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  • Battle of Kasumigaseki

    国家公務員総合職試験の官庁訪問のお話です。 実在の人物・団体等とは一切関係ない100%フィクションです。

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バトル・オブ・カスミガセキ #最終日

7月5日 第5クール/官庁訪問最終日 東京で迎える最後の朝、予定より1時間早く目が覚めた。 いつもは時間がなくて慌ただしく朝の支度をしていたが、今日はせっかくなのでシャワーを浴びてから行くことにした。 ぬるま湯で頭を流しながら、霞ヶ関の日々を振り返る。 初日からいきなり切られたA省、なかなか露骨なことをしてきたB省、ここでの”現実”を実感させられたC省・・・そして今日この地獄を締めくくるX庁。我ながらよく第5クールまで残ったものだ、十分誇ってもいいだろう。 ・・・? なぜ

    • バトル・オブ・カスミガセキ #13日目

      7月4日 第4クール 今日は第4クールだ。前も述べたように、第4クールと第5クールは1日ずつしかないので、いずれもひとつしか訪問することが出来ない。 第5クールは"内定を出す日"なので、今日を突破した時点で"内定確定"となる。といっても、正確には内々定だが。 「おはようめりあちゃん。今日もがんばってねぇ。」 「そっちはまだ出ないの?」 「僕は昼からだからねぇ、もう少し寝させてもらうよ!」 「(余裕だなこいつは・・・・)」 今日もジャケットは着ず、"就活ヘア"も無しだ。

      • バトル・オブ・カスミガセキ #11,12日目

        7月2日,3日 接触禁止期間 僕は東 大生、東京大学法学部の4年生だ。 先月20日に国家公務員総合職試験に合格したので、現在キャリア官僚になるべく官庁訪問をしている。 といっても今日明日は土日(接触禁止期間)な上、僕が訪問している省は第4クールまで残れば内定が約束されたようなものなので、何もやることがない。 宿舎で同室のめりあちゃんは第4クールでの選別に備えるべく朝から自習室に籠って準備をしている。なんともご苦労なことだ。 めりあちゃんは中学受験をせず高校も地元の公立、大学

        • バトル・オブ・カスミガセキ #8,9,10日目

          6月29日 第2クール3日目 ダイキくんから紹介されたX庁に確認してみたところ、「第3クール2日目に来い」とのことだった。おそらく第1クールからX庁を訪問していた者を除く"敗者復活戦"はその日にまとめて行うのだろう。 そういうわけで、今日と明日の2日間は暇.....もとい、準備に時間を充てることができるようになった。 X庁のエントリーシートは明日書くとして、今日はゆっくりすることにしよう。 お昼を食べて、スカイツリーを見て、スイーツを食べて、夜には少しいいものを食べた。 ど

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        • Battle of Kasumigaseki
          11本

        記事

          バトル・オブ・カスミガセキ #7日目

          6月28日 第2クール2日目 今日は第2クールの2日目だ。ここでB省に拾ってもらえなかった場合、私は”全滅”になる・・・つまり、今日でキャリア官僚になるかニート予備軍になるかが決まるというわけだ。 霞ヶ関に向かう足が重い。 合格発表後、ウキウキしながら東京に来たあのときの自分をボコボコにしてやりたい気分だ。 受付を済ませたあと、指定された場所に向かう。私は”2軍部屋”からのスタートだ。ドアを開けると、第1クールで同じく2軍だった大学院生の中瀬さんが先に来ていた。 「おは

          バトル・オブ・カスミガセキ #7日目

          バトル・オブ・カスミガセキ #4,5,6日目

          6月25日 接触禁止期間 官庁訪問において、土日は接触禁止期間であるため、官庁は志望者に対して電話やメールをはじめ如何なるコンタクトも”基本的”にはとってはならない決まりになっている。 そうはいっても土日だけは官庁訪問のことを考えなくて済む!というわけにはいかず、次のクールに向けての準備などに費やさなければならない。と、思っていたのだが・・・ 「じゃあ最初は雷門でもいこうか!どうせ行ったことないでしょ?」 「殺すぞ」 なぜか東京観光をしている。 半ば無理矢理連れ出された

          バトル・オブ・カスミガセキ #4,5,6日目

          バトル・オブ・カスミガセキ #3日目

          6月24日 第1クール3日目 3日目にまわるのはC省だ。3日目ということで採用してもらえる見込みは低いが、やれるだけのことはやってみようと思う。 本省で受付を済ませ、指定された部屋に向かうと、25人ほどが待合室で待機していた。省の規模にもよるものの第1クールにしては少ない人数だが、3日目はそもそもどの省にも訪問せず休憩とする者もいるのでこんなものなのだろうか。 空いている席に座りC省のパンフレットを眺めていると、仲よさげな二人組が同じテーブルにやってきた。 「おはよう

          バトル・オブ・カスミガセキ #3日目

          バトル・オブ・カスミガセキ #2日目

          6月23日 官庁訪問第1クール2日目 2日目の朝だ。シャワーブースのドライヤーで寝癖を直しつつ、頭の中で今日の流れをイメージする。 今日は切られないようにしないと後がない。というのも、3日目に訪問して採用してくれる官庁は少ないからだ。スーツに着替え、昨日の反省点を洗いながら地下鉄に向かった。 「受付票と・・・こちらが身分証ですね。拝見いたしました、お入りください。」 受付を済ませ、B省の待合室に向かう。扉を開けると、A省と同じぐらいの人数が部屋に詰め込まれていた。 「

          バトル・オブ・カスミガセキ #2日目

          バトル・オブ・カスミガセキ #1日目

          6月22日 第1クール1日目 「おはようめりあちゃん!」  予めこの時間に起きよう、と2人で決めていた時間よりも早く起こされた。不機嫌に挨拶を返し、朝の支度をする。  「初日はどこまわるんだっけ?」  「私はA省にいくよ。一番興味があってさぁ・・・ダイキくんはどこ?」  「僕はD省かなぁ~。説明会も15回は行ったし。」  「15回!?」  知らなかった。官庁訪問ではそれぐらいの数説明会に参加することなど”前提条件”だったのである。  「じゃあお先に!カギしめといてねぇ」

          バトル・オブ・カスミガセキ #1日目

          バトル・オブ・カスミガセキ #0日目

          6月21日 官庁訪問前日  「じゃあ、いってきます。部屋だけは勝手に掃除せんといてな。」  そう両親に告げて家を出る。私は今日から最大2週間東京に”幽閉”されるのだ。そんなに長く家に帰らなかったことはなかったから、少し寂しいような気がした。  新幹線に乗り込むと同時に、最初に訪問する予定の3省のパンフレットを広げる。官庁訪問は準備が命だ。  ここで、総合職の官庁訪問についてざっくりと説明する。  官庁訪問は”クール制”をとっており、全て合わせて第5クールまで存在する。その

          バトル・オブ・カスミガセキ #0日目

          バトル・オブ・カスミガセキ #-1日目

          (あらすじ) 国家公務員採用総合職試験に最終合格した地方大学生の"私"は、「官庁訪問」を突破し官僚として登用されるべく東京・霞が関に向かう。 全国から集まった合格者たちが、互いに蹴落としあう2週間が始まる。 6月20日 最終合格発表  今日、パソコンに向き合う私の指は震えていた。あと1分たらず、16時ちょうどに国家公務員総合職試験の最終合格者が発表されるからだ。  国家公務員総合職試験────かつては”上級職””国Ⅰ”と呼ばれた、キャリア官僚を登用するために実施される試験

          バトル・オブ・カスミガセキ #-1日目

          コラム① 教養区分について

           皆さんは国家公務員総合職試験に”教養区分”という区分があるのをご存じでしょうか。  教養区分とは、国家公務員総合職試験のうち秋に実施される区分で、大学3回生から受験することができる上、春区分(法律や政治国際、経済など)と併願することができます。  倍率は1次試験が10倍ほどで2次試験が2倍ほどなので最終合格には20倍を突破する必要がありますが、もしあなたが官僚を本気で目指しているのであればぜひ受験することをおすすめします。   詳細はこちらをご覧ください。  簡単に試

          コラム① 教養区分について

          予備校に通う金がないお前へ①

          独学で戦える?  公務員試験を受験するとなると①予備校に通う②大学等が提供している講座を受講する③独学で頑張る の3つが選択肢になってくると思います。  中でも、公務員を専願で目指すのであれば①か②を選択する人が多いのではないでしょうか。公務員試験は科目数がバカ多い上に情報収集もかなり大事になってきますから、これらを解決してくれる予備校等に通うというルートはとても魅力的に思えます。そう、高額な費用を除けば────  そういうわけで、予備校に通うお金がない(親に借りるという選

          予備校に通う金がないお前へ①

          併願だ?テメェこの野郎!

          おすすめしません 就職活動には2種類あると思っていて、それは ①新卒で民間企業への就職を目指すルート(いわゆる”就活”)と、 ②公務員試験を受験するルートです。 どちらか一方を選ばなければならないという決まりはありません。 実際、私は両方で結果を出すためにそれぞれ並行して行いました。 まぁ結局どっちも微妙な感じになってしまったのですが、ここから自らの経験も踏まえてなぜ”併願”をおすすめしないのかお話ししていきます。 なぜ併願はおすすめできないのか? 1つ目の理由として

          併願だ?テメェこの野郎!