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散文の仲間

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ジブラルタル峻が綴る、理性や科学の外側のテクスト。
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#QOLあげてみた

創作:ある甘味研究者の手記

創作:ある甘味研究者の手記

シュークリームは世界を辞めていたので、ティラミスの前頭葉は常にホワイトユーモアに支配されていました。

ピーチメルバは氷の気化熱を利用してゼリー状の恋愛感情を押し込めます。夢の天然水は資本主義の人工水であり、それはハムカツがハムでありカツであることの位相差に似ています。

モンブランは目的の無い螺旋階段カテゴリーに属するとの報告には承服しかねます。モンブランが常にそして既に無極性なのは立証済みです

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小説:普通日記

小説:普通日記

 先日の日記を転記しておくことにします。

 新宿東口のご存じ、シアターバゲットにて、映画『アボカドの決意』を観覧してきました。
 天気予報では、夕方からチゴイネルワイゼンになるとのことなので、僕はミジンコに変身するのと同じ要領で、ブルドッグになれるよう調整しておきました。
 朝食はもちろん春巻きです。遅刻しないように中身だけを食べました。しかしながら、モナド論的には御法度らしいのです。何せ窓がな

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現代詩「タイトル」

現代詩「タイトル」

 春の結び目をほどくのは、キンポウゲの黄色でした。はにかむ雲を九十九折りにしてモノリス状にします。

 アルマジロの群れが乗車する車両の背後で、バッタの群れがうなり声を上げます。それはつまりエーゲ文明の自涜です。

 その瞬間でした。時間の地滑りが起きて、クラスで一番のヒロインは【関係性】になってしまったのです。言うまでもないことですが、決して【関係】ではなく【関係性】です。
 このことはハイデガ

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