シェア
黒羽カラス
2023年8月13日 09:59
第1話 夜の公園で出会う 今日の授業が終わった。塾に居残る理由はない。それなのに俺は機能を停止したロボットの状態から、なかなか抜け出せない。がらんとした教室に一人でいた。「早く帰りなさい」 見回りにきた講師に言われて俺は重い腰を上げた。身体まで重い。心には冷たい鉛が詰め込まれ、底の方が今にも破れそうだ。 教室を出ると右手を見ないようにした。この間の試験の全順位が貼り出されている。俺は初めて