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ウミネコだヨ! 全員集合!!

 昔、テレビのブラウン管のなか、タスキをかけ鉢巻をしてカメラを指差しながら元気よく「行ってみよぉ〜っ!」というおじさんがいた。

 ある年齢層になると「そういえばあれは5人組だった」とか「黄色のツナギと赤のツナギの兄弟が引戸の玄関で立ち話してたらシビれるよな、あんちゃん」とか「東村山は武蔵村山と違っていたのか? ワーォ!」とか「チョットだけって、何がチョットだけなのか」とか「This is a pen. と言っていた人はどこへ行ったかって、なんだバカヤロー」などと、ウクレレをビバノン爪弾きながら雲の上で思い出す人もあるだろう。土曜の夜8時、わくわくしながらそこに繰り広げられる世界を待っていた。この文章には火曜も混じっているのだが、勝手にしやがれ、と沢田研二なら言うかもしれぬ。

 わたしは独りそんなことを考え、いつもながら焦点の合わない顔で本屋へ這入った。気分よくこんな歌を歌いながら。

えんやー こらやっと
どっこいじゃんじゃん こーらや

 これを読んだ人は「一体全体なにが始まるのか」と訝しがるかもしれない。

 先日わたしはジュンク堂書店池袋本店へ行ったのである。そこにはリトルプレスのコーナーがあって、われらが編集長の手掛けた、aiさんの写真が目を惹く、あの小雑誌があったのだ。
 陳列された様子を見るぞ、というわくわくした気持ちを表現しようとすると、冒頭のようになったのだ。仕方のないことである。

 ぼんラジ編集長おめでとう、と棚の前でつぶやいた。

 かつて土曜の夜8時、舞台を見る客席に自分がいなくたって、テレビの前に居ればそれは全員集合であった。

 であれば11月20日だって、会場に来れずとも「今頃は文フリだな」と空を眺め思っていれば、同じ時間にお茶やコーヒーを飲んで心に掛ければ、それでよいのである。なぜならば、わたしたちは同じ空の下にいるからである。

 つまり、11月20日は全員集合するのである。ほら、パラダイスとか!


文フリでは、
つるる書店も開店するヨ!
行ってみよぉ〜っ!


お時間ある方は、配信でウミネコの予習をしてみてね!