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《風神雷神 Ⅲ》嵯峨野小倉山荘色紙和歌異聞~九十四の歌~

《風神雷神 Ⅲ》原作:参議雅経
「俺らのロック、もう古いんやと」
「どないして?」
「この間の地獄フェスでな、俺らの出番は何時ですって聞いたら、『そんな予定あらへん。おたくらはカスバンドや。もう聞き飽きたし、ギャグも寒いし、ハヨ、去ね!』、そない言われた」
「まぁ、言いたい奴には言わせとき。……けど、そんなんやったら、ほんまにライブのやり納めになったかもな、深吉野の鬼ロックフェスが……」
「せやね……。あれ!? あの音、鬼婆バンドのKINUTAロックのサウンドやないか」
「そうやな。エエ音や。俺らも負けてられへん。いっちょ、ここで路上ライブやるか!」
「よっしゃ! 負け犬と野良猫ロックの開演やで!」

<承前九十三の歌>
愛しい男を求めて彷徨う式子の手を捉えると定家は己が怒張を握らせた。
「あぁ……」
式子が身悶えする。定家は何事か吹きこむように式子の耳元に唇を寄せた。
「み吉野の 山の秋風 小夜更けて ふるさと寒く 衣うつなり……。我が凝り固まったるおのこの纏いを式子様のお口にて砧打ちしてくださいませ」
囁きつつ、なおも定家は式子の乳房を揉み上げ、髪の毛を梳る。
「う、うう……。さようになされては、式子は砕けまする。式子は仁王のよに振る舞われる定家様をこのようにお打ちいたしまする」
息も絶え絶えに式子は身を起こし定家の腰の衣から強く突き抜ける黒々とした陽根に顔を近づけた。
<後続九十五の歌>

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