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緩やかな流れ

 「いってらっしゃ~い」と、毎日のルーティンの様にのんびり屋の美優が言いながら見送る。
 「あー」と毎朝淡々と返事をして、出勤する繰り返しをしながら、もう30年も経過していた。
 生活をする中で、仕事だけではなく、子育て、いろんな事をその都度
喧嘩もしたが乗り越えたのは隣に美優が居たからとだと思う。

 そんな美優との僕の恋愛は“熱愛”では無く、“愛憎”とは無縁のなフワフワした“緩恋”感じだった。
 「美優、桜を見に行こう」と、川沿いの桜並木の土手を歩き同じ桜の花を観ていた。
 桜を観る美優の姿や顔では無く、同じ時間に同じ場所で2人並んで桜の花を観てた。
 桜の花は鮮やなピンク色。


 まるで川の上流の緩やかな浅瀬の流れに桜の花びらが乗る様に、無理なく乗れる川の流れの強さは心地良さを飛び越えて自然な感じで結婚をし、気がつけば“今まで''の時間を伴にしている。

 穏やかな流れに桜の花びらが、2枚重なり合って流されて行く。
「桜の花、綺麗だな。」と、2人並んで同じ桜の花を観るが、お互いに横顔は観ないが確かに並んで観てる。

 鮮やかなピンク色は色褪せない。

 …………………… 終 ……………………

 
 

 

 


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