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古本屋になりたい

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本や読書にまつわるあれこれ
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2023年4月の記事一覧

古本屋になりたい:27 楠田枝里子「ナスカ 砂の王国」

古本屋になりたい:27 楠田枝里子「ナスカ 砂の王国」

 紀行作家に憧れていた。

 中学生の頃、テレビで、ジャーナリストの森本哲郎が旅の話をしているのを観た。画面に出ていた肩書きが、紀行作家だった。
 Wikipediaで森本哲郎を調べてみると、ジャーナリスト、評論家とはあるが、紀行作家とは書かれていない。しかし、著書を見る限り、旅の本が多かったようだ。

 テレビを観ながら、私が「紀行作家って良い仕事やなあ。旅行行って、本書いて。」とつぶやくと、父

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古本屋になりたい:26 ナレンナーおばあさんの「かわいさ」

古本屋になりたい:26 ナレンナーおばあさんの「かわいさ」

 かわいいおばあちゃんになりたいもんだねえ、と人と話したりする。
 そうだねえ、人に愛されるような年の取り方をしたいものだねえ。

 かわいいおばあちゃんって、どんなおばあちゃんだろうか、と自分の本棚を眺めてみても、意外とかわいいおばあちゃんは見当たらない。
 カッコいいおばあちゃんや、賢いおばあちゃんや、守りたいおばあちゃんや、憎たらしいおばあちゃんは、古今東西よりどりみどりなのだが。



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古本屋になりたい:25 まだ見ぬかたの…

古本屋になりたい:25 まだ見ぬかたの…

 読む本がなくなる恐怖症を、abibliophobia というそうだ。
 読むものを持たずに乗り物に乗る恐怖症は、alogotransiphobia だという。

 いざとなればスマホで青空文庫を読めばいいや、となる昨今でも、出がけに選んだ本が鞄に入っている、ホクホク感とした安心感は変わらない。



 最初の仕事を辞めて地元に帰ってきて、アルバイトをしている頃、行きの電車で持って来た本を読み終

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古本屋になりたい:24 ものごころカタログ

古本屋になりたい:24 ものごころカタログ

 部屋を掃除していたら、何年も前に、ある企業へ提出した課題が出て来た。

 物心ついたときから本を読んで来た、私を表す、ものごころカタログ。

古本屋になりたい:23 いそぎばたらき・いちみのかしら

古本屋になりたい:23 いそぎばたらき・いちみのかしら

 朝日新聞に、「あのね」という子どもの小さなつぶやきを投稿するコーナーがあった。
 幼稚園から小学生くらいの子どもたちが発した何気ない、可愛らしい一言を、家族が投稿したものだ。

 朝日文庫から、「あのね 子どものつぶやき」として出版もされている。可愛くて面白くて、何も悲しくないのに、読んでいると胸が詰まるような気がする。

 この朝日新聞の「あのね」だったか、同じような小さな投稿コーナーがあった

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