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古本屋になりたい

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2023年6月の記事一覧

古本屋になりたい:37 イプセン「人形の家」

古本屋になりたい:37 イプセン「人形の家」

 先日、実家の部屋の片付けをしに帰っているという友人から、「高校の時のプリントが出てきた。〇〇さん(私)は、イプセンの「人形の家」を紹介してました」とLINEが来た。

 そうそう。懐かしい。
 私は、今も本棚にある新潮文庫の「人形の家」を取り出して写真を撮り、
「付箋貼ったまま、まだ持ってる!」
と添付して返信した。

 詳しいことは忘れてしまったが、家庭科の課題だったことはぼんやり覚えている。

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古本屋になりたい:36 有栖川有栖編「大阪ラビリンス」

古本屋になりたい:36 有栖川有栖編「大阪ラビリンス」

 高校に入学してすぐ、入学式の次の日くらいだったと思う。
 お花見行こかと、担任の先生の引率で、クラスのみんなで大阪城まで歩いた。

 学校は大阪城の外堀を埋め立てた上に建っていた。
 校舎を建て替える時に土を掘ったら、古いものが色々出て来て、工事が中断したらしい。先生はそう話してくれたが、大学を出たばかりの男性だったから、古い先生から聞かされた話なのだろう。

 大阪城までなんてずいぶん遠いので

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古本屋になりたい:35 続編が出ない

古本屋になりたい:35 続編が出ない

 〈バス=ラグ〉シリーズの二作目はまだかな…と今でも実は待っている、という人はどれくらいいるのだろうか。

 チャイナ・ミエヴィルの「ぺルディード・ストリート・ステーション 上・下」(ハヤカワ文庫SF 2012年)は、スチームパンクに、昆虫や鳥の飛翔のイメージを濃厚に絡めた長編小説だ。

 文庫版の帯には、若島正氏の解説の抜粋がある。

 作者の試みが成功しているとは、簡単に若島氏は書かない。
 

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古本屋になりたい:34 天牛堺書店のこと

古本屋になりたい:34 天牛堺書店のこと

 関西、特に大阪市から南部にかけて馴染みのある方ならば、天牛堺書店を覚えておられる方はまだまだ多いと思う。
 駅構内や地下街などに出店していて、たいてい店舗はそれほど広くなく、手前に新刊、奥に古本の均一売り場があった。

 天牛堺書店の古本売り場は、期間限定でガラッと品揃えが変わった。期間は2週間くらいだったように記憶している。680円均一だったり、文庫本多めの300円均一だったり、時には900円

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