岩田健太郎 K Iwata

最新刊は「手軽で便利な文献整理 ZOTEROのすすめ」。米国感染症専門医、米国内科専門…

岩田健太郎 K Iwata

最新刊は「手軽で便利な文献整理 ZOTEROのすすめ」。米国感染症専門医、米国内科専門医、漢方専門医など。渡航医学や感染防御も。神大感染症内科。コメントは個人の見解。

記事一覧

美味しんぼの食卓

古い本を漁って読むのが大好き。当時の時代背景も透けて見える。普通の漫画原作者が自分の素朴な感性を武器に書いた漫画、「美味しんぼ」。。。いつしかグルメの「基準」に…

危機の宰相

読むのは2度目。が、全く記憶がない。ドッグイヤーがいくつもついているので、ちゃんと読んだはずなのだが。 おそらく、ぼくは「政局」が嫌いなので、人治主義的な政治の…

小田嶋隆と対話する

献本御礼。発売前に読ませていただきました。故人のコトバがこうやって単行本になるということ自体がとても貴重で、内田先生との合いの手も見事。この数年の狂騒の振り返り…

名残り火

ちょっと嘘っぽいキャラや脱線が続くストーリーに「これは外したかな?」とちょっと思ったが、まったくそんなことはなかった。序破急の効いた傑作で、ラストは本当にどきど…

てのひらの闇

藤原伊織の「テロリストのパラソル」はとても好きだったのだけれど、他の作品は全く読んでなかった。シンプルな会話のハードボイルドと思いきや、意外とプロットの細かいと…

ツイン・ピークス究極読本

やっと一連のドラマや映画を見終えた。何十年かけてんねん。 本書はそのお供に。 オッペンハイマーといっしょに見るのも一手。

カント入門講義

非常に面白かった。カントはこんなことを言っている、という本は多いが、「カントはこう言っている。なぜかというと、、」という議論をしている本は稀有なように思う。単純…

トランスジェンダーになりたい少女たち

話題の本。ぼくはこの領域に必ずしも詳しいわけではないので、学習者として読んだ。 まず、本書はヘイトでもないし、焚書にするような本ではない。ただ、主張はある。それ…

身近な鳥のすごい食生活

前から野外の鳥を眺めたり鳴き声を聞くのが好きだったが、バードウォッチャーというほどの知識はない。ただ、ふとしたことから最近、ちょっとずつ勉強し始めている。 本書…

象は忘れない

印象的なタイトル。「五匹の子豚」同様、過去に遡るストーリー。ただし、ストーリーとしては「子豚」に比べるとかなりパワーダウン。トリックもクリスティとしては凡庸とし…

哲学のはじまり

衝動買いだが、めっちゃ売れてるらしい。著者の本はけっこう読んでる。あっという間に読めるけど、たしかに「学びのきほん」が入っているような気がする。

酔いどれ卵とワイン

たまーに読みたくなる平松洋子作品。センス抜群、気持ちの良いエッセイ。

内科診断リファレンス第2版

献本御礼 きれいなオールカラーにQRコード うそみたいだろ 単独著者なんだぜ、このコンテンツのボリュームと質で 日本の、いや、世界の診断学のテキストでも屈指の存在…

ねころんで読める消毒薬

献本御礼。 これはいい。超面白かった。 白状すると、消毒薬の勉強は数年に1回くらいしかしない。最後にやったのはCICの試験受けたときかな。そういう感じなので、はっき…

AIの時代に英語力は不要か

オーセンティックな教科書を読むには知性だけでなく、体力というか、胆力も必要とする。ほとんどのオーセンティックな教科書は英語でできているから、英語力は必須である。…

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臨床医学の教科書はもう不要なのか

医学論文へのアクセスが劇的に改善したのはインターネット、およびPubMedのおかげである。手軽な論文検索、論文閲覧が可能になった21世紀初頭、ガツガツ論文読んで勉強する…

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美味しんぼの食卓

古い本を漁って読むのが大好き。当時の時代背景も透けて見える。普通の漫画原作者が自分の素朴な感性を武器に書いた漫画、「美味しんぼ」。。。いつしかグルメの「基準」にまで祭り上げられ、さぞしんどいことだっただろう。。。ということが分かる80年代のエッセイ。

危機の宰相

読むのは2度目。が、全く記憶がない。ドッグイヤーがいくつもついているので、ちゃんと読んだはずなのだが。

おそらく、ぼくは「政局」が嫌いなので、人治主義的な政治の話に嫌悪感があって、そこがちゃんと読めなかったのだと思う。今読み直すと本当に面白い本だ。

本書の白眉は池田ではなく、下村治にある。孤高にして高潔。ビジョンを持つ稀有な官僚だ。かれが高度成長を「予測」(希望ではなく!!)したのが、後に「ゼ

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小田嶋隆と対話する

献本御礼。発売前に読ませていただきました。故人のコトバがこうやって単行本になるということ自体がとても貴重で、内田先生との合いの手も見事。この数年の狂騒の振り返りでもある(しんどいことだが)。

振り返りはいつだってしんどいのである。でも、避けて通ってはならぬという話をちょうど昨日した。

名残り火

ちょっと嘘っぽいキャラや脱線が続くストーリーに「これは外したかな?」とちょっと思ったが、まったくそんなことはなかった。序破急の効いた傑作で、ラストは本当にどきどきした。

それにしても、、、あの病院がでてくるとは、、、それだけでだいぶ驚いたが「あの病院」も出てきたときは驚愕しごくだった。読者の1%も気づかんと思うが。。。。

てのひらの闇

藤原伊織の「テロリストのパラソル」はとても好きだったのだけれど、他の作品は全く読んでなかった。シンプルな会話のハードボイルドと思いきや、意外とプロットの細かいところは原りょうにも通じる。

ツイン・ピークス究極読本

やっと一連のドラマや映画を見終えた。何十年かけてんねん。

本書はそのお供に。

オッペンハイマーといっしょに見るのも一手。

カント入門講義

非常に面白かった。カントはこんなことを言っている、という本は多いが、「カントはこう言っている。なぜかというと、、」という議論をしている本は稀有なように思う。単純なカント主義ではなく、その言説を批判的に吟味しているところも好感が持てました。いつか再読します。

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トランスジェンダーになりたい少女たち

話題の本。ぼくはこの領域に必ずしも詳しいわけではないので、学習者として読んだ。

まず、本書はヘイトでもないし、焚書にするような本ではない。ただ、主張はある。それが科学的に妥当なものかは、ぼくにはまだ咀嚼しきれていない。アマゾンあたりで書評を見ると、多分にイデオロギーから賛否が語られているように思う。あくまで大事なのは科学とファクトだ。

アメリカもアクティビストやインフルエンサーの影響がとても大

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身近な鳥のすごい食生活

前から野外の鳥を眺めたり鳴き声を聞くのが好きだったが、バードウォッチャーというほどの知識はない。ただ、ふとしたことから最近、ちょっとずつ勉強し始めている。

本書は「身近な鳥」の知られざる食生活をテーマにしている。そして、未だに分かってないことも多い。この領域の研究者の観察眼と思考力には脱帽だ。自分の領域に寄せてとても参考になる。

鳥の「食」に詳しいということは植物とか魚類とかいろいろ詳しいわけ

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象は忘れない

印象的なタイトル。「五匹の子豚」同様、過去に遡るストーリー。ただし、ストーリーとしては「子豚」に比べるとかなりパワーダウン。トリックもクリスティとしては凡庸としか言いようがない。

哲学のはじまり

衝動買いだが、めっちゃ売れてるらしい。著者の本はけっこう読んでる。あっという間に読めるけど、たしかに「学びのきほん」が入っているような気がする。

酔いどれ卵とワイン

たまーに読みたくなる平松洋子作品。センス抜群、気持ちの良いエッセイ。

内科診断リファレンス第2版

献本御礼

きれいなオールカラーにQRコード

うそみたいだろ

単独著者なんだぜ、このコンテンツのボリュームと質で

日本の、いや、世界の診断学のテキストでも屈指の存在たる金字塔。この地位はもう動かないんだぜ。

な、うそみたいだろ

貪るように読んだ名著の改訂版、ついに爆誕。上田先生が凄いのはまあそうですが、本作は編集の快挙とも言える。実に読みやすい。

ねころんで読める消毒薬

献本御礼。

これはいい。超面白かった。

白状すると、消毒薬の勉強は数年に1回くらいしかしない。最後にやったのはCICの試験受けたときかな。そういう感じなので、はっきり言って知識が弱い。理解が浅い。看護師さんにお任せ、になりがち。

読みやすいし知らないことが多かった。CNICは本書でとっても助かるんじゃないかなあ。

AIの時代に英語力は不要か

オーセンティックな教科書を読むには知性だけでなく、体力というか、胆力も必要とする。ほとんどのオーセンティックな教科書は英語でできているから、英語力は必須である。
とはいえ、文学作品を読むような超高等レベルの英語力は必要ない。医学書には一つの文章にダブルミーニングをつけたり、伏線をはったりすることはない。
アガサ・クリスティやエラリー・クイーンの非常に質の高いミステリーを邦訳で読むと、「ああ、これを

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臨床医学の教科書はもう不要なのか

医学論文へのアクセスが劇的に改善したのはインターネット、およびPubMedのおかげである。手軽な論文検索、論文閲覧が可能になった21世紀初頭、ガツガツ論文読んで勉強するタイプの研修医あたりから、「教科書は時代遅れ。情報が5年くらい遅れていることもある。もう、教科書は読む必要はない」と豪語する人がチラホラと出現するようになった。

しかし、私はこの見解に与しない。

もちろん、論文検索、論文吟味

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