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古本屋になりたい

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2023年7月の記事一覧

古本屋になりたい:40 夜更かし

古本屋になりたい:40 夜更かし

 子どもの頃は、あまり夜更かしをしたことがなかった。

 中学生になって、「探偵ナイトスクープ」を観たことがないというと、友人に心底驚かれた。放送時間は二十三時過ぎ、その時間にはもう寝ていたのだ。
 友人は夜型で、見事に毎朝遅刻ギリギリ、漫画のように食パンをくわえて走って、汗だくで登校していたから、わたしは夜更かしをそれほど良いものとは思わなかった。どう考えても、生活に支障が出ている。
 とっくに

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古本屋になりたい:39 あまんきみこ「ミュウのいるいえ」

古本屋になりたい:39 あまんきみこ「ミュウのいるいえ」

 小さい頃、自分の名前がうまく言えず、自分のことを「おっこ」と言っていたらしい。
 らしい、というのは、自分では全く覚えていないからだ。
 両親はわたしのことを名前で呼んだが、親戚のおばちゃんたちは、わたしがちゃんと自分の名前を言えるようになって、名前ではなく「わたし」と言うようになってもしばらく、わたしのことを「おっこ」と呼んでいた。

 あんた自分の名前ちゃんと言われへんで、おっこおっこ、言う

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古本屋になりたい:38 うどんか蕎麦か

古本屋になりたい:38 うどんか蕎麦か

 大阪生まれの大阪育ちで、麺といえばやはりうどん派である。

 淡い色のつゆに、柔らかめの麺。
 子どものころなら卵とじうどん。
 少し大きくなって少食の時期を脱してからは、ミニ天丼にうどんのセットか、ミニうどんに天丼のセット。天丼がなかったら、かやくご飯。いなりはあまり選ばない。

 町内に徒歩で行けるうどん屋があったし、市内に車で行くうどん屋があった。
 友達と街に出ても、いつもパスタやエスニ

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