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詩の辺り

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2023年12月の記事一覧

大晦日の星空と干し柿と

大晦日の星空と干し柿と

映画館の帰り道 
お兄ちゃんが
八百屋さんで
干し柿を買ってくれた

粉雪がかかったような
干し柿は甘く噛みごたえがあり
空いたおなかがほんの少し満たされる

冬の夜空の星くずたちを数えながら
干し柿を食べる帰り道
お兄ちゃんが、不意に言った
「今度は喫茶店で昆布茶を飲もう」

昆布茶?
と目を丸くする私に
「おまえは無理するな、
オレンジジュースでいいよ」
と、兄は笑った

ふたりの白い息は

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モノクロの瞳/藤井風さん花のオマージュ

モノクロの瞳/藤井風さん花のオマージュ

ねえ、
ボクが死んだら
キミ、笑ってよ
今日というこの、
おめでたい日にさ

何を生きて
何を夢みて
誰を愛した?

モノクロ写真のキミは
耳に光るピアスをして
ふふっと笑い、
あの日のキミの
耳たぶは
オレンジの光りに透けて
とてもキレイだったよね

黒い車にキミを
乗せて走るよ
後ろの荷台に
溢れるような花束で
キミを抱きしめて
遠い砂漠まで

たったひとつの
キミは光りで
ボクは影だった

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