恋愛エッセイ : 恋愛は自分を信じること以外何も出来ないと思う

天才漫画家の1人と言われている諸星大二郎さんに
感情のある風景(原題 心のある光景)という作品がある。

ある惑星の街では、人々の心がその人の頭上に形となって現れていた。ある者は美しい、ある者は悲しい形が現れていた。
ある日、大きな悲しみの心の形を現した青年がこの街に来た。
だが、余りにも悲しみに満ちたその形に街の人たちは何も出来なかった。

ある日、1人の男がその街に到着する。その男は、心に苦しみを抱えていた。だが、その男には心の形が現れていなかった。また、現すことも出来なかった。そのため街の人たちは誰もその男のことを信用しなかった。

その男は心の苦しみに耐えきれず、ある日、その街に住む老人に自分の心が形となって現れるようにしてもらう。
その男の心が形になって現れると、その男は心の苦しみから開放された。
だが、その男は、喜びも懐かしさもそれ以外の心の感情も全て一緒に失ってしまった。

人の心のなかを見ることは出来ない。
その人が本当はどう思っているか、ということは
知る術がない。

例えば、恋人を抱きしめていても、もしかしたら 
その恋人は、自分以外の人のこと考えながら、
抱きしめられているのかもしれない。
だが、それを確かめるする術はない。

ただ、この人は自分のことを考えながら、
抱きしめられてくれていると信じるしかない。

つまり、人間関係、特に恋愛において  
出来ることはただ1つ
自分自身を信じることだけだ

心のなかを見ることが出来ない以上 
恋愛における心配や不安は
自分自身が作り出していることになる

恋人は、その心配や不安を言葉で取り除いてくれるかもしれない  
だがその言葉が真実かどうかは確かめるる術はない

その恋人が言っている通り
自分はこの人に信頼されている
あるいは 
自分はこの人に愛されている
と信じることしか出来ない

つまり、恋愛は自分を信じることしか出来ない
自分は大丈夫、この人に愛される人である
と思えないと継続出来ないものでもあると思う

恋愛に1番必要なものは精神的な強さかもしれない 
その強さを身につける努力を積み重ねていかないと
恋愛も結婚も出来ないと思う

相手を信用するということは
自分が相手に信用される人間でもあるということ
ありとあらゆる人に信用されることは不可能
特に異性ならば尚更のこと
1人の異性に本当に信用されるには
かなりの努力が必要だ
その人に信用されていると信じ切れる人間に
ならなくてはいけないからだ

人間の力には限界がある
複数の人と恋愛出来る人間はほんのひと握りの人間
しかいないと思う
複数の人と恋愛している人の殆どは恋愛と呼べるものではないと思う

複数の異性に目を向ける前に 
本当に好きな異性1人に目を向けるべきだと思う
1人の異性に本当に愛されない人間に、
複数の異性から愛されることは不可能に近い

だが冷静になって考えると
1人の異性に対して自分を信じ切れるようになる
ということは大変な努力が必要だ
同時に何人もの異性に対して、
そんなことが出来る人間は果たして何人いるのか?

恋愛は自分を信じること以外何も出来ない 
という事実を真剣に考えてみる必要があると思う




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