渡良瀬 遥

生きた証に何かを残してゆきたいと思って、NOTEに参加しています。時代遅れの物語ばかり…

渡良瀬 遥

生きた証に何かを残してゆきたいと思って、NOTEに参加しています。時代遅れの物語ばかりであまりおもしろくはないかもしれませんね。自己満足? それでもいいかなって、歳を考えれば。

マガジン

  • 嵯峨野小倉山荘色紙和歌異聞シリーズ

    藤原定家の小倉百人一首の和歌を原作にして、自由気ままに読み下してシリーズ化したものです。前日譚から後日譚まで合計102話になる予定です。

  • 気ままな写真集

    街中にある面白い物達の写真を短い語りを加えて集めてゆきたいと思っています。

  • 渡良瀬 遥のSTORIES MUST GO  ON

    投稿した物語を集めています。息苦しい世の中ですが、このマガジンの中だけは温かい優しい人々の幸せな世界を描いてゆきたいと思っています。ご興味のある方はよろしくどうぞ。

最近の記事

《嵐に古木は花盛り》嵯峨野小倉山荘色紙和歌異聞~九十六の歌~

《嵐に古木は花盛り》原作:入道前太政大臣 「あかんなぁ~。歳やな、……全く立たんし」 「中折れもするわな」 「女の子に誘われてもビビッてまうわ、このごろ」 「ほんま情けない。……けど、あの櫻、爺さんのくせにえらく花いっぱいに咲かしとるやんか。はは~ん、分かった、クスリやな。……お~い、爺さん、わしらにもクスリ分けてんか!」 <承前九十五の歌> 屹立の男根に覆いかぶさる式子の臀部がゆっくりと定家の顔の上に重なってきた。 定家の眼の先すぐに式子の白桃色の尻が置かれ、暗い谷間をみ

    • 《浪花のオヤジの心中は》嵯峨野小倉山荘色紙和歌異聞~九十五の歌~

      《浪花のオヤジの心中は》原作:前大僧正慈円 地震、津波、大雨。 世の中は悲しい事ばかりや。 鶴橋のガード下で飲んでるワシには何もでけへんけど 気持ちだけは困っている人や悲しんでる人、 そんなみんなをかぼうてるつもり。 あんじょう生きや。 <承前九十四の歌> 握り締めた肉棒は硬く天に向かって反り返る。式子はうっとりとそれに見惚れると、舐めるように亀頭に口づけした。そして、口一杯に含み、深く喉元まで咥えて舌を絡ませた。柔らかな式子の舌の襞が鋼の幹に絡みつく。 「おォ、式子!」

      • 《風神雷神 Ⅲ》嵯峨野小倉山荘色紙和歌異聞~九十四の歌~

        《風神雷神 Ⅲ》原作:参議雅経 「俺らのロック、もう古いんやと」 「どないして?」 「この間の地獄フェスでな、俺らの出番は何時ですって聞いたら、『そんな予定あらへん。おたくらはカスバンドや。もう聞き飽きたし、ギャグも寒いし、ハヨ、去ね!』、そない言われた」 「まぁ、言いたい奴には言わせとき。……けど、そんなんやったら、ほんまにライブのやり納めになったかもな、深吉野の鬼ロックフェスが……」 「せやね……。あれ!? あの音、鬼婆バンドのKINUTAロックのサウンドやないか」 「そ

        • 《断絶》嵯峨野小倉山荘色紙和歌異聞~九十三の歌~

          《断絶》原作:鎌倉右大臣 「世の中に変わらんもんなんてあらへん」 おまえはタバコの煙をフーッと吐いて言う。 「オレの愛もか?」 「アンタの愛? 愛やて!?」 今度はあきれるほどの大声で笑いころげる。 夏の海。渚には漁師の小舟がもやい綱を手枕にうとうととたゆたっている。 気怠い午後に俺たちの愛は鈍く色褪せ衰えて、耐えきれないほど眠い。 <承前九十二の歌> 式子の白桃色をした臀部に定家は唇を移した。腰回りから深い谷間を形作る割れ目の端にいたる双丘を舌で吸い尽くす。式子の手が定家

        《嵐に古木は花盛り》嵯峨野小倉山荘色紙和歌異聞~九十六の歌~

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        • 嵯峨野小倉山荘色紙和歌異聞シリーズ
          97本
        • 気ままな写真集
          8本
        • 渡良瀬 遥のSTORIES MUST GO  ON
          10本

        記事

          《海の詩》嵯峨野小倉山荘色紙和歌異聞~九十二の歌~

          《海の詩》原作:二条院讃岐 海に眠る石の流した涙は 透んだ瞳をした潮となって 遠い砂浜に立つ貴方の足元を洗う。 もし、貴方がその水をきれいだと思うなら 私も濡れた袖をおし抱き、眠る石になりたい。 <承前九十一の歌> 定家の唇が式子の背を侵してゆく。その唇の赴くままに式子の背後に回り込むと定家は一気に舌を式子の背骨沿いに首元から桃尻の割れ目まで急降下させた。 「ひィ!」 式子の身体反り返った。途端に定家は突出した式子の乳房を鷲掴みにする。乳首が指の間から剥き出されてぷるりとし

          《海の詩》嵯峨野小倉山荘色紙和歌異聞~九十二の歌~

          《むかし、男ありけり》嵯峨野小倉山荘色紙和歌異聞~九十一の歌~

          《むかし、男ありけり》原作:後京極摂政前太政大臣 「ひとり寝はかなしいなぁ~」 縁の欠けた杯を置いて一人せんべい布団に横になる 「今はもう、おまえのイビキさえ恋しいわ」 瞼を閉じると裏庭で鳴くキリギリスが慰めてくれる。 泣いてもエエのやでって。 「……ほんなら、キリギリスはん、あんたにあまえて少し泣こうか、今夜は。」 <承前九十の歌> 押し上げられた腕の柔らかな肌に定家の唇と舌が触れる。唇が脇の下の窪みに式子の淡い汗の匂いを嗅ぎ、舌がそれを吸い取る。式子は深い吐息を漏らした

          《むかし、男ありけり》嵯峨野小倉山荘色紙和歌異聞~九十一の歌~

          《雄島の海女の恋衣》嵯峨野小倉山荘色紙和歌異聞~九十の歌~

          《雄島の海女の恋衣》原作:殷富門院大輔 「可愛い女や」って言うて。 人混みの中、うちを護って。 初めて着た振袖の裾が乱れないよう、 襟元がくずれないようにしてくれたら うちは嬉しくて泣いてしまう、きっと……。 <承前八十九の歌> 舌が式子の足の指を一つずつ舐り尽くす。見知らぬ快感が式子を揺らす。 たまらず式子は肢体を捩る。乳房が揺れた。定家は式子の左足の親指を嚙み、続けて、他の足指を舌で弄り続けた。 「あっ……」 定家は式子の甘い吐息を聞く。 定家は隠せぬ欲望に浸る中、歌を

          《雄島の海女の恋衣》嵯峨野小倉山荘色紙和歌異聞~九十の歌~

          《陽だまりにて》嵯峨野小倉山荘色紙和歌異聞~八十九の歌~

          《陽だまりにて》原作:式子内親王 「恋する娘は今も昔も同じやね」 母は式子内親王の御歌を並べながらつぶやく。 「玉の緒よ、絶えねば絶えね……」 うちはどうしたらいいの……? このままやと思わず「好き」って言ってしまいそう。 ――ね、どうするの? 眼で問いかける母はうちをこまらせる。 <承前八十八の歌> 定家の舌が式子の乳房を離れ、臍の周りを踊り歩き、柔らかな下腹部へと下る。右手の指を式子に咥えさせ、しゃぶらせる。左手が太腿の内側へと侵入していった。そして、風のようにそこいら

          《陽だまりにて》嵯峨野小倉山荘色紙和歌異聞~八十九の歌~

          《難波のネーちゃん》嵯峨野小倉山荘色紙和歌異聞~八十八の歌~

          《難波のネーちゃん》原作:皇嘉門院別当 難波のネーちゃん、イケイケ娘。 ミニのスカート、ナマ足、生唾、ゴックン、ゴックン。 一夜限りのカリカリ、鎌首、ドックン、ドックン。 乱痴気騒ぎにハーモニカ。 マイク片手に雌叫び絶叫! 身をつくしての恋の唄! <承前八十七の歌> 定家は式子の袿衣を開き、その豊かな肢体を見詰めた。双丘が張りつめて 天を突きあげ、桃色の乳首が乳輪の上に屹立していた。 定家はうなじに舌を這わせ、左手で式子の豊かな乳房を揉みしだいた。 「う、うう……」 呻く式

          《難波のネーちゃん》嵯峨野小倉山荘色紙和歌異聞~八十八の歌~

          《寂しさは》嵯峨野小倉山荘色紙和歌異聞~八十七の歌~

          《寂しさは》原作:寂蓮法師 牧に湧き立つ霧に白馬が溶けてゆく。 その姿は村雨が草地に残した露のように儚い。 一人、叢林を背にして立てば、寒く湿った心を惑わす秋、その夕暮れ。 <承前八十六の歌> ゆっくりと定家は組み敷いた式子の髪の生え際を右手でまさぐり、 濡れた唇を奪った。二人は互いの舌を絡め合い、唾液を交して、それを 飲み下した。 式子の息が上がる。頤がのびて、艶めかしい吐息が漏れた。定家は 唇を式子の白い耳裏に這わせ、赤く染まるほど強く吸い続けた。 そこは式子の性を弄る

          《寂しさは》嵯峨野小倉山荘色紙和歌異聞~八十七の歌~

          《嘆きの月》嵯峨野小倉山荘色紙和歌異聞~八十六の歌~

          《嘆きの月》原作:西行法師 男の人を好きになるんは愚かなことや。 涙がポロポロこぼれて、ウチは泣けるだけ泣いてる。 浮気な男を呪ったらって? それはでけへんの。 せやかて、お月様が「泣いて忘れたらよろし」って言ってはるもの。 <承前八十五の歌> 「お疲れではございませぬか、式子様」 「いいえ、楽しゅうござします。式子はかように楽しい一夜を過ごしたことはございませぬ」 定家は奥の部屋の几帳の影に式子を座らせた。 「定家は今より式子様を抱きまする」 「いちいちお断りを言われます

          《嘆きの月》嵯峨野小倉山荘色紙和歌異聞~八十六の歌~

          《物思う頃》嵯峨野小倉山荘色紙和歌異聞~八十五の歌~

          《物思う頃》原作:俊恵法師 夜、一人はあかんな。 酒飲んでも、本読んでも、テレビ見ても……夜が長いがな。終わらん。 けど、オマエと二人やと、それこそ、あっという間や。 閨に横になったと思うと、もう、朝や。 そんな時を思い出して今も待ってるんやで。 あぁぁ……栄養ドリンク欲しい! にんにくの入った蝮エキス、ヤモリの黒焼き欲しい! <承前八十四の歌> 式子と定家は階を登り、邸の内に入った。 定家は女房達の眼が届かない室内の闇に紛れると 式子を抱きしめた。 「夜もすがら 物思ふ頃

          《物思う頃》嵯峨野小倉山荘色紙和歌異聞~八十五の歌~

          《阪神梅田地下街立ち呑み屋「憂見世」》嵯峨野小倉山荘色紙和歌異聞~八十四の歌~

          《阪神梅田地下街立ち呑み屋「憂見世」》原作:藤原清輔朝臣 「せやな。そんなもんやなぁ」 「若い頃より年とって遭うた辛いめのほうが忘れられへん」 「恨み、つらみ、おまけにハラミもいっぱいあるわな」 「未熟なんやろな、俺の生き様……えろう、格好悪いけど」 「今にそんな時もあったなって懐かしく思い出す時もありますよ」 「せやな、そんなもんやろなぁ」 (注)ハラミ=ホルモン焼肉で最近流行のハラミは牛の横隔膜の辺りです。 <承前八十三の歌> 「式子様にはかないませぬ。人の世を楽しんで

          《阪神梅田地下街立ち呑み屋「憂見世」》嵯峨野小倉山荘色紙和歌異聞~八十四の歌~

          《阪神梅田地下街立ち呑み屋「山奥鹿」》嵯峨野小倉山荘色紙和歌異聞~八十三の歌~

          《阪神梅田地下街立ち呑み屋「山奥鹿」》原作:皇太后宮大夫俊成 「同期の桜は満開やのになぁ~」 「あんさん、出世だけが男の生きる道やあらへんで」 「せやせや、沈まぬ太陽って事もある!」 「そうやなぁ、哀しいもんを見過ぎたお人は出世せんほうがエエねん」 「まぁ、いろいろ意見もあるやろけど、プワぁーっと一杯、いこや!」 「ほんなら、まっ、乾杯!」 (注)「沈まぬ太陽」=人気作家の山崎豊子の同名ベストセラー小説。 <承前八十二の歌> 女房の差し出す小袿を式子に纏わせると、自らは薄

          《阪神梅田地下街立ち呑み屋「山奥鹿」》嵯峨野小倉山荘色紙和歌異聞~八十三の歌~

          《気弱な坊主》嵯峨野小倉山荘色紙和歌異聞~八十二の歌~

          《気弱な坊主》原作:道因法師 わし、坊主やけど、女人が恋しい。 いつもは袈裟衣やけど、ジーンズにTシャツ着たら けっこう、ロックやで……スキンヘッドやし。 可愛い娘から、『かっこいい、素敵、大好きや!』 なんて言われたいなぁ……。 サングラスの裏でそっと涙を拭く、今日この頃。 <承前八十一の歌> 水柱が上がり、邸中に破裂音が響く。たちまち、警護の武士や宿直の女房などが駆けつけてきた。 水面に顔を出した定家は大音声にて命令を発する。 「ここにおわすは内親王様なるぞ。武士共は退

          《気弱な坊主》嵯峨野小倉山荘色紙和歌異聞~八十二の歌~

          《怨月残》嵯峨野小倉山荘色紙和歌異聞~八十一の歌~

          《怨月残》原作:後徳大寺左大臣 「そんなんあかんやん……」 ホトトギスは鳴いても姿を見せず。 ……見せぬなら、殺してしまえホトトギス……。 うちはあんたを殺すかもしれへん。 有明の月は瞋恚(いかり)を含んで凶々しい。 <承前八十の歌> 大屋根から庭の大池に突き出した釣殿に続く屋根に躍り込むと、定家は更に速く駆けた。 「どうなさるのです?」 式子は抱かれたまま定家に尋ねる。 「飛びまする」 ……えっ!…… 式子が問い返す間もなく定家は釣殿の屋根を蹴った。 月明りの中、宙を舞い

          《怨月残》嵯峨野小倉山荘色紙和歌異聞~八十一の歌~