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ICONIC / アイコニック

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アイコニックシリーズをまとめました。
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2023年2月の記事一覧

ICONIC / アイコニック 番外編

ICONIC / アイコニック 番外編

 2060年初頭、それまで「非人道的」だと言われ続けてきたクローン人間の制作が打って変わって推奨されるようになっていきました。そして2085年現在、クローンの制作をする大企業が次々現れ、全人口の3割ほどをクローン人間が占める状態にあります。これはこれからクローン人間を購入しようと検討中のアナタ、今現在のクローン人間市場を詳しく知りたいと思っているアナタのための特集です。是非、ご参考に。

ーヴァー

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ICONIC / アイコニック ①

ICONIC / アイコニック ①

「遺伝子組み換えによるクローン人間の人口増加」
「才能を持って生まれる科学の子•クローン人間」
「遺伝子組み換えの未来/彼らは人類なのか?」

 今から数十年前、それまでは「非人道的だ」と叫ばれていた遺伝子組み換えによる人間のクローン制作が打って変わって「人類の未来」として奨励されるようになった。日本はもちろん、世界各国の研究所が優れたクローンの制作を開始し、クローンの制作を主とする企業も現れた。

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ICONIC / アイコニック ②

ICONIC / アイコニック ②

  私立帝明高校、冬月の通う高校だ。総生徒数4502人、内クローン人間が2003人。府内有数のマンモス校で、数々の有名難関大学への進学率が非常に高い。が、実績は輝かしくとも校内の様子はまるで地獄である。クローン生徒と純身生徒の対立、それによるイジメ、喧嘩は日常茶飯事。教職員は見て見ぬふり、自殺者も少なくない。しかし表面上は優秀な生徒の通う非常に綺麗で清潔な高校だ。入学したばかりの新入生が落胆するの

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ICONIC / アイコニック ③

ICONIC / アイコニック ③

 一限目の授業が始まった。国語だ。クローン相手に授業をするのが億劫なのか、それとも自らが軽蔑した目で見られていることに気が付いているのか、担当の教員は投げやりな態度で授業を進めていく。生徒に順番に音読をさせ、必要最低限の知識、文法を説明する。しかし不思議なことに、こんな授業でも50分を十分使うのだ。それも、チャイムが鳴ると同時に終わるようになっている。こんな感じなので最初のうちは彼もクローンかと疑

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ICONIC / アイコニック ④

ICONIC / アイコニック ④

 騒がしいカフェテリアの中に入った俺たちは、人混みをかき分けながら注文の受付口へ向かった。
「おばちゃーん!」
先に進んでいた武村が叫んだ。受付カウンター付近の三メートルは人が多くどう足掻いてもそれ以上近づけないため、ここから叫んで注文するのがいつものことだった。問題は、注文が受付の人に聞こえるかという点だ。
「はーい!」
どうやら武村の声は聞こえたらしい。
「カレープレートひとつ!あと和食セット

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