名無しの生姜です。

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この生姜をわざわざ使うのには、理由が有ります。
それはその「味わい」と「強さ」です。
味わいについて。生姜という食べ物は、かじるとジワジワと口の中が辛くなっていきますが、この生姜は特別で、口に入れた瞬間に、パッ!と花火が舞うような、激しい辛味と爽やかな香りが広がります。その後、穏やかで甘味を感じるような印象に変わり、さっとキレます。えぐみはありません。私たちが生姜に求めているところだけ切り抜いたような、素晴らしい生姜です。
強さについて。この生姜は、日本で最も生姜が有名な高知県で、最も多く栽培されている「土佐一」という品種の親になった生姜だそうです。中村さんが、「ある日、宮崎県庁から電話がありましてね、とても珍しい生姜だから絶やしちゃいけませんよ、と。そういうわけだから毎年畑一枚分は植えているんですよ。」と言っていました。これまで、一切改良などされずに栽培されてきた生姜なので、どうやら病気に少し強いそうです。中村さんは、近所の方に「生姜を植えてみたい」と相談されたときは、素人には土佐一は無理だから、と言ってこの生姜の種をプレゼントするそうです。
私たちが見沼田んぼで育てる際、生姜の多くは元休耕地に植え付けますし、農薬を使わない、または最低限に抑えた圃場では、やはり病気の蔓延が恐いので、この生姜を採用しています。
今や休耕地だらけになってしまった見沼田んぼに、この生姜をたくさん植えて、風が吹くたびに生姜の葉の爽やかな香りを楽しんでもらえるようになったら素敵だな、と思っています。

ところで、実は見沼田んぼは江戸時代から生姜の名産地でした。
ここで主に作られていたのは「葉生姜」または「谷中生姜」と呼ばれ、春に植えて夏になったら小さいうちに収穫し、味噌などを付けて頂くもので、品種自体も薬味などに使われる一般的な「大生姜」と違い、「小生姜」に分類されています。
ピリッと辛くて爽やかな味わいと、胃腸を整え夏バテも解消してくれる葉生姜は、夏には欠かすことのできない庶民の味方でした。
収穫された葉生姜は、見沼通船堀を通して江戸に出荷されていたそうですが、夏にしか出回らないこともあり、江戸では一番人気のお中元だったそうな。
そんな見沼でつくられた生姜が、今度は発酵ジンジャーエールに姿を変えて、東京で一番人気のお中元になる…なんて、なかなか夢のある話じゃありませんか。



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