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5:2のバランスで保たれる国際結婚家庭の食卓

私は、アメリカ人の夫と国際結婚をしてアメリカに住んでいる。結婚とほぼ同時にアメリカに移り住み、約5年が経つ。

時々、日本にいる友人との会話の中で、「日頃どんなものを食べてるの?」と聞かれることがある。国際結婚をして海外に住んでいる家庭の食卓がどのようなものなのかなんて、実際に身近にこういう境遇の人がいないと想像することもないだろう。

アメリカの食事といえば、チーズバーガーやステーキといった健康とは縁遠い、カロリーの高いものを想像しがちだ。アメリカに来る前には、「向こうで太らないように気をつけなよー」などと言われたりもした。

そんな友人たちの想像とは裏腹に、我が家の食卓は、ものすごく和風である。白米に味噌汁が基本の食事だ。肉料理が基本のアメリカだが、週に一度は魚も食べたくなる。アメリカの普通のスーパーに売っているサーモンやタラなども買うが、種類が限られるので、定期的にアジア系スーパーへ買い出しに出かけ、サバなどの青魚を仕入れてオーブンで丸焼きにする。サバの塩焼きは、我が家の子供たちもお気に入りのメニューの一つだ。

私は結婚してから料理をするようになった。新婚当時、夫との間で私が食事の準備の主担当をすることになり、自分だけでなく、夫の分の食事も準備する責任が発生したからやり始めたことではある。でも、5年経ったいま、私が料理をするモチベーションは、和食が食べたいという食欲である。アメリカにいると、日本にいたときのようなご飯を毎日食べるには、作るしかないのだ。何も和食しか食べたくないというわけではない。食への興味は強い方だと思うし、海外旅行をすれば現地の食事が最大の楽しみの一つだ。だが、2日も白米を食べずにいると、コメ、コメ…と体の中から声にならぬ声が聞こえるような気がする。海外生活が長くなっても、食生活を完全に変えることなど私にはできそうにない。

夫が嫌がらずに何でも食べてくれるのは、非常に有難い。もし夫が和食を食べない、或いは食べられない人だったら、夫婦で別々に食事を準備することになっていたかもしれない。

一方で、夫にもこれまで培ってきた食の習慣がある。食に関心が強い方で、日本料理も好きな夫ではあるが、そればかりを食べ続けるのはさすがにしんどいらしい。だから、我が家では、週に2回ほどは夫が夕飯を作る。私にとっての白ご飯のように、必ず食べたい特定の何かがあるわけではないのだが、醤油にみりんの味付けではなく、馴染みの味が食べたいということらしい。イタリアン、メキシカン、フレンチ、ギリシャ料理、スウェーデン料理が多い。

というわけで、我が家の食卓は、1週間のうち、5日は和食、2日は欧米の料理が並んでいる。食は生活の根本というが、我が家のような国際結婚の家庭では、それぞれの文化を受容し、尊重する場面でもある。夫と私が心地よく日々の食事を楽しむためのバランスが、この5:2なのである。

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