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あまざけ

 近所の神社ではお正月に甘酒がふるまわれています。雪がちらつく中の初詣、みんなその湯気に寄っていく。あるいは「あまざけ」という言葉に引き寄せられて。甘酒との出会いは幼い頃、お正月か、ひな祭りかに親戚からもらった瓶詰めのもの。白っぽい瓶に、うすもも色のラベルが貼ってあって、わたしはウワッと色めき立ち、これ飲んでいいの? と大人たちの顔色を伺う。お酒なのに?飲んでいいの?あまいの?という気持ちで。
 だからわたしはいまだに「あまざけ」という言葉を聞くとき、頭の中がうすももいろにパッとそまる感じがします。乳白色でとろみがあって、おこめの粒のかたちがすこし残っていて、やわらかい味がする。肌や、くちびるみたいなイメージ。お酒という飲み物は、大人しか飲めないし。幼子ながらなんとなくどきどきしていたのは、そういうことなのかも。


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お正月の一週間、たべものエッセイ
1月3日 / あまざけ

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