見出し画像

愛妻家とは…

 妻の美嘉が可愛過ぎるのは、一重に俺の努力の賜物なのではないかと思っている。

 …なんて言うと、何勘違いしてんだ!と多方から叱責されてしまいそうだが、一重でなくとも多少なり俺の努力があって可愛くなったのだと自身で思いたいのだ。

 まあ、美嘉はオギャアと生まれたその瞬間から既にもう可愛かったし、歳を重ねる毎に年不相応の可愛さに磨きがかかっていったもんだから、そりゃあ俺の努力がどうとかいう問題でもなさそうだが、どうしたものか、彼女は俺に嫌悪感を一切与えない。女としての清潔さ、育ちの良さ、気持ちの優しさ。それに加えてしっかりとした人柄も。だから俺は無条件に彼女を褒めるし、もっと言えば褒め称えているのかもしれない。

 だから美嘉は可愛くなったと言っても過言ではないだろう。女という生き物は、愛する者から「可愛い可愛い」と言われて育てばそうなるように出来ているのだ。その逆も然り。俺は美嘉に対して暴言を吐くようなことは絶対しないし、そもそも美嘉は貶す所が一つも無い。周りの人間からも溺愛されて育ったこともあり、そんな女が可愛くならない訳がないのだ。

 自分の妻を愛すなんてのは、どんな男でも出来ることだ。所詮は他人、なんて言葉もあるが、俺は美嘉を他人だと思ったことは一度も無い。そして、美嘉を他人だと感じてしまったら、そこが俺達夫婦の終わりだとも思っている。

 俺が損得勘定無しで妻を溺愛出来るのは、それこそ美嘉の一重の努力あってだろうな。美嘉が俺に対して反発したり苛立ったり、そういう悪感情を抱かない女でいようと努力してくれているからだし、誰よりも俺のことを考えてくれる女だから、美嘉への愛情が溢れて止まらねぇんだと思う。

 美嘉とは趣味嗜好が似通っているのも仲良くいられる秘訣かもしれないな。

 美嘉は言葉が不自由だし、心に大きな傷も抱えている。俺はそんな美嘉を様々な悪い事から守ってやりてぇんだ。おこがましいかもしれねぇけどよ、彼女が何一つ不自由の無い人生を生きて行けるよう、支えながら導いてやりてぇ。それ程美嘉という存在を大切にしているんだ。

「美嘉、お仕事ご苦労さん。疲れただろ?体、揉んでやるからソファーに寝転がりな」

「ふふ、あいがと」

 そんなこんなで更けて行く夜に、愛おしさを感じて仕方無い自分がいたのだった。

よろしければサポートお願いします!いただいたサポートはクリエイターとしての活動費に使わせていただきます!