日本の外交について考える本

外国で生活する機会が割と多かったせいもあり、日本の外交、いや外交一般には素人ながら高い関心を持っている。最近、日本外交関係の新著が重なったので両方読んだ。

まずは高村正彦の「冷戦後の日本外交」。外務大臣などを歴任した政治家と学者などとの対談だ。ぶっちゃけ、偉い「先生」が自画自賛を繰り返し、それに追従する御用学者の先生たちがひたすらヨイショしまくる、極めて気持ち悪い本だった(笑)。しかも内容の多くは外交とは関係ないし、「外交」といってもほとんどが内向きな話ばかり。「政局」が好きな人には面白い本だろうが、「外交論ずるとか言っといてこの内弁慶ぶりかよ」と思わざるを得なかった。参考になるところ、勉強になるところは多々あったけれども。

もう一冊は引退した官僚の本。こちらのほうがずっとよくできた本。「外の目」をしっかりと論じており、こちらのほうが現場にヒリヒリ近づいた感が強い。外務省の官僚は他省の官僚と違い、「国際比較」がなされる(海外に行けば、だが)。日本の論理では通用しても、外の論理では通用しない。外からしっかり評価される外交官、そして外交こそが国益に資する外交なのであり、霞が関のなかだけで通用したって「省益」にしかならないのだ。

ただ、外交官にしてはイデオロギーが強すぎてちょっとそこはつらかった。もっとクールにプラグマティックにいかねば国益にもならないだろうに。本書が外国語に訳され、海外の人が読んだらどう思うかな。

とはいえ、語学が大事、守衛への挨拶が大事、といった言葉はヒャクパー賛成。山崎豊子の小説がけっこう差別主義なのも同意。なにしろ「白い巨塔」では「山陰大学」に登場人物が「左遷」されるのだから。


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