エッセイ : 欧米のOwn Riskという考え方 僕が森のなかで想うこと(森のなかの王 熊と遭遇した時の対処法)

僕は長野県で生まれ育ったせいか、山のなかとか森のなかにいると心が落ち着く。
長野県には登山するような高い山もある。
少し車で走れば中央アルプスや南アルプスの美しい姿を見ることが出来る。
僕がここで言っているのは、もっと身近な高くても標高1000メートル前後の山だ。山というよりも、
僕にとっては森だ。
そんな山が長野県にはたくさんある。
僕にとってこれらの山々は山というよりも森だ。

僕は子どもの頃から森のなかに入るのが好きだった
春には山菜が採れる、秋には茸や樹の実が採れる。
川には岩魚などの魚がいる。
僕は秋に森のなかに入ると、あけびを採って歩きながらおやつ代わりに甘い味を楽しんだ。

時々、山菜採りに森に入った人が熊に襲われ大怪我をすることがある。その度にみんな熊のことを悪く言う。
だが落ち着いて考えて欲しい。人間が熊の住んでいる森のなかに入って行くのだ。

欧米ではOwn Riskという考え方が、全てにおいて
前提とされている。自己責任だ。
欧米では、熊の住んでいる森のなかに入って行くのだから、当然熊と遭遇することもあります、熊に襲われることもあります。ですので、銃の許可書を取り、銃も持って山や森のなかに入り、自分の命は、
自分で守ってください、という考え方をしている。
僕は、この考え方は正しいと思う。

熊をナメてかかってはいけない。熊はある意味完璧な生き物。毛皮があるから、人間のように衣服がなくても生きていける。
高校の時に読んだ本には、こんなことが書いてあった。
熊は喉が渇くと、匂いで水を探す。それもかなり遠くにある水の匂いまで分かる。
熊は今自分がいる所と水が流れている所までの距離を正確に把握し、決して走ったりしない。
人間は喉が渇き、水がある所を知ると水が飲みたくて走って向かってしまう。そして、水を流れている所に辿り着く前に体力を消耗して倒れてしまう。
熊は、水が流れている所まで自分の体力が保つ速さでゆっくりと歩いて行き水を飲む。
森のなかで熊に敵うものはいない。熊は森の王だと思う。


北海道に生息している熊はヒグマ。本州から南に
生息している熊はツキノワグマだ。
1番の違いはヒグマは肉食でツキノワグマは草食がメインということだ。よくテレビで川に上流して来る鮭を熊が食べているシーンを見たことがあると思うが、ヒグマだ。

ツキノワグマは基本的に草食のため、木の芽樹の実等をよく食べる。ツキノワグマが冬眠するために食べる物はどんぐりや栗が多い。 
ツキノワグマは特にどんぐりをよく食べる。どんぐりというのはクヌギ等のブナ科の樹の実。つまり、
ブナ林には熊がいることが多い。
そして意外と知られていないのが、ツキノワグマは
落ちているどんぐりを食べるのではなくて、樹に実っているどんぐりを食べるということ、つまり、
ツキノワグマは木に登って食べる。ツキノワグマは
歩いている時よりも木に登っている時にの方が多い
だから、森のなかを歩いていて、ふと木を見上げると熊がいた、ということがある。

熊はいきなり遭遇すると必ず襲って来る。
だが、熊の方から人間に近寄って来ることは少ない
熊は自然界にない匂いが嫌い。例えば煙草や香水のような物。だが熊が風下にいれば匂いで人間が居ることが分かるが、風上にいた場合は分からない。
僕は山や森に入る時は父親に鈴を持たされた。鈴の音がすると熊が近寄って来ないからだ。

僕がマタギの人から教わった熊と遭遇した時の対処法を紹介します。但しこれはツキノワグマの場合です。
1、熊と遭遇したら、死んだフリをしろと言う人がいるが、まるっきりのデタラメ。熊は死んだ動物を
放り投げたりして遊ぶ習性がある。死んだフリをしていたら殺されてしまう。
2、ツキノワグマは草食で山や木に登ることから、
後ろ足よりも前足の方が短い。だから斜面を登ったり木に登るのは得意だが、斜面を下る時は、前足が短いため速く下れない。山の斜面で遭遇した場合。山の斜面を全力疾走で駆け下れば助かる可能性がある。
3、熊は全ての生き物は自分と同じ四足歩行だと思っている。つまり、熊が大人の人間を見ると、熊は二足歩行の動物がいると言う認識がないから、二足で立っている人間の後ろに胴体のある動物だと思う 
しかも二足で立っている人間は四足歩行でいる時の熊よりも背が高い、つまり熊は人間を四足歩行の状態で自分よりも背の高い自分よりも大きな動物だと判断する。だから、熊にしてみれば怖い。
熊と遭遇した時、熊は人間を怖いと思うから、そのままの状態でいる。その時、熊の目を睨みつけたまま微動だにしないでいると熊は襲って来ない。
熊は耐えきれなくなり1度二足で立ち上がり威嚇する。この時ビビって逃げ出すと襲われる。
恐怖に耐え熊を睨みつけ微動だにしないでいると
熊は何処へ行ってしまう。
熊と遭遇したら、この方法しかないと教わった。

よく住宅地に熊や猪が出て捕まるテレビニュースを見る。みんな熊や猪を悪く言う。
だがそこは、もともと熊や猪が住んでいた所。
そこに人間が家を建てて住み始めたのだ。
地球上の全ての土地は人間のもの、というのは
人間の奢りでしかないと思う。
人は1度は深い森のなかに入るべきだと思う。
深い森のなかでは、人間は謙虚にならざるを得ない
森のなかの王 熊に逆らおうとは絶対に思わない。


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