マガジンのカバー画像

小説:剣と弓と本

27
セド、ナスノ、ライが「冒険」をするお話。2024/05/26第一部完。さて第二部は?
運営しているクリエイター

2024年5月の記事一覧

(剣・弓・本について。
読んでくれていた方、ありがとうございました。

自分にとってとにかく「学び」が多かった作品です。自身の長所も短所も見えてきました。
書いてみてはじめて気づく自分の力量……
もうすぐアラフィフですが、年齢を言い訳にせず、やりたいことをやっていきます)

【第一部 了】小説:剣・弓・本026「ライの手紙」

【第一部 了】小説:剣・弓・本026「ライの手紙」

026
【ライ】

 僕は書きます。そう、僕は記術士なのですから。たとえこの両腕が千切れたとしても。

 剣・弓・本「第一部」 了

小説:剣・弓・本025「不可解」

小説:剣・弓・本025「不可解」

025
【セド】

「もっと速く走れるでしょ!」とネネが俺の方を振り返って言い放つ。
 いつの間にか『睡りの塔』の内部にいるようで、石造りの階段をひたすら駆け上がっている。ネネが俺の前を走っているのか。追い抜かれた? いつ?

 いや待て、そもそもおかしいぞ。あの時、ネネは倒れ込んでいたはずで、そこからの流れが思い出せない。どうなってんだ。

 それと、この階段、どこまで続く? この『睡りの塔』の

もっとみる
小説:剣・弓・本024「識」

小説:剣・弓・本024「識」

024
【投げ斧のリュール】

「リュール、あなたの目的を教えてもらえませんか?」この男、ナスノの問いかけにどう答えようかな。
 説明、面倒臭いんだよね。結社・識について。

 セド・マァンを識に率いれたい。その交渉のためにやってきた、と正直に言ったら?

 このライっていう坊やはタイプ的に、

「えっ! 識のメンバーでもあるのですか? 驚きです。すごいすごい! 識、名前だけは知っているのですが、

もっとみる
小説:剣・弓・本023「不確かな喜び」

小説:剣・弓・本023「不確かな喜び」

【セド】

 ライの言うままに塔を目指してひた走る。ネネがついてくるようだ。振り払うわけにもいかない。確かにネネは素早いが、俺が本気を出すと着いてこれないだろう。だから7割程度で流すように走る。すると、ネネが近づいてきて、俺の顔を見上げ、

「セド、もっと速く走っていいよ」

 と言ったように聞こえた。
 ん? 喋った、のか? 

「聞いてる? セド、もっと速く走っていいって」

 やっぱり。やっ

もっとみる
小説:剣・弓・本022「斧と自由」

小説:剣・弓・本022「斧と自由」

前回021

今回022
【ナスノ】

 斧に目をやったライは
「トライベン製ですね……」とやや嬉しそうです。

「ん? トライベン? あのトライベン自由国? なぜ分かるのです? 形状ですか?」

「いや、紋章で判断できます。僕『紋章学概論』の下巻、大好きなんですよ。国ごとの紋章が図録で網羅されていて。トライベンの紋章はプラウ公国とすごく似ていて紛らわしいのですが、ほら、右上の星の数が二つなのでト

もっとみる