「長野に行くならこれ食べてきて」と勧めたら「閉店らしいよ」と返事がきた。
えっ。
友人が送ってくれた食べログのURLをタップすると、確かにページのあたまに「閉店」の文字。
それはそれはショックでした。だってその店は、今まで出会った食べ物の中で最もわたしに衝撃を走らせ、同時に最もわたしをワクワクさせた「焼きおにぎりパン」のある場所だったから。
長野県は長野市にある(あった)「森田ベーカリー」という名のパン屋さん。どうやら2020年の5月末、74年間もの長い歴史に幕を下ろしていたようです。たくさんのお客さんから愛される老舗店だったということ、閉店してから初めて知りました。
なんせ、一回しか行ったことがないんだもの。
森田ベーカリーが閉店する約2年前、泊ってみたい宿があるからと(この宿の話もいつかできたらいいなと思う。)長野旅行を決めまして。どこを巡ろうかなとネットで観光地やお店を色々と調べていく中で、「焼きおにぎりパン」にたどり着きました。
焼きおにぎりとパン?焼きおにぎりでパン?なんだこのシンプルかつ大胆な炭水化物コンビは。ふざけているのか。最高じゃないか。おいしいのかネタパンに過ぎないのかよく分からないけどとりあえず絶対に食べたい。
すぐさまGoogleマップのアプリを開いて森田ベーカリーをマッピング。そこから旅程も森田ベーカリーを軸に決めていきました。ちょっと大袈裟に書いたかもしれません。いやそんなことなかったはず。どうでもいいですね。
そんなこんなで夏のある日、高速バスに揺られて朝イチで長野市に到着し、スマホ片手に森田ベーカリーへと向かったわけです。
(正直、店内に入って最初に思ったのは「なんか薄暗いし殺風景・・・?」でした。本当に失礼ですごめんなさい。)
お目当ての焼きおにぎりパンを見つけて手に取ったとき、意外にもずっしりとしていて驚きました。まさかパンを乗せた手に、ズンって感覚が訪れるとは。
きつね色に程よく焼かれた、おにぎりみたいな三角形のずっしりパン。やっと会えたね。さて味はどうだろう。
レジで会計を済ませ、お店を出るや否やビニール袋から焼きおにぎりパンを急いで取り出し、まずは記念にと写真を撮ったあと、ひと思いに、ぱくっ。
パンをかじって、焼きおにぎりが顔を出す。そんなことってあるんだなって。
ほんで語彙力バカで情けないんですけど、
とにかく
うんっっっっめえの。
モチカリなパン生地と、甘い醤油の染み込んだごはんが、合うのなんのって。
本当においしかった。朝からテンション一気に上がった。ああもうこの旅行勝ちましたありがとうございます、そう思った。
今度また長野来ても、絶対食べよう、そう思った。
出会いに別れはつきものとよく言いますが、人のことだけじゃないんですね。ああ、恋しくて仕方がありません。
Twitterで「森田ベーカリー」と調べて見ていると、どれだけ愛されてきたのか伝わってきます。地元のみなさんの日常や青春時代に、ずっと寄り添って来たんだなあ。
悲しいけど、「まだ動けるうちにリタイアする。」と決めた森田ベーカリーさんに、本当にお疲れ様でしたとお伝えしたいです。一生忘れられないパンに出会わせてくれてありがとうございます、ということも。
そんな、一度だけ食べた大好きなパンの話でした。
願うことなら森田ベーカリーでだけど、いつかまた、焼きおにぎりパン、食べたいなあ、、
これも、食べてみたかったなあ、、笑
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